少なくとも90年代半ばには
その呼称はマイナーだった
いまではメジャーとなった「スーパースポーツ(=SS)」というジャンルだが、これが一般ユーザーに認知されているようになったのは、わずか15年ほど前のことだ。
ではそれまで、スーパースポーツに属するバイクがなかったのかといえば、そんなことはない。ホンダは他社に先駆け、92年にCBR900RRを発売。カワサキはややゆったりとした乗り心地ながら94年にニンジャZX-9Rを市販し、98年型では大きくスポーツ方向にシフト。さらにヤマハは、98年型としてツイスティロード最速を狙ったYZF-R1をリリースしている。
しかし90年代半ばまで、オンロードにおける運動性能を追求したバイクの主流は「レプリカ」だった。レプリカとは、つまりレーサーレプリカのこと。レーシングマシンのデザインイメージと技術を取り入れた機種、あるいは市販車をベースとしたレースで使われるモデルが、このように呼ばれていたのだ。
ところが、900や1000というのは、レースとはまったく関係なく誕生し、なおかつ当時はレースで使われることも稀だった。つまり、「レプリカ」ではない。
そこで、困ったメディアなどが00年前後から多用するようになったのが、「スーパースポーツ」という呼称。そもそもホンダは古くから、レプリカに相当するようなマシン全般を「スーパースポーツバイク」と呼んでいた。結果的には、このジャンルの先駆者が使う名称になった。