
マリン後輩
写真撮るの下手ぴっぴ _(:3」∠)_
Rainy Wet Missile Tourer ZZR400限界難民
時代遅れのバイクブログやってます
「 #マリン後輩の最速日記 」 見てね( ◜‿◝ )♡
ZX-12R 01/15 87500オ換 次90500オ・フィ
Z125プロ 06/01 28500オ換 次30500オ・フィ
KATANA 05/01 64000オ・フィ換 次67000オ





ラジオを聞きながらの朝の仕込み。
前日に仕入れた食材を整理し、開店前の準備を進めていく。
「今日はミネストローネにしよう」
大量に買ったトマトを見ながら1人呟く。
「~♪~♪」
ラジオのトークと音楽を聞きながら鼻歌を乗せる。
窓から差し込む日だまり、コトコトと音を立てる鍋、傍らのデミタスコーヒー。
ラジオが11時の時報を伝える。
「ーーさてと」
俺はそれを聞き、店の入り口に移動。
店先のVTR1000SP2のカバーを引っぺがす。
黒い車体に太陽が反射する。
「うん、良き良き」
入口の看板をひっくり返す。
Vistro Vonaparte ouvert
さぁ、今日も開店だ。
店の外にバイクが停まる。
「うぃーす。マスターおはよう」
常連のケイゴがメットを腕に提げ店に入ってくる。
「いらっしゃい。ご注文は?」
「クロックムッシュとブレンドで」
「あいよ~」
注文のメニューを作っていく。
「スープ飲むかい?」
「良いね。今日は何出してくれんの?」
「ミネストローネ」
「おお良いじゃん! 貰うわ」
温めていたスープを出す。
「うまっ!」
「だろう! 新鮮なトマトが手に入ったんよ」
料理を進めていく。
「今日はバイク出してるんだね」
ケイゴが店先のVTRを見ながら尋ねる。
「おう。今日は昼の休憩時間に走ろうと思ってな」
「へぇ~」
窓の外を眺めるケイゴにクロックムッシュとコーヒーを出す。
「ウハッ! やっぱマスターのヤツは美味いね!」
ケイゴの頬張る姿を見て、俺も外に視線を移す。
また1台、店のバイクが停まりライダーが店に入ってくる。
「いらっしゃいま……」
俺は喋っていて言葉に詰まった。
そこに居たのはーー
俺はその昔、ロードレースに出ていた。
幼い頃からバイクに乗り、一進一退の勝負を重ねて1歩ずつ上へと昇格していく。
血反吐を吐くほどに努力し、ようやく年間タイトルに手が届くという所まで行った。
スポンサーも付いた、安定とは言えないが大きな金が手に入るようになった、そして当時付き合っていた彼女ともゴールイン間近
ただ、ひたすらに勝利を求めて闘ってきて、ようやく本当の意味での勝利を掴みかけていた……
そんな時にーー
「うわぁーッ!多重クラッシュだ!23番チーム○○! サカモトォ!」
俺はコケた。
それも周りの複数台を巻き込んでの派手なハイサイド。
俺は錐揉みになったバイクの下敷きになった。
「……あぁ」
気付けば病院のベッドの上、選手生命の断絶を余儀なくされる程の大怪我だった。
だが俺は諦めなかった。
また血反吐を吐くような努力と、身を削るようなリハビリをした。
「やめてよ!」
見かねた彼女の言葉。
そんな彼女をはね除けて、俺はまた ひたすらに勝利を求めた。
もう一度あの場所へ!
