BMWが初めて世に送り出したビッグスクーター、Cシリーズは、従来のモーターサイクルよりも気軽に使える乗り物として“アーバンモビリティ”というコンセプトで設計された。その1台であるC650GTに試乗した。
スズキのスカイウェイブ650やホンダのシルバーウイングがライバルとなるC650GTの車重は262kg。それほど軽いとは言えない。また、シート高が高めで標準的な日本人の身長では、足着き性もあまり良くない。だが、エンジンを70度前方に傾け、燃料タンクも車体の中央部に備えるなど、低重心化を図ることでまたがった際の不安感は少なくなっている。
排気量647ccのエンジンを始動すると、ツインらしい鼓動とサウンドを感じる。変速機は通常のビッグスクーター同様、CVT。完全にクラッチが繋がる回転数は、4800回転付近に設定されている関係なのか、発進加速では、ボディの重さを感じることもある。
その代わりというわけではないのだが、中高速域ではライダーの意思通りに加速してくれる。同時に、安定性や快適性も秀逸。電動ウインドシールドとスリップストリームディフレクターにより、身体に当たる走行風を調整できるし、冬場には、標準装備の自動温度調整が付いたグリップヒーターとシートヒーターが活躍してくれる。さらにABSも秀逸で、その気になればスポーティな走行を楽しめるスクーターとなっている。
ボディの剛性感やデザインなども、BMWの名に恥じない仕上がり。来年の新たな台風の目になりそうだ。
|