イタリア製スクーターの代名詞的存在であるベスパ。映画やTVドラマの影響で、その昔、一躍ブームになったことは、オジサン世代にとって懐かしい話。現在は、オシャレなスクーターとして注目されている。
そんなベスパのエントリーモデルが、『プリマベーラ50』である。
スタイリングは、1980年代のPK125を基本に同ブランドのフラッグシップである「Vespa946」のデザインエッセンスを随所にちりばめたもの。各部の作り込みも素晴らしく、フォルムの美しさは、国産スクーターにはないものだ。ちなみにボディは、兄弟車となるプリマベーラ125と共通で、シート高はやや高め。ユーティリティは、メットインスペースやグローブボックスなど、現代のコミューターとして必要な機能を備えている。
搭載エンジンは、いまやバイク界では絶滅危惧種となったクランクケースリードバルブの2ストローク空冷単気筒。セルスターターでエンジンを始動すると、耳に届く2スト特有の軽快な排気音が心地よい。小排気量ゆえに、パワーバンドが狭く、走り出しはややもたつくものの、ひとたびパワーバンドに入れば、同排気量の4ストロークエンジンにはまねのできないパンチ力を発揮する。ひさびさに味わう2スト特有の加速と、ビートの利いた排気音に思わずほほが緩んでしまう。
乗り心地に関しては、伝統のモノコックボディや片持ち式フロントサスのおかげか、各部がしっかりとした印象。それが全体の上質さに繋がり、デザインの美しさとあいまってプレミアムなスクーターとして完成されている。
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