「お前は見てろ! 俺は立ち上がる!」
何より彼女の為……と。
全てを自分すらも犠牲にして努力。
そしてそんな生活を数年続けて。
「23番サカモト、今チェッカーフラグ!」
俺はもう一度、レースに帰ってきていた。
昔日の身体能力を取り戻し、再び勝利をこの手に掴もうとしかけていた。
これでようやく。これでやっと…彼女に……
俺は彼女の待つ自宅へと帰る。
「………」
家には誰も居なかった。
《ごめんなさい。もう疲れちゃった》
有ったのは書き置き。
「ははは」
思わず渇いた笑いが出た。
全てを犠牲にした勝利、彼女すらも犠牲にしての勝利だった。
俺はタイトルを獲得した。
喉を掻き毟るほどに欲していたソレを手にした
「ーーー」
手の中のソレはーー
俺はそれを最後にロードレースを降りた。
そして地元に戻り、知り合いの伝で飲食業を始めた。
多少の苦労は有ったが、元チャンピオンライダーという肩書きは大きく、程なくして安定した。
後は たまに舞い込んでくる新型バイクのインプレッションで生計を立てる。
波乱万丈ではあったが、終わってみれば順風満帆。
もはや勝利も何も無い。
「ホノカ……」
俺は店に入ってきた女の子を前に、思わずその名を呼ぶ。
昔日の彼女が居たのだ。
「クロックマダム、カフェラテ」
そんな俺を尻目に、彼女がカウンター座り憮然とオーダーを投げつける。
「ーーあ、はい。少々お待ちを」
混乱する頭。
思わずケイゴに目配せ。
「じゃご馳走さま」
ケイゴが状況を察し、お代を置いて出ていく。
ーーマジか。
「………」「………」
パンと目玉焼きを焼く傍ら、カウンターの彼女を見る。
アンニュイな表情、その瞳は店の外のバイクを見ていた。
俺の黒いVTR1000SP2の横に並ぶは
黒いVTR1000F。
「カフェラテです」
彼女にカフェラテを出す
「…どうも」
彼女の目は外に向いたまま。
どういうことだ。
彼女が出ていったのはもう20年近く前、だとすれば娘か?
「まずいまずい」
とりあえずクロックマダムを作ることに専念する。
そして。
「お待たせしました」
クロックマダムを彼女に出す。
俺も彼女も何も喋らない。
レース前の静けさにも似た、なんともむず痒い感覚。
久しぶりにソレを感じた。
「あの…えっと。VTR1000Fカッコいいね」
引きつった笑みを浮かべ彼女に話しかける。
「ありがとうございます。そちらのSPもカッコいいですね」
「…ありがとう」
会話が途絶える。
気まずさに、とりあえず店のグラスを磨く。
20歳前半の女の子に、40過ぎのおっさんがオドオドしている。
なんとも情けない話だ。
「あの」
彼女が私に視線を移した。
「昼休み、予定有りますか?」
彼女が俺に尋ねる。
「んあぁ、これといって無いよ?」
思わず声が上ずる。
「……待ってます。ご馳走さまでした」
彼女がお代と共に写真を置いて出ていく。
俺は呆気にとられ、去っていく彼女を眺めてしまう。
彼女がVTRに跨がり、ミットを叩くようなパルスを響かせ走り去っていく。
「……て、違う!」
置かれたお金と、写真を確認。
そこには桜が写っていた。
「マジか」
桜。その桜は俺が昔日にデートで何度も眺めていたモノ。
昼休みなど待ってられない!
俺は店の看板をひっくり返し、SP2に火を入れる。
荒ぶるように怒れるVツインサウンドが雄叫びを上げる!
「ワクワクするじゃねぇの」
E/Gの暖気と共に俺の心にも熱が入る。
勝利を求めた
ただソレのみを願った
その果てに俺は今
勝利は目前
あとは進むだけだ
#VTR1000SP #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #Vツインにお熱
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Ninja ZX-12R
2023年01月30日
66グー!
「じゃあお世話になりました〜」
ディーラーから仕上がった愛車を受け取り、イソイソと押していく。
「○○がもうメーカー在庫無いので、〜〜がもう廃盤で〜」
整備のドンが小言、アドバイスをおっしゃる。
「ハハハ、ですよね」
思わず苦笑い。
「ほんじゃま、ウッスウッス」
そしてセルをしばし長押し。
キャンギャンキャン!
ドドンッ!!!!ドルドルドルドル!
ZX-12Rの久方ぶりの勝鬨。
「…フフフ」
ニヤける顔を隠すように、一張羅のフルフェイスのあご紐を締めていく。
ハンドルを握る。
愛車に跨がる。
伝わる振動。
次第に俺の心臓と脳みそのボルテージが上がっていく。
「お世話になりましたー」
静かにディラーから出ていく。
10分ほどして高速に乗る。
ヴォォォォォ!バンッ!ヴァァァァァァ!
