まずそのスタイリングを見て、思い起こしたのは以前試乗インプレッションを行ったナイトトレインだ。ブラックラインも同様の乗り味なのだろうか……と思いながら走り始めたところ、思いのほかスポーティに走れることに新鮮な驚きを覚えた。全長が現行ラインアップ中最長と言われるだけあって容易に“曲がらせて”はくれないが、リアタイヤが144ミリと割とスマートなものに設定されているので(ナイトトレインは200ミリ)、コーナリングでは思いのほかスッと車体を寝かし込むことができた。これでハンドルバーがドラッグスタイルでなければより曲がりやすくなるのだろうが、そうなるとハーレーらしさが消えてしまうだろう。
直進走行性については申し分なし。ツインカム96Bエンジン特有の大地を踏み締めるようなパワーの盛り上がりは独特のトルク感を生み出し、誰もが思い描くハーレーの乗り味そのものを味あわせてくれる。前後タイヤとも細身に設定されていることからFLシリーズのようなファットタイヤ装着モデルと比べると、当然その乗り味は大きく変わってくる。ドラッグバーにフォワードコントロールという組み合わせは決して乗りやすいとは言い難いが、その反面走行時のライディングフォームはかなりワイルドなもの。その乗り方はモーターサイクル・ムービーの金字塔『イージー・ライダー』のキャプテン・アメリカをほうふつとさせる。「やはりハーレー乗りは走っている姿がカッコよくなければ」というファクトリーの想いが見えてくる一台だと言っていい。
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