Ténéré700は国産アドベンチャーモデルのなかでも特にオフロード性能に秀でている。エンジンこそMT-07をルーツに持つ並列2気筒エンジンを使っているが、足回りやフレーム、スイングアームなど多くのパーツが新規開発された本気のマシン。その性能は、本格的なオフロードコースでも走行可能なほどだ。
フロント90/90-21、リア150/70-18はオフロードマシンと同径のホイールサイズで、荒れた林道にも入っていくことができる。テネレは純正でPIRELLIのSCORPION RALLY STRを採用するなど、タイヤからもオフロードに振っていることがわかる。
テネレのシート高は875mmとやや攻め気味だが、低身長ライダーのためにオプションで-20mmのローダウンシートが用意されている。また、リンク長を変更することでさらに-18mm下げることができるローダウンリンクもある。
最低地上高の240mmは同クラスではKTMの790アドベンチャーに次いで高い。ステップのラバーは脱着式で、シフトペダルは可倒式、エンジン下部にはアルミ製アンダーガードなど、オフロード装備が充実している。
アフリカツインは1100にモデルチェンジした後、サスペンションの長い限定販売のsモデルやDCT、ビッグタンクを搭載したAdventure Sportsなど多数のラインアップがある。旧モデルの1000Lなら100万円を切る中古も。また、F 850 GSはBMWの味ともいえる水平対向2気筒エンジンではなく、これまた人気の高い並列2気筒エンジンを採用。
近年発売された大型アドベンチャーのなかでもオフロード性能が評価されているのが、この2モデル。790アドベンチャーは75度位相クランクのパラレルツインエンジンを採用し、Vツインのような鼓動感と振動の少なさを両立。790アドベンチャーは2019年、テネレは2020年に登場したばかりで、中古市場を賑わしてくれるのはもう少し先になりそうだ。
ダカールレーサーであるCRF450RALLYを彷彿させる外見を持つ。車体は本格的なオフロードモデルであるCRF250Lのものなので、ほとんどオフロードバイクと変わらぬスペックで林道での走破力はピカイチ。足つきを劇的に改善したType LDもラインアップ。大きなモデルチェンジでもなければ中古相場は安定だろう。
フロント21インチ、リア18インチは一般的なオフロードバイクのホイールサイズと同格だ。異なる点は、重さを支えるために剛性を上げるべく、リム幅が広い点。少し前まではこのリム幅に適合するオフロードタイヤはかなり限定されていたものだが、最近のアドベンチャーブームに乗っかって各タイヤメーカーからこのサイズに適合したオフロード性能の高いタイヤが多くラインアップされ始めている。 ライディングフォームも、シートの真ん中でほぼ垂直に座る姿勢が自然体となり、オフロードバイクのそれと変わらない。つまりこのホイールサイズのアドベンチャーはまさにビッグオフ、大きいオフロードバイクなのだ。 最低地上高やシート高、車両重量の数値を見ても、やはり790アドベンチャーはかなりオフロードに振られていることがわかるだろう。逆にアフリカツインなどはシート高も低めに設定され足つきが考慮されており、ロードツーリングの快適性も考えたうえでベストバランスを追求したモデルといえる。また、今年ヤマハが発売したテネレ700はまさにその中間をねらったモデルで、電子制御を最低限にとどめた代わりに多数の新作専用パーツを採用し、充実したオフロード性能を獲得している。
BRIDGESTONEBATTLAX ADVENTURECROSS AX41
問:株式会社ブリヂストン https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/
CONTINENTAL TKC 80 Twinduro
問:株式会社ウインズジャパン https://conti.wins-japan.co.jp
オフロードに寄ったアドベンチャー乗りにとって福音とも言えるタイヤが、ブリヂストンのAX41だ。ブロックパターンからも一目でわかるオフロード性能の高さと、幅広いタイヤサイズのラインアップが秀逸。また、CONTINENTALのTKC 80 Twinduroも海外で評価の高い定番のアドベンチャータイヤだ。
ライダー中村 友彦
21インチはやっぱり悪路の走破性が抜群に高いです。たとえば19インチのVストロームでモトクロスコースを走れと言われたら、とても無理だけど、21インチのテネレならなんとか走れちゃいます。しかし21インチは乗り方が17インチのオンロードバイクとはだいぶ違うので、オンロードと同じ感覚で峠を攻めたりするのは難しいです。オフロードに入らない人にとっては21インチのメリットはないと言っていいでしょうね。
※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年11月)。