雄叫びを上げ疾走する愛車。
「アヒャヒャヒャヒャ!ヨッシャアアア!」
俺は爆笑した。
始まりは友達がバイクにハマったことだった。
最初は1人が250クラスに乗り始めて、その次にもう一人が400クラスに乗り始めて、そして俺も免許取ろっかななって。
そして9ヶ月後には、、、
「俺のヤツぁ200馬力以上でー」
「バーカ、馬力有っても扱えにゃ意味無くね? その点、俺んは最新の電子制御で〜」
「、、、ハハハ」
俺はその時の愛車を見る。
あんなに好きだったのが、急に色褪せて見えた。
その夜。
「なぁ親父」
家のリビングで笑点を見る親父に話しかける。
「今度、親父の12R乗っていい?」
乗り始めて数分で後悔した。
親父が後生大事にしていた古いバイク。
ZX-12Rは噂に違わぬバイクだった。
文句を言い出すとキリがないので、簡単に言うと、ものすごく乗るのに苦労した。
「あ〜もう!チクショウが!」
友達(あいつら)をビビらす為に、乗ろうと考えていた自分の浅はかさに反吐が出た。
そして今日まで乗ってきた親父を尊敬した。
ビビッて歯を食いしばって、この股下の化け物を手懐ける。
いや、その気難しい御心に寄り添っていく。
「ハハハ、こいつは――」
スゴいですや。
苦労して苦労して乗れるようになった12R、ソレに跨り友達とのマスツーに出かける。
まず加速について行けなかった。
次にカーブで反対車線に突っ込みかけた、オマケで危うくガードレールにキスもしかけた。
「おい!大丈夫か」「休憩すっか?」
友達らの優しさがチクチクした。
ああ、、、これが20年のバイクの進化かぁ、、、
でも。
2車線の有料道路。
「ぐぐぐ」
200キロで先行する2台についていく!
凄まじい風切り音と、チリチリと心臓を焼く恐怖。
橋に差し掛かり、周囲の風景が開ける。
吹きつける暴力的な横風!!
「あ⁉」
風に煽られ、前の2人がふらつきブレーキが光る!
フラリと揺れる2つの赤。
まるで逆走するかのように急激に近付く紅い残光。
「““““““」
それらの真ん中を12Rにしがみつきブチ抜く。
チラリと見たメーター、目に焼きつく数字、3○○。
最寄りのサービスエリア。
あーだこーだと話し合い、一通りダベって、ラーメン食って帰路につく。
「お? おかえり。ツーリング楽しかったか?」
家に付くと親父、いや父さんが出迎えてくれた。
「うん」
「そうか! まぁ、無事に帰ってきてくれて安心安心」
「ねえ、父さん」
「あん?」
「12R楽しいね」
俺の言葉。
「だろう♪」
父さんはめちゃくちゃ良い笑顔を作った。
12Rを納屋に戻す。
傍らに停まっている俺の愛車。
窓から差し込むオレンジに照らされ輝くソレに俺は跨がる。
「そうだよなぁ、そうなんだよ」
トンチキな独り言。タンクに伏せ、スロットルをカチャカチャとひねる。
「ブオーンブオーン!」
#ZX-12R #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 -
2022年10月05日
173グー!
motobreak 2022/10/2
#vtr
#sp1
#rvt
#rc51
#sc45
#nl6
#vtr1000sp
#vtr1000
#rvt1000
#honda
#hrc
#hondaracing
#ducati
#monster
#巨摩郡
#バリバリ伝説
#motobreak
#走行会
#茂原ツインサーキット -
2022年09月17日
69グー!
ホンダV10ツ〜リング🏁
台風の近づく中、一向に雨も降りそうもなかったので急遽走れそうな人召集🤣
朝はSさんと2人で作手→加茂農道→矢作ダム→どんぐりで昼食🍜してたら所用を済ませたTさんがRC30で合流👍久しぶりにVTR+RVF+ RC30の3台が揃った😍約2年ぶり? V4×2+Vツイン…最高ですね❤️🔥
もぉ〜とにかく速い2人に挟まれて久しぶりに刺激的な走りが堪能出来ました🎶
#vtr1000sp1 #sc45 #rc30 #nc35 #v4 #vツイン #vfr750r #rvf #honda #vtr1000sp #rc51 #vtwin #vツイン #hrc #wsbk #akrapovic #cabinhonda #74daijiro #鈴鹿8耐 #ホンダ #バイクが好き -
Ninja ZX-12R
2022年09月04日
48グー!
