ノートンは19世紀末に英国で誕生した世界最古のモーターサイクルメーカーのひとつ。古くはマン島TTレースや世界GPで多くの勝利を重ね、英国車による栄光の時代を築いた歴史がある。その伝統あるブランドが復活を果たし、今回日本に再上陸を果たした。
往年のカフェレーサースタイルで登場した新生ノートンだが、『コマンド961スポーツ』は同シリーズのスタンダード版という位置づけ。しかしながら、オーリンズやブレンボなどの高級パーツが奢られたプレミアム感たっぷりのモデルである。
クラシカルな外観だが、走り出してみると意外なほど素直で乗りやすい。エンジンは軽やかな吹け上がりでとにかくパワフル。リッター近い排気量から繰り出される270度ツインらしい鮮明なパルス感、中回転域での弾けるトルクは迫力満点。振動やメカノイズはそれなりにあるものの、回転上昇にともない軽量な車体をグングン加速させていく。
スチール鋼管フレームはしっかりとした剛性感があり、パワーに負けないハイスペックな足周りとも相まって走りのレベルは相当高い。ハンドリングはほど良く軽快かつ安定感もあり、ワインディングでも特に高速コーナーが楽しい。ライポジも意外とアップライトなので街乗りでも苦はないが、熱的に厳しい空冷大排気量エンジンということもあり、渋滞路などは避けたほうが無難だろう。
古き良き時代を伝える雰囲気に、現代のマシンにも引けを取らない豪快な走りという二面性がいい。高価なハンドメイドモデルではあるが、そのステータス性がまた格別の
魅力になっている。
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