前回に引き続き、ZEPYHR1100-A1の作業風景です。 順調にエンジン始動と、同調調整、車検基本点検を実施し、詳細の整備と、ケース破損の修正を行います。

前後、ブレーキシステムのリフレッシュと調整は終了しました。 多少引きずりを発生させていた、ピストンの固着も解消し、前後ブレーキフルードの交換を実施します。

当店は、MOTULブレーキフルードDOT5.1を使用しています。沸点が高く、操作も軽くなるので、最近のバイクにもベストですが、何かと熱対策が必要な、旧型車両にも対応しています。前後交換します。

クラッチフルードにも、MOTULブレーキフルードDOT5.1を使用。

各配線も気になっていたので、導通チェック後に、必要な箇所は修正・加工を実施します。ウインカーリレーの調子が悪かったので、ZZR400用の中古パーツを流用しました。新品は高額ですから。

クランクケース/ケースカバー取付ステーに当たる部分が、不自然に、また適当にパテ盛りにて修理対応してある箇所が2か所あり、ユーザー様に伺うと、過去に大きい事故を起こされた様で、保険修理された様でした。ボルトは脱落しており、オイル漏れ等は、クラッチ側じゃない、クランクシャフトはオイルシールにて漏れる事は無い為、「飾り」近い箇所ですが、ユーザー様のドライバービリティには反します。

…な感じでしたが、アルミにプラの造形パテにて、適当に成形、加工し、ボカシ塗装で完了でした。少しずさんな加工です。ネジ穴にもパテ盛りされていたので、全てを除去するのに、結構な手間が必要でした。 アルミパテにて造形し、ネジ穴を再度切り直し、修正終了です。初めからアルミパテで実施しても同じ加工時間なのですがね。

フューエルレベルが上がらない不具合も発生。レベルセンサーを点検加工します。交換するのもですが、中身の構造は凄く簡単。修正と清掃にて対応します。

燃料計が、ちゃんと上下するのを確認しました。また、タンクはユーザー様、外装パーツをお持ちになられていたので、カバーにて対応です。

車両は完成しました。この後、新規検査を受験し、晴れて約９年ぶりに走りだしました。当店の必要最低限な整備と修正にてコストを抑えた整備に、ユーザー様は大変納得され、感謝も頂戴しました。当店も部品に費用を費やすぐらいなら、手間と修正を実施し、手間のコストを頂戴する方が理に適います。お互いにウインウインです。 凄く費用を掛けたり、虚偽や相場が高くなると「あまり必要の無いバイク」ですから、ユーザーと言う裾は細くなる一方です。こちら側とユーザー様の幅が広くならぬ様、考え、また情報を発信する努力が必要な産業になるはずです。