後編はーじまーるよー
「なんぼあんちゃうぬうぬしてらっきゃ。急いでらんだが?」
ふと、東北のSAで休憩してたら隼に乗っていたライダーに話しかけられた。
「あ、はい。友達が弘前市に居るもんで」
「まねでばな、からだもち気ぃつけて、へば!」
隼ライダーが呪文を唱える。
「???、あ、はい。分かりました」
「わっはっは!」
隼ライダーが去っていく。。。
俺は、いがめんちを食べる。
「うわ!これ美味すぎんだろ!」
弘前いがめんちは、とても美味しかった。
「なるほどな、それで12Rで全国を回ってる訳やな?」
関西で会ったブラバのライダーが、たこ焼きを頬張りながら俺をつま楊枝で指差す。
「いや、まぁそうなりますかね」
俺もたこ焼きを頬張る。
「ガっ!? 熱っ!」
口の中でハフハフとたこ焼きを転がす!
激熱の生地に口の中を火傷しかける、いや火傷した。
「ガハハ!アンちゃん食うのヘッタクソやなぁ~!で、次はどこに行きまんねんや?」
「えっほ、ふぎは、、、」
「なんちぃ?」
ブラバのライダーが足をバンバン叩きながら大受けする。
ちくしょーー!こっちはまだ、たこ焼き食ってる途中やっちゅうねん!
しかし、なるほど。確かにこれは美味いね。
「ヘェ~!12Rで全国回っとんけぇ!ご苦労なこっちゃのう!」
中国地方で会った12Rライダーが、がんすを俺に手渡しながら笑う。
「まぁしんどいですね」
がんすを食べてみる。ほう、これは中々。
「じゃろうの!ワシには出来んわ!岡山越えた当たりで腰イワすやろうのぉ」
12Rライダーがおもむろに、がんすにマヨネーズを搾る。
俺も真似てマヨしてみる。
「あ、ヤッベ!美ッ味」
カメラで記念にマヨがんすをパシャる。
「もう何キロ走ったや?」
「そうですね、、、上ったり下ったりして、もうオイル交換をにぃしぃろぉ………」
これぐらいですかね? と指で大体の数字を表す。
「バカじゃ。バイクバカじゃ!」
「がはは!」 「わはは!」
「で、九州まで来たの」
九州縦断中に会いに来てくれたZZR1400ライダーが俺にマンゴーつくしのアイスを手渡す。
「どもども! ですね。やっぱライダーたるもの、九州は何としてでも来たかったですから」
アイスをペロリ。冷たいのにマンゴーの濃厚な甘さが口から脳天を突き抜けた。
「ここまで来たんなら、次は鹿児島からの沖縄ね?」
「いえ、これから福岡まで戻って、それからフェリーで大阪からの関東ですね」
「ばい~!!フットワークの軽かのぉ!」
「最速ですからね」キリッ!
「バカは休み休み言え!」
「バイクバカですから、ってアッ!」
アイスの頬張りすぎて、あの頭痛が俺を襲う!
「おうおう、そんなにおろたえて……ンムっ!」
1400ライダーにも頭痛が襲った。
「明日で九州ともお別れかぁ」
海を望む露天風呂で浸かりながら、しみじみとツーリングを振り返る。
「たくさん走ったなぁ~」
「………」
なんとなく体の向きを変え、向こうに停まっている愛車の12Rを眺める。
「よく頑張ってくれた」
まだまだこれからも走るけどな!
rrr………rrr……。あ?
手元に置いていたスマホが通知を知らせる。
手に取って見てみる。
久しぶり 私分かる? ○○だよ
今さらだけどアナタの愛が
俺はポチポチとスマホを押す。
(アホ✕✕)
「せいっ!」
スマホを遠くにぶん投げて、俺は海に向けて仁王立ちで胸を張る!
「うおぉぉぉぉっっっ!!!!」
先輩に届くように俺は叫ぶ!
水平線の遥か先、先輩が笑ったような気がした。
気が済んだので振り返る。
12Rも笑っていた。
#ZX-12R #俺RIDE #東○海平 #おじゃマリン -
Ninja ZX-12R
2022年09月04日
43グー!
⚠️⚠️⚠️⚠️
今回は話が長引いたので前編、後編で分けてます
(´ε`;)ゞ
どちらか一方でも話としては上手くいってる…はず😅
前編はーじまーるよー
バンピーな山陽道を300キロオーバーで疾走っていく!
