ジェネシス思想から創出された国内4ストモデルの新たな進化
従来の空冷XJから脱却し、新たな4ストモデルの開発にあたり、ヤマハはジェネシス思想を採りいれた。これはエンジンの吸排気効率を高めて高性能化を推し進めると同時に、車体の低重心化も促進させるというもの。いろいろと模索した結果、シリンダー前傾角を45度に設定し、具現化したのである。
1985年に発売されたFZ750にまずその思想が採用された。このニューエンジンは国内仕様では77馬力に抑えられていたが、輸出仕様では100馬力を発生。スタイリッシュなスタイリングも手伝って、一気に注目の的となった。
さらに250ccクラスに初の水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンを採用したFZ250フェーザーを送り出す。ヨーロピアンスタイルのボディと、16000回転まで吹け上がる驚異の高回転型エンジンは、400ccクラスのスポーツモデルに迫る走りを見せた。
こうしてFZで確立されたジェネシス思想は高性能マシン創出の基礎となったのである。
FZ400N
1985-1986
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:399cc
43.4kW(59ps)/12000rpm
36.2Nm(3.7kg-m)/10000rpm
187kg
該当車両なし
レーサーレプリカとして人気を博したFZ400Rのノンカウルバージョン。角型ヘッドライトが装備され、ネイキッドモデルとして違和感のないフォルムを形成していた。安定感のあるハンドリングが特徴。
FZ250 Phazer
1985-1986
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:249cc
33.1kW(45ps)/14500rpm
24.5Nm(2.5kg-m)/11500rpm
156kg
14万8000円
ジェネシス思想から生まれたクラス初の水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは、16000回転まで伸びる超高回転型。最高出力も45psとクラスオーバーの実力を発揮した。タイヤは前後16インチで低重心設計だ。
FZ750
1985-1986
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:749cc
56.6kW(77ps)/9500rpm
68.6Nm(7kg-m)/6500rpm
232kg
42万7000円
ジェネシス思想を採りいれて高性能化を図ったFZ750は、狙いどおりのハイパフォーマンスを発揮した。角パイプによるダブルクレードルフレームにマウントされた前傾角45度の水冷DOHC5バルブ並列4気筒は、カナダ仕様で110psというパワーを絞り出していた。
FZX750
1986
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:749cc
56.6kW(77ps)/9500rpm
69.6Nm(7.1kg-m)/6000rpm
203kg(Dry)
28万3000円
ドラッガー風のスタイリングで登場した個性派モデル。FZ750と同じパワーユニットをベースに、中低速域でのエンジン特性を向上させている。ロングホイールベースで直進安定性も高い。
ZeaL(FZX250)
1991-1999
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:249cc
29.4kW(40ps)/12000rpm
26.4Nm(2.7kg-m)/9500rpm
145kg(Dry)
21万7000円
飛び跳ねるイルカの姿をデザインモチーフにしたユニークで個性的なフォルムで登場した250ccネイキッド。FZR250の水冷エンジンを中低速型に変更し、日常域でより扱いやすい特性としていた。735mmの低いシート高は女性ライダーにも最適だった。
FZ750
1987-1989
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:749cc
56.6kW(77ps)/9500rpm
68.6Nm(7kg-m)/6500rpm
232kg
36万5000円
開発のテンポは迅速だった。FZ750登場の2年後にはFZR750が登場。FZは旧型となった。だが、フルカウルやシングルシート装備でスポーティさを強調して販売が続けられた。
FZ400L
お世話になった人も多い?
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:399cc
N.A.
N.A.
N.A.
1986-
普通二輪免許の教習車として採用された400ccのネイキッドモデル。FZRのノンカウル版であるFZ400Nもその1台だった。教習車らしくハンドルはアップタイプに換装されていた。名称はFZ400L。
FZS1000
2001-
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:998cc
105.2kW(143ps)/10000rpm
106Nm(10.8kg-m)/7500rpm
231kg
60万3000円
鋼管製ダブルクレードルフレームに、01年型R1の水冷パワーユニットを搭載したネイキッドスポーツモデル。エンジンは中低速で扱いやすい特性に変更され、市街地からワインディングまで走りが楽しめる性能を実現。それでも140psを越える最高出力を発生していた。
FZ400
1997-1999
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:399cc
39kW(53ps)/11500rpm
37.2Nm(3.8kg-m)/9500rpm
177kg
31万8000円
当時、人気の高かったネイキッドモデルに空冷のXJR400をラインアップしていたヤマハだが、新たに水冷パワーユニットを搭載したFZ400を投入。ハーフカウルを装備したデザインはスポーティでスタイリッシュ。アップハンドルの採用でポジションも快適だ。
FZ-6S Fazer
2004-
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:599cc
72kW(98ps)/12000rpm
63.1Nm(6.4kg-m)/10000rpm
187kg(Dry)
59万2000円
FZS600に代わる次世代型ミドルネイキッドスポーツとして欧州市場に投入されたFZ-6S。新設計CFダイキャストアルミフレームに、YZF-R6から移植された水冷パワーユニットをマッチさせた。
FZS600
1985-1986
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:599cc
69.8kW(95ps)/11500rpm
60.8Nm(6.2kg-m)/9500rpm
189kg(Dry)
該当車両なし
YZF600Rの水冷パワーユニットを、中低速重視型へと見直しを図り、FZ400と同デザインのボディに搭載した欧州向けミドルスポーツネイキッド。最高出力95psは十分な性能だった。
FZ1
2008
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:998cc
69kW(84ps)/9000rpm
80Nm(8.2kg-m)/7500rpm
219kg
85万1000円
新設計のアルミフレームに04年型R1の水冷エンジンを搭載するFZ1は、異型ヘッドライトを採用したストリートファイター的スタイリングで人気を集める。08年から国内販売が開始された。
FZ1 Fazer
2006-
水冷4サイクル4気筒DOHC5バルブ:998cc
110.3kW(150ps)/10000rpm
106Nm(10.8kg-m)/8000rpm
225kg
73万円
FZS1000の後継モデル。高速の快適性を高めると同時に、スポーティなイメージを強調。力強いエンジンと安定性が高く軽快なハンドリングで、ワインディングも楽しい。
小排気量のFZ系モデル
欧州、北米、そして日本と、かつてバイク市場の中心だった地域に代わり、このところ活気にあふれている東南アジア。大型バイクの普及はまだまだだが、小排気量クラスの需要は非常に高い。日本の各メーカーも現地生産というかたちで数多くのバイクを送り出している。スポーツモデルの人気も高く、ヤマハではスポーツネイキッドのFZ1をイメージしたモデルを投入。さらなる市場の活性化を狙っている。
FZ16
2008-
空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ:153cc
10.3kW(14ps)/7500rpm
14Nm(1.4kg-m)/6000rpm
137kg
該当車両なし
クールストリートファイターをコンセプトに、市街地を活発に走るスポーツモデルとして新開発されたFZ16。生産はインドで、FZ1に酷似したボディに153ccの空冷単気筒を搭載する。
YZF-R15
2008-
水冷4サイクル単気筒SOHC4バルブ:149.8cc
12.5kW(17ps)/8500rpm
15Nm(1.5kg-m)/7500rpm
131kg
該当車両なし
やはりインドで生産されるスポーツモデル。FZ1フェーザーの小型版といったデザインで、エンジンはフューエルインジェクション装備の150cc水冷単気筒を搭載。ミッションは6速となる。