真紅の外装に艶やかなゴールドのパーツを配し、その唯一無二のデザインで世界中のバイクマニアが熱狂したMVアグスタ・ブルターレ。初代セリエ・オロの登場から既に10年以上の月日が経過したが、いまだにブルターレが放つ存在感には変わりがない。登場以来、世界の二輪デザインに多大なる影響を今も与え続けている名車は、基本設計はそのままに時代と共に徐々に進化を続けている。
今回新たに発表されたブルターレ920Eは、990モデルからボアを3mm縮小して排気量を変更したモデルだ。ひと目見てそれと分かるデザインに変わりはないが、ライトやミラーなど細かな部分では意匠変更が加えられ、他社とは違うアグスタらしいワイルドさを醸し出している。
従来モデルでは、セルボタンを押した瞬間からドロドロドロ……と不気味ともいえるサウンドを奏でていたエンジンだが、今回のリファインによってアイドリング時の静粛性は格段に上昇した。とはいえ、スロットルを開け始めたときに本性を表す野獣的なフィーリングは今までどおり。むしろ、マレリ製ECU採用により、荒々しいマシンを手の内で制御しやすくなったとも言える。凶暴なほどのパワーに心惹かれるのはライダーの性だが、そのパワーを自らの制御下に置けるかどうかは全く話が別なのだ。
しかも今回のブルターレ920Eは139万円という国産車並みの車体価格である。憧れだった至高のイタリアンプロダクツが、グッと身近になった。
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