個性的なデザインで人気のハイパーモタードに、796エンジン搭載のモデルが登場。これまであった1100の排気量が小さくなっただけではなく、マシンの扱いやすさや性格がずいぶん変わった。
一般的にモタードというマシンは、オフロードモデルをベースとしているのだが、このモデルに関しては、フレームもエンジンもサスペンションもほとんどロードスポーツそのまま。タンクシートとハンドルをモタード用に交換したような感じだ。
その結果、ライダーの入力に対して、かなり敏感に反応するマシンになっている。キャスターの立ったフォークに幅広いハンドルをつけているのだから、これもある意味当然のこと。普通のバイクのようにハンドルに力を入れてこじるようなことをしてしまうと、とたんにバイクが反応してライダーが慌てることになる。けれど、こういった特性を理解し、イン側のグリップエンドを下に軽く押し下げるようにし、なおかつステアリングに不必要な動きを与えないようにすれば、驚くべきシャープなハンドリングを発揮する。
ロードスポーツに比べて直立した姿勢は、ぼんやりしているとバイクの加減速で体が前後に動いて疲れてしまう。だが、代わりに自由度の高いポジションを生み出しており、それを利用し、ライダーが積極的に荷重移動をすれば、それまでと一転、従順な面をみせる。796の場合、排気量が小さいこともあって低中速域のレスポンスが穏やかで、1100に比べると圧倒的に乗りやすいのである。
もちろんライダーがその気になれば、796は一気に獰猛さをむき出しにする。高回転で気持ち良く伸びていくフィーリングも、ビッグツインにはない美点だ。この796の登場は、ハイパーモタードの門戸を大きく広げることにつながるだろう。モンスター系のロードスポーツも面白いが、それとはまったく違うフィーリングを楽しんでみたいのであれば、このマシンはちょっとお薦めだ。
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