乗りたいバイクはどの免許?バイク・二輪免許の種類や取得費用・方法まとめ
バイクを運転するために必要不可欠な運転免許ですが、乗りたいバイクの排気量に応じて、運転免許取得の難しさや費用も異なります。種類別の取得方法や費用について、基本的な情報をまとめてみました。
1.バイクの免許の種類
あなたがこれから乗りたいバイクのタイプによって、取得するべき運転免許の種類は異なります。バイクの運転免許は、ガソリンエンジンの排気量を基準に以下の7種類に分かれています。徐々に普及が進んでいる電動バイクについては、モーターの最大出力によって必要な免許が異なるので、後述するクラス別の解説をご覧ください。
1-1.原付免許
排気量50cc以下のガソリンエンジン車、電動二輪車ならモーターの最大出力が0.6kw以下の車両に乗ることが出来ます。日常の足として便利な原付は、ユーザーも多いカテゴリーで、免許は最も手軽に取得出来ます。
ちなみに原付は正しい名称を「原動機付自転車」と呼び、自転車に小型のガソリンエンジンを取り付けたのが始まりです。厳密にはオートバイでなく自転車なので、原付バイクは30kmという法定速度や、交差点での二段階右折義務が設定されているのです。ただ、一般の認識では、電動アシスト付き自転車とは異なり、オートバイの1種類として位置付けられています。
ヨーロッパでは125cc以下のエンジンを積んだペダル付きバイクを「モペッド」と呼び、オートバイよりも手軽な存在ですが、日本の法律では原付として扱われています。
原付よりも排気量が大きいクラスのバイクは、小型二輪(125cc以下)/普通二輪(400cc以下)/大型二輪(全てのバイクを運転可)という3つのクラスに分かれています。そして、それぞれにクラッチ操作が必要無いスクーターを中心としたAT二輪車向けの「オートマチック車(AT車)限定」の免許が設定されています。
現在の二輪車の免許区分は、1996年に改正された道路交通法で定められたもので、それ以前は400cc以下の「中型限定免許」と、制限無く乗れる「限定解除」という2種類のみが設定されていました。400ccのバイクが「中型」と呼ばれたり、普通二輪の免許を「中免(ちゅうめん)」、大型免許を「限定解除」と表現することがあるのは、かつての免許区分の名残なのです。

1-2.小型二輪免許/AT限定小型二輪免許
普通自動二輪車(普通二輪)のうち、小型限定で運転が可能な免許です。125cc以下のガソリンエンジン搭載、および出力1.0kw以下の電動二輪車を運転出来ます。法定速度は60km/hとなり、二段階右折の義務がありません。普通二輪と比べると、技能教習が少なく設定されています(普通二輪が19時限なのに対し、小型二輪は12時限)。
排気量が50ccを超え125cc以下というこのクラスの二輪車には、「原付二種」という呼び名があります。さらに排気量によって、
の2種類に分けられています。軽量かつコンパクトながらバイクとしての機能は十分に備わっており、一般道路での車の流れに乗るには十分です。スクーターや実用車が多いクラスです。高速道路は走行出来ませんが、2人乗り(タンデム)は可能です。
1-3.普通二輪免許/AT限定普通二輪免許
普通自動二輪車(普通二輪)を運転出来る免許です。排気量400cc以下のガソリンエンジン搭載車、および最大出力1.0kw以上の電動二輪車も制限無く運転出来ます。このクラスの車両は前述の小型二輪車より車格も大きくなり、高速道路での運転も可能になるので、操作も一段階難しくなります。そのため、技能教習や試験の内容も増え(技能教習19時限、学科教習は26時限)、ここからぐっと取得の難易度も増します。
ちなみにこのカテゴリーのバイクでは、250cc以下は車検がありませんが、250ccを超えると車検が必要になるので、維持費の面で大きな違いが出てきます。
車検の有無による維持費の違いは、こちらの記事でも解説しています。併せてご確認ください。
1-4.大型二輪免許/AT限定大型二輪免許
排気量の制限は無く、あらゆるクラスのバイクに乗ることが可能です。ただし、AT限定免許の大型二輪免許で運転出来るのは、650cc以下のオートマチック車というリミットが設けられています。
全てのバイクに乗ることが出来る大型二輪の免許ですが、取得可能年齢は18歳以上で、普通二輪以下のクラスとは異なります。バイクの中で最も車体が大きく操作も難しいため、技能教習や学科教習の範囲は広くなり(技能教習36時限、学科教習26時限)、さらに難易度が高くなります。