時刻は真夜中、貸し切りのような最高の道路コンディション。
愛車ZX-12Rが俺を乗せて風を切り裂いて征く!
凄まじい速さで風景が流れる。
ヘッドライトをビカビカに焚いて、爆音と暴風の中をハンドルにしがみついて疾走っていく。
「ヤッベェ! 全ッ然見えねぇ!恐ェェェ!」
眼前に広がるは暗闇、しかしスロットルは緩めない。
意地と根性と度胸と見栄の4気筒、アドレナリンとエンドルフィンのハイオクガソリンで脳ミソと心臓をブチ回すッ!
ハンドルのスマホナビを一瞥。
「よっしゃおらッ!!!!」
青森まで、あと1000キロ!
真面目に頑張ることにホトホト疲れた。
机にしがみつき、青春をドブに捨てた10代。
高収入な一部上場企業に飛び込み、死に物狂いで働いた20代。
努力はいつか報われる。
諦めなければ夢は必ず叶う。
それを信念に頑張ってきた。
……頑張ってたんだけどなぁ~
30代になった矢先、ソレは訪れた。
「……ごめんなさい」
近所のファミレス、テーブルの向こう側で頭を下げる俺の婚約者、そして。
「許してくれ!」
深々と頭を下げる俺の大親友。
「金は払う!だから俺達を許してくれ!」
対面の2人がテーブルに頭を擦り付ける。
「……そうか」
俺は店の外を眺める。
曇ったガラスに反射して、テーブルの下に、見えるはずもない2人の固く結ばれた手と手が見えた気がした。
これからはより一層、仕事に励もう。で目の前のボケ共を見返そう、そう心に決めた。
だ・け・ど。
「すまない、俺やっちまったらしい」
直属の上司が俺に勢い良く頭を下げる。
聞けば、会社での派閥争いに負けたというではないか。
しかもそれだけに留まらず、なんと1000万単位のチョンボの片棒と、アジア圏への長期出張を押し付けられたらしい。
「俺はもうオワリだ、お前も俺を切れ」
やつれた上司の顔。
入社してこの人にはお世話になった。
仕事のイロハを叩き込んでくれた、ミスをした時は叱ってくれた。そしてその後は決まって家に呼んでくれて、奥様特製の料理を振る舞ってくれた。
バッティングセンターで鬱憤を共に晴らした。休日にはバイクでマスツーにも出掛けた。
「先輩」
俺は思わず上司、、、先輩の肩を。
「ダメだ」
先輩の睨み付ける眼差し。
「─────」
「─────」
「お世話になりました」
俺は元上司に頭を下げた。
新たな部署での仕事は、それほど苦労なく馴染むことが出来た。
そんなある日の昼休憩。
部内での広報で元上司が正式にアジア圏の支部に配属されることを知った。
「……そうかぁ」
それからしばらくして俺は仕事を辞めた。
「なぁ、俺のバイクを貰ってくれないか?」
先輩の激励会&俺のお疲れ会での一幕、ベロベロな先輩が俺に訊ねる。
「え?あの12Rですか、ええ~」
「頼むよ~」
「俺より運転上手ェ先輩でも手焼いてんでしよ、俺に扱えっかなぁ~」
「お願いだって~」
「あ、そだ!先輩も仕事辞めて俺とバイクで旅に出ましょうよ!でぇ~その様子をヨウツベに~」
「頼むわ」
ふと先輩の言葉に違和感を感じ、先輩の顔を見る。
その顔は真っ赤だったけど真剣だった。
「承りました」
俺の言葉を聞くと、先輩は顔を崩して。
「ありがとう!ありがとう!」握手を求めてきた。
「そのかわり」俺は先輩の手を握って。
「代金として、俺の退職金を貰ってくれませんか」
そりゃお前、、、と先輩が。
「お願いします」
俺は先輩の目を見る。
「ありがとう!ありがとう!ブヒィ!」
先輩が感謝と変な嗚咽を漏らす。
「良いんです!良いんです!先輩も頑張って!ズビビ!」
俺も謝辞と変な嗚咽を漏らした。
後日。
「じゃあ、12Rを頼むな」
「了解しました!」
先輩から愛車のZX-12Rを受け取る。
「可愛がってもらえよ」
先輩が愛おしそうに12Rのタンクを撫でる。
「じゃあな!」
先輩がゆっくりとした足取りで帰っていく。
「先輩!」
俺は去っていく先輩の背中に声をかける。
「マジでお世話になりました!また!絶対にまた!」
俺は一生懸命に手を振る!
