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Vツインエンジンの110年史

Vツインエンジンの110年史

ビ ッ グ ツ イ ン 系

H-Dのフラッグシップ
それがビッグツイン

 ハーレーダビッドソンのフラッグシップとなるビッグツインモデル。現行モデルでは103CI(=1,689cc)と、小型自動車並の排気量を誇るが、現在へ至るまでには数多くの変遷を辿ってきた。ここでは各年代のエンジンを紹介していこう。

創生期のビッグツイン

1909年にH・Dにとって初めてのVツインが完成。最初のVツインエンジンは、排気量811ccで7.2psを発揮した。いまのバイクから考えると、大排気量で原付クラス並みのパワーしかないが、当時としては非常に高性能であった。車体は自転車のフレームの延長のような時代ではあるが、エンジンのパワーを考えるとこれでも事足りたと言えるかもしれない。

1909年エンジン

1913 Model 9E

平均中古相場◎1000万円〜

吸気側はOHV、排気側ではサイドバルブという『オポーズド・バルブ』を採用した初期モデル。現存するものは即博物館行き、と言っても過言ではない。

40年にも渡って作られた
『サイドバルブ』

空冷2ストロークのようにも見えるエンジンだが、れっきとした4ストロークである。吸排気方式はピストン脇に吸排気バルブが上向きに着くサイドバルブ。750ccのWL(通称ベビーツイン)と1200ccのVLが存在する。第二次大戦では米軍の軍用車としても活躍、その後もエンジンは70年代までサービカー(商用三輪トライク)として生き永らえた。

1929年エンジン

1913 UL

平均中古相場◎180万円〜

10数年前ではフタケタ万円台で楽々手に入ったが、近年は価格が徐々に上昇中である。

l 近年はカスタムシーンでも注目 l

近年はカスタムシーンでも注目

ナックルやパンに比べても、さらに古典的な雰囲気を醸し出すエンジン外観で『旧車感』の強いサイドバルブ。近年ではサイドバルブ車をベースにハードな作り込みを行うカスタムも人気である。

初のOHVエンジン
『ナックルヘッド』

実走行に耐えうるビンテージ・ハーレーの中でも特に高い人気を誇るナックルヘッドは、今日のモデルにまで続くOHV(オーバーヘッドバルブ)機構を初めて採用したエンジンだ。愛称の『ナックル』はヘッドカバー形状が握り拳に似ていることに由来する。1000ccのEL、1200ccのFLと二種類が存在し、近年は特にオリジナル車の価格が高騰している。

1936年エンジン

1947 EL

平均中古相場◎350万円〜

ナックル最終型となる47年式EL。当時の姿を残しているほど高値で取引される。

熱対策でアルミヘッド採用
『パンヘッド』

ナックルの弱点を改善して登場したパンヘッド。こちらもヘッドカバーを鍋にたとえてこの愛称がついた。特徴的なヘッドカバーはオーバーヒート対策でアルミ製に。オイル供給通路なども見直され、信頼性が大幅に向上している。また、その美しいエンジン造形に魅せられるファンも多い。

1948年エンジン

1948 FL

平均中古相場◎300万円〜

最終型でも50年落ち近いため、維持するにはある程度の知識と資金も必要だ。

ついに登場、現在も人気の
『ショベルヘッド』

66年に登場したショベルヘッドは、80年代前半まで製造された。クランクケース形状は、ナックル・パンからの流れとは異なった、現在のビッグツインに通じるものである。当初は1200ccでスタートした排気量は後年になって、1340ccにスープアップされた。年式的にも手軽に旧車感を楽しめることから、日本でも高い人気を誇るエンジンだ。

1966年エンジン

1970 FX SUPERGLIDE

平均中古相場◎180万円〜

1970年に登場したFXスーパーグライド。ボートテールと呼ばれるテールカウルを持つモデル。販売では振るわずタマ数は少ない。

生産期間の短い
l 『アーリーショベル』 l

アーリーショベル

66年に登場したショベルヘッドだが、初期のモデルはパンヘッドのクランクケースを流用していた。これがアーリーショベルと呼ばれるエンジンだ。生産期間が短く価格は高め。ただ、ユーザーがパンヘッドの腰上を補修目的でショベルヘッドとした個体(パンショベル)も存在するため、本物のアーリーが欲しい場合は専門店に相談したい。

新時代の幕開け
『エボリューション』

84年にビッグツインエンジンは設計を新たにしてエボリューションエンジンへと生まれ変わる。排気量1340ccのままだが、シリンダーはそれまでの鋳鉄シリンダーからアルミとなる。外観上ショベルヘッドとは大きく異なる、厚みを増したシリンダーヘッドカバーだ。また、始動方式もエボリューションからはセルスタートに改められた。