2.免許の取得方法
原付免許であれば、試験場で簡単な適性試験(視力・聴力・身体能力等)を受け、学科試験で90%以上の正答率があれば実技講習へ進みます。3時間の乗り方講習で学科と技能を学べば原付免許が交付されます。
その他の免許の取得には、以下の2つの選択肢があります。
ただし後者は、バイクを運転する技能が無ければ基本的には合格は困難です。普通二輪免許の一発試験で合格率は数パーセントという、非常に狭き門です。多くは免許を取り消しになった経験者が免許の再取得のために使う手段であり、初めての免許取得者のほとんどは教習所に通って免許を取得しています。教習所を卒業した後、試験場にて適性試験・学科試験を受け、合格すれば免許が交付されます。
2-1.教習所経由で取得する方法
指定教習所は、運転に必要な技能・知識を習得するための場所です。バイクの場合は、最初に適性試験の後に学科教習と試験を受け、合格すれば技能教習に進みます。教習所のコース上でバイクに乗って実技教習を受け、公道を走るのに必要な技術を習得することで、試験場では実技試験を免除されるという仕組みです。試験官立会いによる卒業検定を受け、70点以上を獲得すれば晴れて教習所を卒業出来ます。
卒業後の免許試験では適性試験・学科試験(正答率90%以上で合格)をクリアすれば免許が取得出来ます。
2-2.合宿免許について
短期間で費用を抑えて免許を取得したい……そんな方に人気があるのが、合宿免許です。教習所に通うことに集中出来るのに加えて、食事も支給されるので、通いやすい場所に教習所の無い方や、一人暮らしの方には便利です。一般の教習所でも、早期の免許取得に適した補習制度や「クイックコース」等を設けている所があります。
合宿専用の教習所というものは無く、教習所と周辺の宿泊施設が提携してサービスを提供しています。教習所によって費用も内容も異なるため、事前によく比較して決めましょう。最近では、女性専用の合宿設備や、周辺でマリンスポーツのようなレジャーが楽しめるコース等、付帯サービスが充実している合宿免許もあります。
実技教習は1日に受けられる数に限りがありますので、注意しましょう。
2-3.一発試験で取得する方法
一発試験の場合は検定コースを運転する「技能試験」の他、正しく安全な乗り方や知識を学ぶ「取得時講習(3時限)」、事故現場で負傷者を救護するために必要な応急処置を学ぶ「応急処置講習(3時限)」が必要になります。
3.免許取得にかかる費用
「指定教習所」での教習にかかる料金は、当然ながら教習所ごとに異なります。実技の習得状況によってもかなり個人差がありますが、滞りなくストレートで取得出来れば、その分コストも抑えられるので頑張りたい所です。
このあたりが相場とされています。AT免許はクラッチ操作の実技が無い分、MT(マニュアル)免許に比較して1〜2万円安くなります。教習開始から免許交付まで、小型のAT限定でも、最短で10日程度は必要です。
卒業後の免許試験では、試験手数料と交付手数料が必要です。
※標準額なので、都道府県によって変動する可能性があります。
一発試験で受験した方は、上記の費用以外にも、講習費用を用意する必要があります。
4.免許の更新や再交付方法

4-1.更新のタイミング
運転免許の有効期限は、色付きの帯の上に大きく記載されています。新規に運転免許を取得したばかりのユーザーは「初心運転者」とされ、帯の色はグリーン(若葉色)です。第1回目の更新時期は「取得後2年以上3年以内に来る誕生日」で、最初の更新を行うと帯の色がブルーに変わり、初回更新後のみ有効期間が3年間になります。
2回目以降の更新に関しては、交通違反歴によって有効期限が異なります。次の更新までの間が無事故無違反ならゴールド免許証を交付され、5年間有効です。有効期限内に事故や違反をすると、次回更新後はブルーに戻ってしまいます。単純な物損事故や自損事故、「免許証不携帯」のような反則点数の付かない事故や違反の場合はゴールドが維持されます。
過去5年間に3点以下の違反(信号無視や一時停止違反等)が1回だけある場合は、更新後の有効期間は5年間です。過去5年間に1点以上の違反が2回以上、または6点以上の違反があった場合は、更新された免許証の有効期間が3年間になります。