「おう、またな」
先輩も手を振ってくれた。
「また!絶対にまた!」
俺は先輩が見えなくまで手を振り続けた。
2ヶ月後。
「あ~走った走った」
俺は12Rでのツーリングを終えてヘルメットを脱ぐ。
しっかしアレだな。聞きしに勝ると言うか………。
「ZX-12Rはバケモノか」
俺は12Rのタンクを撫でる。
「明日はどこ行くかなぁ~」
なんて、明日の予定を立てながら、アパートのポストに手を突っ込む。
「あん?」
なんかハガキが来ていた。
どれどれ、、、
「──」
先輩の葬式を伝えるモノだった。
#ZX-12R #俺RIDE #東○海平
#僕のリアル先輩は12Rを80諭吉で押し付けてきた -
Z125 PRO
2022年09月03日
59グー!
冷え込む秋の夜長は23時。
軽く覚悟を固めて愛車に跨がる。
世間の皆様への迷惑を考えて、手短に暖気。
目的地に向けて愛車を走らせる。
しばらくのツーリング。
「うぉっと」
ヘルメットの顎下、襟から吹き込む夜風に身震いを一つ。
そして、これからの事に思いを馳せて、静まり返った国道をダクダクと進んでいく。
目的地が見えてきた。──それは。
「到着」
立ち食いそばであった。
手早く向かい側の駐輪場に愛車を停めて。
「いざ」
一切の迷い無く、動きに淀みを見せず券売機に小銭を投入。
吐き出される半券を握りしめてカウンターへ。
「三ツ矢そば」
しばらくの待機。
「へい、三ツ矢そば1丁」
仏頂面の大将から丼を受け取り、カウンターの隅へと移動する。
「──イタダキヤス」あとはただただ。
ハフ!ハフ!ズルッ!!ズルルルル!
喰らう、ただ喰らう。美味い。
途中火照った口と体からのSOSに、お冷やを流し込む。
たまらない。
っと、立ち食いをしていたら。
──ドンッ!
背中より伝わる衝撃。思わず、シタタとカウンターで腹を打つ。
振り返る。断っておくが、元来立ち食いで他の客の顔を見るのはご法度である。しかし、自らの立ち食いを邪魔されたからには、その無頼漢の顔を拝まずには居られなかった。
「熱いところを貰おうか」
「おっと済まないね、ネギ抜きで頼むよ」
俺は思わず息を飲んだ。
「……月見の銀二、かけの完七……だと……」
伝説の立喰士がそこには居た。
「…お待ち。月見、かけね」
丼を渡す大将の腕に玉のような汗が吹く。
銀二と完七が食らう、月見とかけを食らう。
その姿、その所作、立ち食いの究極形がソコには有った。
見事という他無かった。
立喰士とは成ろうと思って成るものでは無い。
立喰士とは、おしなべて立喰士ゆえに立喰士と成り得るのだ。
「ご馳走さん、寒い時はこれに限るね」
銀二と完七が店を後にする。
伝説の立喰士の立ち食い、思わず俺の頬にハラリと汗が伝った。
「おい、そこの若いの」
突如、出ていく銀二に話しかけられる。
「そばが冷めちまうぜ」
俺の心臓が早鐘を打つ。
顔から吹き出るは滝汗、余りの羞恥に丼で顔を隠すが如く一気にそばもスープもキツネもタヌキも胃へと流し込む。
「ご馳走さん」
トボトボと俺も店を後にする。
湯気が上がりそうなほどに温まった顔にヘルメットを被る。
「──はぁぁぁ」
顎ひもを締めるために見上げた夜空。
ヘルメットで見切れた天頂にフォーマルハウトが輝いていた。
#Z125PRO #俺RIDE #東○海平 #立ち食いそば
#立喰士
-
ZZR400
2022年08月28日
66グー!
