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ゼファーで新たなる「ネイキッド」という
市場を開拓したカワサキ
そのゼファー発売から5年後
今度は走りを全面に押し出したZRXを発売
大柄な車体と印象的なビキニカウルは
いかにもカワサキらしい骨太なものだった
そのZRXの過去から現在までを見てみよう |
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1989年、カワサキから登場したゼファーはそれまでのレーサーレプリカ人気に代わる市場を築き上げた。カウルを剥ぎ取ったネイキッドのミドルスポーツは、当時のマーケットにとっては新鮮。また古き時代を知る人にとっては、懐かしい存在となったのだ。
そのころの日本はまだバブル経済の勢いが残っていて、バイクメーカーは数多くの車種をリリースしていた。250ccと400ccクラスにはネイキッドにかぎらず、さまざまなキャラクターのモデルが開発され、各社がセールスを競いあった。
ゼファーのライバルたちが出そろったあと、ネイキッド人気で先行したカワサキも1992年に斬新なデザインを採用したザンザスを投入。空冷エンジン搭載のゼファーに対して、ザンザスはレプリカ系のZXR用水冷サイドカムチェーンエンジンを、革新のアルミツインチューブ・ダイヤモンドフレームに搭載。
コンパクト軽量な仕上がりを誇り、噴き上がりの鋭い気持ちよく伸びる加速感を発揮するも、外観が先鋭過ぎたのか、ソフトなサスペンションセッティングとの違和感が災いしたのか、結果的にあまりセールスを伸ばすことはできなかったのだ。
そこで投入されたのが今回のZRX。1994年2月に新発売。根強い人気をキープするゼファーとは別のスポーツネイキッドとしてデビュー。オーソドックスなパイプダブルクレードルフレームに、ザンザスとは異なるセンターカムチェーンの水冷エンジンを搭載。さらにショートストローク化されたニューエンジンは、5500回転前後に少しトルクの谷があるものの、なかなか小気味よい噴き上がり感を発揮。常用域でも扱いやすい出力特性を確保。アルミトラス構造のスイングアームを採用するなど、走りにこだわった仕上がりが特徴だった。直線的なラインを基調とし、シート後方にテールカウルを持つサイドビューは、どこかZ400FXにも通じるデザインだが、何よりもローソンレプリカとして知られる往年のZ1000R1を彷彿とさせてくれたのも見逃せないところ。ここにカワサキブランドならではの魅力が漂うことになる。
ゼファーと同じカテゴリーに入るものの、その商品性はハッキリと異なり、走り屋ライダーも満足できるスポーティーネイキッドとして棲み分けできるポジショニングが確立されたのだ。
翌1995年2月には、マイナーチェンジされブラックの新色も追加。ハンドルマウントのビキニカウルを取り去って、丸形ヘッドライトを採用したネイキッドスタイルのZXR-IIも追加投入された。当時の価格は58万9000円。カウル付きZXRは59万9000円だった。
水冷ながらも冷却フィン形状をあしらったシリンダーブロックを始め6速ミッションの搭載。4本のエキゾーストパイプと右出しされた4イントゥ1マフラーまでがブラックアウトされた精悍な雰囲気。ソリッドなカラーデザイン等それらすべてがだれの目にもカワサキ車らしい仕上がり具合を直感させた。
その後11年以上ものロングセラーを続けるなか、数度のマイナーチェンジを受け、ブレーキを始め、サスペンション、マフラー等を変更。ギヤ比もドリブンスプロケットが42丁から43丁へ。ケイヒン製4連キャブレターも適切な点火時期制御を担うKーTRIC付きに進化し常用域でのスロットルレスポンスを向上。もちろんブレーキや足回りも熟成。マフラーも変更。パイプ触媒を組み込んだ新型サイレンサーを採用し排気ガスの浄化を果たしながら高性能はキープ。また盗難防止効果を発揮するイモビライザーも装備され、充実した進化ぶりを披露しているのだ。
しかしZRXの基本とそのキャラクターは今もシッカリと生かされ続けている。 |
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