BMMのロードスター、F800Rがモデルチェンジをした。エンジン、フレームなど、基本は先代を踏襲しながらも各部を磨く熟成製法で作られた3代目である。
精悍な顔立ちが印象的なフロントフェイスに新しさを予感。外観を引き締める倒立フォーク、ラジアルマウントとなったブレーキキャリパー、そしてタンク周りデザインの変化が、新型であることを主張する。
エンジンは先代から引き継がれるパラレルツイン。360度クランクが生み出すフラットトルクが特徴で、Fシリーズでは最強となるGT同様、90psを発生。ボトムエンドからよく粘るトルク特性は、3000回転も回せば全体の80パーセントを発生する実直な性格。もちろん回転を上げて行けば、扱いやすさはそのまま、伸び上がるような回転フィールが印象的。4〜6速のギアレシオを見直し、以前よりつながりの良さが与えられているのも特徴だ。
剛性感を増したフロント周りは、落ち着き加減と運動性のバランスがほど良く、走るシチュエーションを選ばない。ライダーの意志通りのハンドリングをみせる。ネイキッドらしく街中では軽快に、遠出でもワインディングを駆け回っても、飽きることなく堪能できる才覚がある。202キロの車体もほど良い手応えのスポーツバイクなのだ。ブレーキのタッチとフロントフォークの吸収性のマッチングも良好。きめ細かい作り込みは走ることを楽しくさせる。
ビギナーはもちろん、時流に乗ったダウンサイズモデルを探す経験豊富なライダーにも、F800Rという手練れのロードスターは自信をもって薦められる1台なのである。
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