貴方と初めて会った日のことを、私は今でもよく覚えています。
最新のSSを見に来ていた貴方。
そんな貴方と店の片隅に追いやられていた私は目が合いました。
一応は名車なんて呼ばれていた私、でもそれは過去の話で。
当時ではもう昔のバイクなんて言われていましたね。
そんな私を一目見て、貴方は……
「これ買います!一目惚れしました!」
と言ってくれて、お家に連れて帰ってくれましたね。
貴方は私に、沢っ山の喜びを教えてくれました。
ツアラーとして遠くまで走ってくれました。
回るエンジンを限界まで回してくれました。
格好いいパーツを一杯着けてくれました。
もう溢れんばかりの、いや溢れて両手から溢れるほどに愛情を注いでくれましたね。
旅先で私がトラブルを起こした時は、決まって貴方は笑っていましたね。
「ありゃりゃ」「おいまたかいの!」「……へへ、このポンコツがぁよぉ~」
もう私としては、そのまま永遠に沈黙したいほどに恥ずかしかったんですよ?
でもそんな私を愛してくれた貴方。
そんな貴方に応えたくて、私も結構頑張ってたんですよ?
貴方の目が、手足が、シートにかかる重みが、貴方の全てが私は愛おしかった。
──だからね。
どうか貴方は前に進んで下さい。
貴方の旅路はこんなトコロじゃ終わらない。
私はここまで、分かるでしょう?
きっと貴方を幸せにしてくれる愛車が、貴方を待っている。
お願いだから、ね?
いい加減に過去の私に囚われるのは止めて、前を向いて下さい。
私はツアラーで、貴方は旅人だから。
貴方が疾走り続けてくれる限り、その旅路に終わりは無いのだから。
距離も時間も飛び越えて、そんな貴方と疾走りたいから。
今度は貴方の心に私を載せて、旅路に連れてって下さいな。
貴方の笑顔は私の笑顔。
貴方の幸せが私の幸せ。
だから、たまにはそんな私を思い出してね。
過去なんかじゃない、今の私(貴方)を愛してね?
さぁ。
明日は秋の晴れ模様。
明日はどこに行こうかしら?
#ZZR400 #俺RIDE #東○海平 #カスタムキャスト
#とりあえず400万円欲しい -
2022年06月12日
136グー!
PIRELLI
FUN TRACK DAY 2022/05/21
#vtr
#sp1
#rvt
#rc51
#sc45
#nl6
#vtr1000sp
#vtr1000
#rvt1000
#honda
#hrc
#hondaracing
#pirelli
#funtrackday
#走行会
#袖ヶ浦フォレストレースウェイ -
2022年05月21日
53グー!
「お父さんは認めません」
父が私の懇願に憮然と言い放つ。
「なんで!? 友達はみんな乗ってるし私もバイク乗りたい!」
思わず声を荒げる。
「ダメです。オートバイなんて認めません」
「クマキチ君はオートバイで事故を起こして、大きな傷が残ったと言うじゃないか? そんなモノに娘を乗せようとするバカが居るか」
ふんすッ! と父が鼻を膨らませる。
「アレは違うよ、アレはクマキチが彼女とタンデムしながら乳繰りあおうとして事故ったんだよ」
必死に説明。しかし。
「乳繰りあうだとッ!? お前!そんなことをやろうと言うのか!」
父のボルテージが上がる。
「違わい!もういい! このバカ親父!」
もう知らないッ!!!
私は立ち上がり飛び出す!
「コラッ!待ちなさい!」
追いかけてくる父を振り切って。
ド! ドドン!
愛車のセローを叩き起こし!
「わぁぁぁぁぁ!」
私は走り出した。
「なぁ、セロー買わんか?」
始まりはゼミの先輩の言葉だった。
「セロー? 何ですかそれ?」
私は首を傾げる。
「バイクだよ、バイク。スッゲェ楽しいぜ」
先輩がニッコニコしながらバイクの魅力を語る。
「あの私、バイクの免許持ってないですけど……」
「まぢ? じゃあ取ろうぜ!」
「ええ~、、、でも、、、」
ちょっと困惑。
「そだ!週末に山行くからさ、付いてこいよ」
しかし、先輩はそんな私を無視し話を進める。
「いや、だから」
割とイライラ。
「じゃあ日曜の朝な」
先輩、満面の笑み。
「……はぃ」
押しきられてしまった。
そして明けて日曜日。
「お待たせ~」
待ち合わせ場所に先輩がやって来る。
「……え?」──これ?
