軽いことはイイことだ!車重で選ぶならフォーサイト
技術の進化により、フレームの構造や素材の使用方法にも各社の違いが現れている。写真はヤマハ車のフレームだ。
バイクを選ぶときに誰もが一度は考えるのが、「果たして自分に操れる車両だろうか」ということだ。例えば、強烈なパワーを持つ車両だったり、乗り味に極端な癖があったり、はたまた身体にまったく合わない車格だったりすると、日常的に付き合うには厳しいものがある。これがスポーツバイクの場合ならば、あるステージでの性能が飛びぬけていたりすることで、その他の部分には目をつむることもできるが、機能性を求められることが多いビッグスクーターの場合では、何かしらの我慢を強いられる車両は出来るだけ避けた方が良いと言えるだろう。
当然だが、選ぶ目的は様々でもライダーの好みやスキル、そして体格によって何が乗りやすい車両なのかは大きく変わってくるものといえるのだ。
このように乗りやすさの基準は人それぞれではあるが、ビッグスクーターの場合は、特に車体の重量と足つき性の良し悪しが、乗りやすさを明確に線引きする大きな分かれ道になると言えるだろう。
ホンダ フォーサイトEX
乾燥重量154kg 装備重量167kg
最高出力21PS 最大トルク2.4kgm
軽さナンバーワンはフォーサイトEX!
250ccクラスといえども、ビッグスクータークラスでは、全ての車両で乾燥車重が150kgを超える。車種によっては、200kg近いものもあり、日常的に付き合うスクーターとして考えると、その重さがネックと考える人も多いはずだ。もちろん、装備やスタイルが気に入れば我慢できる部分かもしれないが、車体が軽いということは、燃費や取り回しの良さ、街中での走りやすさにも繋がり、ライダーにとってはいいことばかりなのである。
調査の結果、車重が一番軽かったのは、フォーサイトEXの乾燥重量154kg! 装備重量でも167kgと、他を寄せ付けない圧倒的な軽さを誇っている。車両としては、実用重視の地味なイメージを持つ人も多いかもしれないが、この数字はかなり立派である。次いで軽いのがマジェスティCの159kg 。こちらも装備重量で171kg と現行マジェスティが乾燥重量175kg、装備重量188kgということを考えるとかなり魅力的な数字に思えてくるはずだ。
どちらの車両も価格的にはこなれているため非常に手が出しやすいのも魅力だ。
軽さで選ぶその他車種
カワサキ エプシロン
乾燥重量165kg 装備重量190kg
最高出力23PS 最大トルク2.5kgm
ヤマハ マジェスティC
乾燥重量159kg 装備重量171kg
最高出力22PS 最大トルク2.3kgm
足つき性で選ぶならシート高をチェック!
足つき性の良さは、まずシート高で判断しよう。だがシート形状やシート部分の車体幅によっても変わるので、実際に跨ってから判断するのがベスト。
どんなバイクでも跨った時に足が着かないと不安になるものだ。信号待ちの度に気を使ったり、街中でのUターンなどでも不安が出たりすると、日常的に付き合いにくい、という印象を持ってしまっても仕方がないところだ。
ビッグスクーターは、基本的にどの車両でもシート高には気を使っているようで、極端に足つき性の悪いモデルは見当たらないようではあるが、改めてシート高を比較するとかなり差があるようだ。
調査の結果、一番シート高が低かったのは、マグザムの655mm。他の車両が700mm前後のシート高が多いことからも、その低さは圧倒的で、ロー&ロングの見た目どおり、足つき性もかなり高い車両といえる。
次いでシート高が低かったのは、フュージョンの665mm。この低さもかなり立派な数字だ。フュージョンは、80年代のレーサーレプリカ全盛時代に開発されたスクーターだが、当時からとにかく乗りやすさを重視した設計思想が、現代でも十分に魅力的な特長として通用しているといえるだろう。
これら二台は女性ユーザーにも人気が高いが、ただ単純にデザインが面白いということだけが、その理由でないことは、この結果を見れば良く判るはずだ。
足つきナンバー1はマグザム!
ヤマハ マグザム
シート高655mm
乾燥重量182kg 装備重量198kg
足つきナンバー2
ホンダ フュージョン
シート高655mm
乾燥重量160kg 装備重量172kg
シートから居住性を考えてみる
足つきのひとつの目安となるシート高は、カタログにも記載されている数値なので、誰にでも簡単に調べることが出来る。ただし、単純な数値の比較では分からないのが足つき性の難しいところ。
というのも、シートの形状や車体幅によっても足つき性が変わってしまうからだ。例えばシート高が低くても、シート下の車体幅が広ければ、足をつく時には大股開きとなってしまい、結果的には足つき性が悪くなってしまう。逆にシート高が高くても、スリムな車体であれば、停止時にはスッと身体をずらしたりすることで、シートの高さをカバーすることもできるのだ。
また、車重とシート高を合わせて考えることも重要だ。シート高が高くて車重も重い場合は、誰もが停車時には不安を覚えるはず。今回シート高では一番低いマグザムも車重は装備重量で198kgと、比較的重い部類に属する。しかし、低いシート高と低重心シャーシのおかげで誰でも乗りやすいバランスとしているのだ。
また、ビッグスクーターの中には、シートを基準に居住性を好みに調整できるような機能を備えた車両も数多い。例えばマジェスティCではライダー用のシートだけを前後にスライドできる機能を搭載しているので、フットボードへ足を投げ出したときの膝曲がり具合なども体格に合わせて調整できる。また、スカイウェイブシリーズでは、ライダー用シートの背もたれ部分に調整機能を持たせて、ポジションを好みにセットアップできるような工夫がされている。
PSでは、折り畳み式のタンデムシートを起こすことで、ライダーはタンデムシートを背もたれとして利用でき、快適なポジションを得る事が出来る。
それだけでなく、ライダー用シートは前後にスライドが可能なため、デザインを優先した車両ながら、他車同様に乗りやすさを重視した設計である。
マジェスティCでは、ライダーシートが5段階で前後にスライドする機能を備える。こういった細かな気配りが優れた居住性を生み出すのだ。
※価格は2005年モデルまでの平均価格。全てGoo Bike調べ。