多少重さは気になるものの、ある程度オフロードに慣れていればV-STROM1050XTはフラットダートくらいなら楽々こなせる性能を持っている。加えて高速道路での安定感や、最新モデルに搭載されているトラクションコントロールをはじめとした電子制御は、ツーリングでも大きな恩恵をもたらしてくれる。
フロントは110/80-19、リアは150/70-17とリッターモデルとしては比較的細めのタイヤサイズをチョイスしている。XTはチューブレスにも対応するスポークホイールを採用している点も見逃せない。
座り心地のよいシートはXTでシート高850mm。フロント19インチのモデルのなかではやや高めの設定だ。標準装備された大きいリアキャリアは積載能力に優れ、キャンプツーリングへの適性はかなり高い。
最低地上高は160mmとかなり低い。マフラーもロードモデルと変わらぬ高さに装着されているため、小川越えや岩場などはまったく想定されていない。エンジンは長年熟成されてきた水冷Vツイン。
リッタークラスのこの2車種は無印とオフロード向けなXT(Adventure)のそれぞれ2モデルがラインアップされている。近年モデルチェンジしたばかりなため中古価格が高騰中だが、逆に旧モデルのV-STROM1000、R1200 GSまで選択肢を広げれば100万円以下の中古個体も存在する。
普通自動二輪免許で乗ることのできるモデルではこの2車種をピックアップ。2013年から販売されている400Xは中古価格もこなれてきて、入手しやすいが、フロントタイヤが19インチになったのは2019年モデル以降なので注意。390ADVENTUREは今年発売したばかりのニューモデルのため中古も高価。
エントリーに適した250ccクラスにもアドベンチャーモデルが存在する。カワサキのVERSYS-X 250は、2019年からパニアケースやハンドガードが付いたTOURERのみのラインアップになっているが、2017、2018年には無印のモデルも存在し、そちらであればさらに安価な中古個体も。
ネイキッドやスポーツバイクにおいて最も一般的といえるホイールサイズは、前後ともに17インチだ。では、フロントを19インチ化するメリットとはなんだろうか。それは少し荒れたアスファルト道やフラット林道によくある枝や小石といった障害物を乗り越えやすくなることだ。タイヤ径が大きくなることによって、相対的に障害物が小さくなり、タイヤがとられにくくなる。当然フロント21インチのほうがより走破力は高くなるわけだが、オフロードバイクに慣れている人でないと乗りこなすのが難しい。オンロードからの乗り換えでも違和感なく乗れる、ちょうどいいホイールサイズが前19-後17インチというわけなのだ。 ほかには最低地上高が高いものほど、オフロードでは走破力が高くなるし、サスペンション長も長く取りやすい。シート高が高いほど、スタンディングとシッティングの変更が楽になる。重量に関してはいわずもがなだろう。そういう観点でスペックから見てしまうと、390アドベンチャーがいかにオフロード性能に秀でているかが、よくわかる。 しかしもちろんエンジン特性など数字だけで測ることのできない魅力もあるし、オフロード性能が高いことが、よいアドベンチャーマシンの証というわけでもないのだ。
PIRELLI SCORPION RALLY STR
問:ピレリジャパン株式会社 https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/
DUNLOP TRAILMAX MIXTOUR
問:住友ゴム工業株式会社 https://dunlop-motorcycletyres.com/
ロードツーリングなら純正タイヤのままでも問題はないが、もう少しフラットダートでのストレスを軽減したいと感じたらタイヤを交換してみよう。これらのブロックタイヤならば、ロードでの安定感を犠牲にすることなく、ちょっとした砂利道での不安感を軽減することができるだろう。
ライダー稲垣 正倫
21インチだと大きすぎてオンロードのような走り方はできないし、17インチだと小さくて凸凹や障害物を越えるのが大変です。つまり19インチは長年かけてアドベンチャーバイクがたどり着いたベストアンサーなのではないでしょうか。近年ではタイヤも幅広い選択肢から選ぶことができるようになっており、オン・オフどちらにも対応できるホイールサイズと言えます。ただし、モトクロスコースのような激しいオフは難しいですね。
※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年11月)。