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近代に登場した“ビッグスクーター御三家”
その一翼を担うのがスカイウェイブだ
3車では最後発となった強みを生かし、
最新機構でオリジナリティを存分にアピール
3つの排気量をそろえるシリーズ展開や
豊富なバリエーションの存在も特徴だ
つねに一歩先を考えた、その変遷を見ていこう |
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ビッグスクーターが今のような存在になる以前のスクーターといえば、「便利であれば、太鼓判」という移動ツールだった。そこにやってきたビッグスクーターブームは、押し出しの強いデザインや、信号待ちからのスタートダッシュに新しい性能を持ち込んだ。
とくにスポーツバイクが「手強いな」と感じるほどの走行性能。それはアクセルを捻るだけで、半クラやシフトチェンジのタイミングなどという乗り手の技量に左右されることもない。つまり、多くの人が右手ひとつで250ccバイクの性能を引き出せるものだ。
半面、豪華で大柄になったスクーターは、その自重と排気量のバランスから、どうしても高速域でアンダーパワーを感じたり、峠道ではスポーツバイクの敵とはなり得ないもどかしさも次第にふくらんでいったのだった。
しかし'98年2月。スカイウェイブが登場したとき、それまであったスクーターに対する既成概念は、パラパラと音を立てて剥がれ落ちはじめた。
「スクーターって、もう少し走りがよかったら最高なのに」という小さなストレスを改善するだけで、こんなにも楽しくなる!ということを体現してみせたわけである。
たとえば、リンク式のモノサスを採ったリヤサスペンション、前後ホイールに、ライバルよりも大径となる13インチホイールを採用して、ギャップの走破性や直進安定性など、スタビリティの向上は安心感につながった。
また、インナーチューブ径φ41という大径のフロントフォークを採用することで、しっかりとした接地感も伝えてくる。こうして、1590mmという長いホイールベースを確保しながら、一体感のある走りが楽しめる1台になったのだ。
エンジンにしても、ライバルの多くがOHC2バルブエンジンなのに対し、4バルブヘッドを持ち込んだことで、高回転でのパワーの落ち込み感が少なくなっている。たしかに、出だしのトルク感こそライバルに一歩譲るが、速度が乗ったあとのアクセルレスポンスの気持よさは、それまでのスクーターの感覚ではなかった。
こうして、250としては大柄で押し出しのあるスタイルと、充実の装備を持ったスカイウェイブは、今までのスクーターにはない余裕の走りを手に入れていたのである。
しかし、その本当の狙いは、その後に続くスカイウェイブシリーズの完成を見ればさらに明確となる。
まず、最初の驚きは250デビューイヤーの秋のことである。「あればいいけど、スクーターはやっぱり便利な足だから、車検のある大きなエンジンは不要でしょ」という風潮を見事に打ち砕くカタチで登場したのがスカイウェイブ400だった。
33馬力を生み出すエンジンは、とくに発進加速と高速巡航で、今までのスクーターという範疇では語れないゆとりを授けてくれたのである。
高速道路の制限速度が100km/hに引き上げになる、高速道路のふたり乗りが解禁になる、というバイクを取り巻く環境の変化をいち早く取り入れたカタチになった。
そして、2年前には、電子制御の多段切り替えを可能したベルトマチックを搭載した650までもが登場。スクーターは、ロングツアラーとしてもスポーツマシンとしても、ハードを整えれば成立する。それを実証したのである。
ライダー心理、その核心を突いたモデル構成にこそ、'98年に登場した、スカイウェイブ・コンセプトが息づいているのである。 |
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