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![]() メーカーの規模の違いと言ってしまえばそれまでだが、小規模生産を逆手に取ってバイク好きなら一度は憧れる魅力的なデザインをまとったバイクを数多く生み出してきた。 メカニズム、デザイン、性能、歴史どれを取っても魅力にあふれている「マンジャーレ、カンターレ、アモーレ(食べて、歌って、愛して)」じゃないが、イタリア人というのは陽気に何でも徹底的に楽しむのが身上である。 だから、イタリアンメーカーの海外試乗会に行くと、いかに僕らを楽しませるか、そんな演出が感じられることがままある。試乗を前日に控えた夜のディナーは、さすがに最近は少なくなったものの、深夜の1時までということもザラ。明日の仕事に支障をきたさないギリギリのところまで楽しむ。 イタメシは旨くて当たり前であるように、バイクは美しくて、乗って熱く楽しめるものじゃないことには始まらない。そんなイタリア人が造るバイクのキャラを一言で表現すれば“パッション=熱情”。もうこれに尽きる。そのことは、イタリアンメーカーで開発に関わるイタリア人エンジニア自らも口にするほどだ。 ただし、必ずしもホットな性格のバイクを造ろうとしているのではない。あくまでも、彼らの基準で楽しめるものを造った結果なのである。その意味で、彼らは、我々、日本人には真似できないものを造り上げる。それは根本的に日本車とは違う乗り物だと言っていい。 ただ、国産車にイタリア車みたいなパッションがないとお嘆きの人にお断りしておくと、一部のエンスージアストを照準にモノ造りをすれば良いイタリアンメーカーに対し、日本メーカーのバイクはもっとマジョリティを満足させるものでないといけない。それほど違ったモノ造りをしている両者だから、簡単にはどちらが良いとは言い切れないのだ。 とは言っても、何事も熱く楽しむイタリアという土壌のなかで練り上げられたバイクが、乗っていてエクスタシーに襲われる魔力を秘めていることは事実であるし、造り手の意思も強烈に反映されている。小所帯という事情があるにせよ、彼らのバイクに対する情熱がヒシヒシと伝わってくるのだ。 僕はジャーナリストとしてバイクに試乗するとき、国産車とイタリア車では、無意識に自身のモードを使い分けているかもしれない。気分的にもテンションが高まっていないと、せっかくのパッションも煩わしく感じられて、せっかくの良さも楽しめないからだ。しかし、ツボにはまったときの高揚感たるや、イタリアンバイクでしか得られない特別なものなのだ。 100年近い歴史を持つメーカーや、コンペティションの世界で数多くの成績を残しているメーカー、さらには販売利益など考えてないんじゃないのか?とも思えるごく少量を生産するメーカーなど、さまざまなメーカーが存在することもイタリアという国の特徴なのである。 そうした背景に注目すると、イタリアンバイクは、あらゆる面においてより個性が感じられ、魅力も増してくる。だから興味も尽きないのである。 ![]() DESINGデザインイタリアの自動車がデザイン的に優れていることは誰もが認めるところだが、バイクだって同様。ときにはあまりにもラディカルすぎて、理解できないこともあるけれど、完成したマシンにデザイン的な美しさを求める情熱は世界のなかでもナンバーワンだ。 MECHANISMメカニズム日本製品に比べると、細かな工作精度やクオリティコントロールというポイントで、わずかに劣るものの、大量生産を前提に設計されるバイクには、とうてい真似のできないパーツをデザイン&採用したり、独自の思想をかたくなに貫く姿勢など、メカニズムにも見るところは多い。 ![]() |
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