名車図鑑 ヤマハ ドラッグスター フォー & ドラッグスタークラシック フォー |
ドラッグスター フォー & ドラッグスタークラシック フォー |
1996-2004 |
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日本を代表するアメリカン……なんかヘンな言い方ではあるが 思いきり低くて長いシルエットで人気を博す、それがドラッグスターだ いわゆるブームが沈静化した現在も、着実なセールスを残す ミドルクラスのドラッグスター、その変遷をたどってみよう |
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音叉(おんさ)マークのオーナメントで知られるヤマハブランドは、これまでのバイク史のなかで、数々のヒット商品をリリースしている。その背景には、オリジナリティにあふれるデザイン(商品)の提案が多くあり、長きにわたって、ロングセラーを続けて成功するケースが多いのだ。
シングルのSR400や、セロー225、VMAXなどはそのよい例だろう。今後、将来的な話題に言及すれば、MT-01もその名を歴史に残す逸材だと確信している。
そんななか、いわゆるアメリカンタイプのクルーザーにおいても、ヤマハがベストセラーに輝いた事実があることを見逃すことはできない。じつは、そもそものパイオニアを生み出したのはヤマハだ。
バーチカルツインエンジンを搭載したXS650をベースに段付きシートとプルバックハンドルを装備したXS650スペシャルに端を発したのが、日本におけるアメリカンタイプのハシリだった。
日本のバイクシーンにおけるアメリカンタイプの人気は、ロードスポーツ車をベースに、主にタンク・シートとハンドルだけでドレスアップを試みた第一世代。タンクやシートレールなどにまで手を加えて、ホイールサイズも含めてより本格的な造りを披露し出した第二世代のブームが一巡。
その後、細部ディメンションまでコダワリを徹底、もはや区切りがハッキリしない第3〜4次ブームのなかで、マーケットで大きな注目と人気を集めたのが、ドラッグスターだったのだ。
そのデビューは1996年。ミドル(400cc)サイズのアメリカンは、ロー&ロングを徹底追求した個性的なスタイリングが特徴。クラスを超えた堂々たるフォルムも印象深く、他を圧倒する存在感を誇っていた。
冷静な目でいうと、アメリカンのまさに象徴的存在であるハーレーダビッドソンのテイストを模倣したものではあることはだれの目にも明らか。しかし、650mmという思いきり低いシート高をはじめ、リヤリジッドをイメージさせるフレーム&スイングアームデザイン、そして空冷タイプのVツインエンジンを搭載するなどに、ユーザーの多くが、「本物」を感じさせられたわけだ。
それまではアメリカンでも、スポーティな走行性能を追求した点を訴求するモデルがあったり、なんだかターゲットの捉えどころがない(素直には理解しづらいコンセプトの)モデルも見られたものだったが、ドラッグスターがねらったところは、だれの目にも明快だった。
ロー&ロングフォルムの追求はバンク角が浅くなり、コーナリングではマフラーなどが簡単に接地したが、それも含めて思いきりアメリカンらしい雰囲気の演出に成功。
とくに低いシート高はライバルを圧倒。自分の両ヒザを含めてタンクやメーター、メッキのきれいなヘッドライトやプルバックハンドルなど、眼前にひろがるワイドな景色を視野に認めながら、マイペースで流すように走る快感は独特のものがあった。
デビュー後は4年連続で小型二輪国内販売トップのベストセラーに輝いた実績は立派。その後、堀の深い前後フェンダーデザインを与えたドラッグスター・クラシックがバリエーションモデルとして追加登場。そして現在はXVS400ドラッグスターとして熟成を重ねられている。
2002年に年間4000台オーバー。翌年も3500台以上の販売実績を残し、このクラスでは相変わらず根強いトップ人気を誇っているのも見逃せないところ。ロー&ロングがもたらずドッシリとした堂々たる存在感と独特の風格がミドルクラスで味わえるドラッグスター。多くのユーザーのハートを捕らえた結果がそこにあるわけだ。 |
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