一見するとカスタム車両のように見えるヘイスト250。アメリカのCCW(クリーブランド・サイクル・ワークス)が、2009年から製造しているれっきとした市販車だ。
その特徴は、1930年代に登場したボバースタイルをイメージした、シンプルなスタイリング。特にステアリングヘッドからリアアクスルまでまっすぐに延びる美しいリジッドフレームは、この車両のアイデンティティともいえる。
またがってみると、身長162cmの筆者でもポジションには自由度があり極めて自然。また、車重は軽く、取り回しもしやすい。
エンジン始動はキャブレター仕様のため、冷間時にはチョークを引く必要がありセルボタンを押すだけ、と簡単には行かない。また、走行中のアクセルの開け方も、エンジンと対話をするようにじんわりと開けて行く必要がある。だから、常に最適な混合気を作るインジェクション車に比べれば、少しばかり気難しそうに思える。だが、始動やアクセル操作に慣れてしまえば、他の現行市販車同様に走行可能だ。
空冷の250ccシングルだから、正直、絶対性能はそれほど高くはない。しかし、このヘイストにはバイクを操る楽しさに満ちている。リアサスを持たないリジッドフレームのため、乗り味はハードのひとことだが、ハンドリングはナチュラルそのもの。エンジンも、シングルらしい鼓動感をライダーに伝えてくる。
今のバイクは、イマイチつまらない、そう感じていた人にこそ是非とも乗ってみてほしい。その独特の世界観にきっとハマるはずだ。
|