更新の手続きは、更新タイミングとなる誕生日を基点に、1ヶ月前から1ヶ月後まで、合計2ヶ月間です。運転免許試験場や運転免許センターに行ってみると、意外に多いのが期限切れを忘れてしまう、いわゆる"うっかり失効"と呼ばれる人達です。機会がある時に免許証の期限を確認し、早めの更新を心掛けましょう。
4-2.更新手続きの費用
免許の更新にかかる手数料は2,500円ですが、更新時に受講を義務付けられている講習の受講費が加わります。上記の違反歴によって異なり、5年間無事故無違反の方が対象の「優良運転者講習」は500円、軽微な違反が1回のみの「一般運転者講習」が800円、初回更新者講習とそれ以外の「違反運転者講習」が1,350円です。
4-3.更新や再交付手続きの注意点
運転免許証の更新や再交付(再発行)は、運転免許証に記載している住所によって異なります。
申請手続きは上記の場所で行いますが、東京都や神奈川等、都道府県によって異なるので気を付けましょう。たとえば東京都の場合、再交付は警察署では手続きが出来ず、運転免許センター(運転免許試験場)でのみ可能です。
免許証の更新前には免許更新に関する案内ハガキが免許証に記載された住所宛に届きます。手続き前には必ず確認し、それでも不明の場合は運転免許センターに確認してみましょう。
引越しで住所が変わる場合等、更新案内の通知を見逃さないよう気を付けましょう。都道府県の変更を伴う引越しの場合、新しい運転免許を発行する地域の運転免許センター等で手続きを行うことになります。住民票等の現住所を証明する書類等が必要になり、単純な更新とは準備が異なるので注意が必要です。
手続きの受付日時は運転免許センター等によって異なりますが、「平日(月〜金)の8:30〜17:00(12:00〜13:00は除く)」となっている場合が多いようです。詳しくは手続きをする予定の運転免許センター等へ直接お問い合わせください。
更新手続きを行う運転免許センターは、基本的に(一部の運転免許センター、運転免許試験場は除く)土曜日が休みで、日曜日は手続き可能です。各都道府県で対応が異なる場合があるので、運転免許センターに確認して、手続きを行いましょう。「運転免許試験場・運転免許センター」で手続きを行えば原則、即日交付ですが、警察署で手続きを行った場合は後日交付になることが多いです。

5.免停・免取について
交通ルールの違反や事故等を起こすと運転免許の停止、もしくは取り消しといった処分を科されることがあります。違反や事故を起こしたドライバーに科される処分には、
この2種類があります。前者の刑事罰とは、交通に関する法律を犯したことに対するペナルティです。「道路交通法違反」といった言葉を聞かれたことがあるはずです。
後者の行政処分は、違反したドライバーが交通上の危険を起こさないようにすることを目的として、運転免許を取り消したり、一定の期間、効力を停止するものです。
では免許の停止や取り消しといった行政処分は、具体的にはどの程度の違反で対象となるのでしょうか。
5-1.免許停止について
免許の停止期間は、6点を超えると30日、9点以上で60日、12点以上で90日です(前歴無しという前提)。一時停止違反や通行禁止違反といった一般的な違反で、1回ごとに2点が加算されます。スピード違反は法定速度を超えた速度によって細かく区分されていますが、一般道で30km/h以上、高速道路は40km/h以上の速度超過で即・免許停止の対象(=赤キップ)となります。
これはあくまでも違反の経験が全く無かった場合です。過去に免許停止処分を受けた前歴が多ければ多いほど、免停になりやすくなります。たとえば2回以上の前歴があると、2点で即免許停止と、非常に厳しくなります。前歴は過去3年間の免許停止処分の回数で、処分の翌日から1年以上無事故無違反で過ごせば、前歴がリセットされて0に戻ります。
免停期間は、自宅に「行政処分出頭通知書」が届き、指定された日に所轄の免許センターに出頭してからスタートします。仕事等で免許が必要な方への救済措置として「運転免許停止処分者講習」という制度があります。
出頭指定日に講習に参加すると免停期間が短縮されます。いわゆる免停講習や停止処分者講習と言われるもので、免許停止の期間によって短期講習(免停39日以下が対象)・中期講習(免停40日以上89日以下が対象)、長期講習(免停が90日以上180日以下が対象)の3種類あります。参加は任意で、講習費がかかります。