先輩の跨がる細っいバイクに面を食らった。
「さ、さ!乗れ乗れ!」
先輩がポンポンとシートの後ろ側を叩く。
「───」
平均台みたいに細いシート……
恐る恐る乗ってみる。
「ほな行くで~」
トコトコと走り出す先輩にしがみつく。
「恐いか? カシマぁ」
頭を縦にブンブンと振る。
「ガハハハハ!」
先輩がスロットルを回す!
ドンッ!セローが加速し、ずり落ちそうになる!
「キャアアアア!」
○すぞ!
気持ちを込めて、しがみつく手で先輩の横腹を握り込む!
「わ!痛てぇ!痛てぇって!ワハハ」
先輩は悲鳴をあげながら笑った。
先輩にしがみつきながら山へと入っていく。
途中で先輩の友達たちが合流。
みんな細っいバイクに乗っていた。
えっちらおっちら言いながら山を進んでいく。
途中、先輩がコケる。
私も巻き添えで濡れた地面にキスをする羽目になった。
他の先輩たちにもタンデムさせてもらい、キャンキャン言いながら林道ツーリングなるものを味わわされる。
最初はもうテンションダダ下がりで文句言って帰ろうと思った。
でもいつの間にか。
「ギャハハ」「ゲラゲラ」「ケタケタ」
泥遊びにはしゃぐ子供のような先輩達と同じく。
「ワハハ」
私も笑っていた。
途中……
「カシマ、ここはお前が行け!」
いきなり先輩が私に運転の交代を命令してきた。
目の前には浅く抉れた轍の獣道。
「やってやろうじゃないですか!」
受けて立とう!
無免許も忘れ、その場のノリに圧されセローに跨がる。
*これはフィクションです*
*無免許での運転は絶対に止めましょう*
え? これ高ッ! 足が……足りん!
ローに入れフラフラしながら進入!
ガックン!ガックン!と揺さぶられながら。
「わ!わ!わ!」ブィン!ブィン!
見様見真似で獣道を進んでいく。
「カシマ!ビビるな!」
「そだ!カシマちゃんファイト!」
「行け!行け!行け!」
「は!はい!」
ウルセェ! ○すぞ!
………………
「──出来ちゃった」
しゃにむにやってたら獣道を走破した。
振り返り自分が走った獣道を見る。
ものの数十メートルの道、でもそれはとてもとても輝いて見えた。
「やったなぁ!カシマ」
先輩たちが私に追い付いてくる。
「ヤァッッッタァー!」
思わず両手を上げてガッツポーズ!
だがしかし。
ガックン!
ハンドルから手を離したためにエンスト。
そのままセローと共に地面へと倒れる。
「カシマ!」
先輩たちが私に駆け寄る。
「大丈夫か!?」
先輩たちが私を救助し私の顔を覗き込む。
「ヘヘヘ」
私は笑った。
「──うん」
「─はい。気が済んだら帰ります」
「分かってる。私こそごめんね」
飛び出した後、鬼のように掛かってきていた父の電話に出る。
怒声、困惑、そして心配。
電話越しの押し問答。
少しばかり上擦った父の声に心がヂクヂクと痛んだ。
「……うん。じゃまたねパパ」
電話を閉じる。
「ハアァァ~」
飛び出し登った山の上、眼下の絶景を見ながらため息。
なかなかコッチも前途多難ですね。
他人事のように漏らして、セローの横に座り込む。
ふとセローを見ると、小さな傷が目に付いた
傷を優しく撫でる……
「ん?」
ふと視界の端に何かが映る。
ナズナの花が咲いていた。
失礼して一房を手に取ってみる。
「知ってるか?ナズナって食べられるんだ」
いつぞや父とピクニックに行った時の記憶がよみがえる。
「春の七種にも使われるくらいで、生で食べるととっても甘いんだ」
「………えい!」 パクッ!
ナズナを思いきって頬張る!
「ンうぇッ!」ペッペッペッ!
すんごく不味かった。
口を水筒のお茶で濯ぎ、えずきに溢れた涙を拭う。
「文句言ったろ」
ヘルメットを被り帰宅の準備を始める。
──ポッ
スマホの画面にメールが届く。
今日の晩御飯はお前の好きなのも
早く帰ってきな
「ぷはっ!」
パパのメールに苦笑。
しょうがないなぁ~、
登ってきた道をゆっくりと下っていく。
下る道の途中、見落としていた花が咲き誇る場所を見つける。
ツツジの花が咲いていた。
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#セロー乗ってはしゃぐ29歳児