ストリート・ファイター20年史

　ヨーロッパでは、60年代にレーサーを模したスタイルを持つカフェレーサーが大人気だった。その流れはバイクマニアや若者たちのカルチャーを巻き込みながら70年代まで続く。やがて70年代半ばには世界各国のメーカーが、こぞってカフェテイストの車両を発売したほど世界的な求心力を持つムーブメントだった。ストリートから生まれた車両がメーカーをも動かしたのである。
　カウルレスのフロントマスクにスーパースポーツ譲りのハイパフォーマンスなエンジンと車体を持つストリート・ファイター。90年代中盤から後半にかけて、突然変異的に現れた新ジャンルは世界のライダーに衝撃を与えた。ヨーロッパの一部のライダーたちが、当時のスーパースポーツ車のカウルを取り去ってネイキッド化し、そこにド派手なカスタムを施してストリートを流して楽しんでいたのだ。これがストリート・ファイターの発祥である。
　当時の日本国内といえば、ネイキッドブーム真っ盛り。だがその多くは、行き過ぎたレプリカブームへのアンチテーゼとして、往年の名車にインスパイアされたデザインを持つ、懐古主義的な車両が大半だった。
　対してヨーロッパは、速いバイクを求めるライダーが多い土地柄である。ゆえにベース車にはスーパースポーツや、同系エンジンを持つネイキッドが好まれていた。
　かつてカフェレーサーを生んだ土壌は、四半世紀後に再び世界的なムーブメントを巻き起こす一大カテゴリーを生み出した。それが“ストリート・ファイター＝ストファイ”なのだ。

カフェレーサーの起源は、グランプリを疾走するレーシングマシンのスタイルをストリートバイクに落とし込んだものが発端。今で言うところのスーパースポーツ車である。

60年代中期にはフルカウルを持つスタイルも受け入れられた。また、ファッションや音楽とも深くリンクしたROCKERSというムーブメントも英国で登場し、今も人気である。

ストリート・ファイター黎明期では、ユーザーレベルで過激なカスタムを行う例も多かったが、メーカー製“ストファイ”登場により、シーンも変化した。現在はドイツを中心に盛り上がっているようだ。

クラブマン誌編集長を経て現在は二輪各誌をはじめ、ライフスタイル誌などでも独自の目線でバイク遊びを提唱する“遊びの達人”。最近では2ストローク専門誌や絶版車専門誌でも編集長を務める。豪快なライディングに定評があるほか、飛行機の操縦免許を所持し、エアレースにも造詣が深い。二輪業界では異色の存在として知られている。スーパーモタードを日本で流行させたのも、何を隠そうこの人である。