講習後に筆記試験を受け、得点に応じて免停の短縮期間が決まります。30日の免停なら最大で29日短縮となり、実質的な免停は1日となります。かなりの救済措置だと言えます。
免停期間終了後は、処分時に受け取る「運転免許停止処分書」を持参し、定められた返還場所(試験場等で、処分書の裏面に記載されています)に行くか、郵送で受け取ることが出来ます。ちなみに試験場に行く際にバイクを運転していくと、法的には免許が有効であっても免許不携帯となるので、公共交通機関を使いましょう。
5-2.免許取り消しについて
免許停止よりもさらに重い行政処分が「免許取り消し」です。免許証を取り上げられるだけでなく、他のあらゆる免許も取得出来なくなる「欠格期間」が設定されるという、とても重い処分です。
前歴無しで違反点数15〜24点の場合で1年間の取り消しになります。取り消しの期間は最高で10年に及びます。前歴が増えるほど、低い点数で免許取り消しの対象となりますし、過去5年以内に取り消し処分になったことがあれば、さらに2年が加算されます。酒酔い運転等の重い違反行為は「特別違反行為」と言い、欠格期間が長く、累積点数も多くなります。
一発で免許取り消しとなるケースで多いのが、免停期間中に運転して違反をするケースです。無免許運転で違反点数25点が加算されることになり、前歴無しでも欠格期間2年の免許取り消し処分となります。
免許取り消しの場合も赤キップから行政処分時の出頭までの流れは、免許停止の場合と同様です。違反行為に関して情状酌量の余地があるかどうかを確認される場も設けられており、処分が免停に緩和されることもあります。
欠格期間終了後に免許を再び取得するためには、まず「取消処分者講習」を受講し、取消処分者講習終了証明書を取得しなければなりません。費用は30,550円と高額で、しかも講習時に路上講習を行う所では事前に仮運転免許証の取得も必要です。普通に免許を取りに行く以上の手続きが必要になるのです。
免停・免取といった行政処分は、交通ルールを守れない違反者の矯正を目的に行われるものです。刑事処分とは独立して別々に行われるものなので、刑事処分で不起訴や無罪となっても、行政処分では免許取り消しや停止になるという可能性もあります。
入所する教習所の選び方
教習所の選び方には以下の2つの方法があります。
教習所の種類で選ぶ
日本の教習所は大きく分けて2種類に分けられます。
指定自動車教習所(一般的には公認自動車教習所もしくは公認校)
公認校を卒業すると卒業証明書が発行され、運転免許試験場での実技(実際に車を運転する)試験が免除になります。
届出自動車教習所(一般的には非公認自動車教習所もしくは非公認校)
運転と筆記問題の練習をするだけの場所です。免許取得には試験場において、学科及び技能試験を直に受ける一発試験が必要となり、免除項目がありませんが、指定自動車教習所に比べ自由度が高いでしょう。
届け出自動車教習所は、一発試験で合格できれば費用を安く抑えられるメリットがあります。しかし、不合格が続くと、別料金の追加教習を何度も受ける必要があり、結果的に費用が高くなってしまうので、指定自動車教習所を選ぶ人が圧倒的に多いです。
生活スタイルによって教習所を選ぶ
教習所も場所によって様々なプランを用意しています。たとえば、以下のような生活スタイルには、次の教習スタイルが合うでしょう。
このように、自分の立場や生活スタイルによって、空いている時間が変わります。一度自分が通える時間帯を整理して、教習所のプランがそれに対応しているかを確認しましょう。
バイク免許取得に必要なもの
教習所に通うときは、以下の書類が必要です。
教習所
本人確認書類は、すでに免許取得済みの場合は免許証、学生の場合は学生証となります。また、料金が先払いになることもあるので、ローンを組まない限りは必要な費用を用意していきましょう。
次に、運転免許センターでの試験で必要なものを見ていきます。
試験場(運転免許センター)
上記の他に、試験場にある「運転免許申請書」と「受験票」を用意しましょう。
まとめ
法律の改正等でも手続きに必要な方法や費用には変更が加えられることがあります。免許の種類や取得方法、費用、更新や再発行の方法まで、事前によく把握しておきましょう。
本記事は、2016年10月17日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。