1984年エンジン

1913 UL

平均中古相場◎120万円〜

近代的イメージのあるエボだが、古いものでは車齢は25年超。専門店で購入したい。

15年ぶりの新作
『TwinCam88』

99年に登場したTwinCam88、通称TC88は排気量をそれまでの1340ccから1450ccへと大幅に拡大している。冷却効果拡大を狙って空冷フィンは大型化され、またシリンダーヘッドカバーも燃焼室形状の変更に伴って厚みが増している。

1929年エンジン

更に排気量UP!
『TwinCam96』

2007年、TC88の登場から10年を経ずしてビッグツインフラッグシップエンジンは更なるアップデートを受けた。それがTwinCam96である。さらに厳しさを増す排気ガス規制に配慮して、ついに燃料供給装置はキャブレターからFIへ。排気量は1584ccと拡大された。

1929年エンジン

☆

ス ポ ー ツ 系

軽快な乗り味の
スポーツスター系

フラッグシップのビッグツインとは別に、より軽快で高性能な車両を標榜して生み出されたモデル、それがスポーツスターだ。レース直系の血筋はもうひとつのH・Dの本流と言っても良いだろう。

スポスタのルーツ
『モデルK』

第二次大戦後、英国のトライアンフやBSAなど欧州メーカーを中心に、高性能バイクが世界を席巻していた。そんな中、H・Dもその流れに乗るべく、スポーツバイクの開発に着手。こうして1952年に登場したのが、ModelKと呼ばれるモデルである。

1952 Model K

平均中古相場◎300万円〜

現存台数は非常に少ないと思われるため、国内で探すことは難しいかもしれない。

ショベルヘッド搭載
初代『スポーツスター』

1957年、初のスポーツスターXLが登場した。モデルKではサイドバルブを採用していたエンジンは、OHVのショベルヘッドを採用、英国車的なディメンジョン、コンパクトな車体で最高速度164km/h、ゼロヨン15秒の俊足を誇った。

1913 UL

平均中古相場◎190万円〜

ショベルスポーツの記念すべき初代モデル。50年代の車両だけあって、価格的にもプレミアがつく。

ヘッド形状変更
第二世代
『ショベルスポーツ』

細かな改良を重ねながら、71年にはシリンダーヘッドカバーの形状が凹みのある形状に変更された。これ以降、最終型までショベルスポーツのヘッド形状はこのスタイルとなる。また、排気量は883ccと1000ccの二本立てだった。

1972 XLH

平均中古相場◎120万円〜

かつてはビッグツインの人気の影に隠れていたが、そのナロー&コンパクトな車体は、近年カスタムベースとしても大ブレイクしている。

排気量61CI
『XLX』登場

スポーツスターシリーズの源流は、排気量883cc・サイドバルブのモデルKだ。しかし、より排気量を拡大して運動性能を高める目的で排気量1000ccのショベルエンジンも生産された。83年登場のXLXはその代表的モデルである。

1983 XLX

平均中古相場◎130万円〜

ショベルエンジンの最終型に近いXLXは旧車入門としても最適だろう。まだ比較的手ごろな価格帯で推移するが、今後は価格上昇期に入ると思われる。

スポスタにも新時代
『エボリューション』

ビッグツインのエボリューションエンジン採用に遅れること2年、スポーツスター系エンジンも1986年にエボリューション化された。このとき初代XLへの原点回帰の意味も込めてXLと同一のボア×ストローク値で883ccとした。

XLH883

平均中古相場◎75.5万円

新車価格で100万円を切る価格設定が続いたこともあり、手ごろな価格で推移している。

4速から5速へ
『5速エボ』

1991年に883cc・1200ccのスポーツスターシリーズはミッションをそれまでの4速から5速へと変更。よりスポーツモデルらしい走りを堪能できるようになった。これをきっかけに走り系のカスタマイズを楽しむユーザーも増えた。

1991 XLH1200

平均中古相場◎60万円〜

4速・5速の違いによる相場価格の違いはさして認められないが、実用性を考えると5速車をチョイスするのが良いかもしれない。

l スポスタ史に輝くスーパーマシンXR1000 l

スポスタ史に輝くスーパーマシンXR1000

AMAダートトラックで圧倒的な速さを見せたワークスレーサーXR750。XR1000は、XR750のヘッドを組み込み、デイトナのBOTT(バトル・オブ・ザ・ツイン)という2気筒車レースのホモロゲ用に発売されたスーパーマシンなのだ。

l XRの名を持つ久々のモデル l

XRの名を持つ久々のモデル

2009年に登場したXR1200はダートラマシンXRの名を持つマシン。ベースとなるエンジンはエボだが、車体や専用設計でよりスポーツ走行に適したディメンジョンを持っていた。本国では現在もワンメイクのダートラが行われているが、日本では2010年モデルが最後となった。

☆

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