2024/11/29 21:50:15 更新【スクーターバッテリー交換】スズキ アドレスV125S バッテリー交換スズキ アドレスV125S
バッテリーあがりで入庫いただいたスズキアドレスV125S ロングスイングアーム化されたカスタム車両です。 当店で販売した車両ではないのですが、初めてご来店いただきました。
バッテリーがあがったときはキックスターターペダルがあると、それでエンジンを一時的に始動させることができます。 但し、これはあくまでも「一時的に」始動させるだけであり、緊急用だと思ってください。 例えば出先でバッテリーが弱ってしまい、セフルスターターで始動できないときにキックスターターで始動するという使い方です。 その後、速やかにバッテリーを交換しましょう。 現代のインジェクション化されたオートバイはECUと呼ばれるコンピューターが搭載されています。 バッテリーが弱くなり、一定以下の電圧になるとECUはエンジンを停止させてしまいます。 つまりキックスターターで始動できると言っても一時的であり、速やかにバッテリー交換(または充電)が必要です。
バッテリーの寿命は使い方で大きくかわります。 目安として、使用開始から2年以内であればバッテリーが上がってしまった場合は充電してもいいかもしれません。 充電しても回復しなければ交換です。 2年以上経過しているバッテリーなら交換してもいいと思います。 ちなみにGSユアサといった有名メーカーのバッテリーの補償期間は購入から12か月、または走行20000キロまで。 これからもわかるように、皆さんが思っているよりもバッテリーは早く寿命を迎えます。
装着されて弱っていたバッテリーは台湾ユアサ製バッテリー。 新車に採用されることもあるバッテリーでコスパも良く人気があります。 搭載されているバッテリーの性能を表す数値に「CCA」と言うものがあります。 コールドクランキングアンペアの略で、エンジン始動時にエンジンを始動させる力がどれくらいあるのかを表します。 クランキングってエンジンのクランク軸をまわしてエンジンを動かすこと…つまり冷えているエンジンを回す(コールドクランキング)ために必要な電流(アンペア)という意味ですね。 バッテリーのテスト時にはふたつの数値をチェックします。 ひとつが電圧(ボルト)で、ひとつがCCAです。
通常、エンジンを始動させるためには(車種によりますが)12V(ボルト)以上の電圧が必要です。 この電圧は電気を押し流そうとする力だと思ってください。 せっかくバッテリーにため込んである電気があっても、その電気を押し流そうとする力が弱ければエンジンは始動できません。 電圧が低下したら充電してあげる必要があります。 セルボタンを押すとリレーが作動し、一時的にバッテリーがセルモーターと直結になります。 大電流でセルモーターが可動します。 実はここが大事なポイントで「大電流でセルモーターを可動」させるということです。 電圧(電気を押し流そうとする力)が十分にあることは大前提として必要なことなのですが、もう一つ大事なのがその電気をどれだけ流せるか… つまり電流(アンペア)が大事なんです。 これでお分かりになったと思いますが、電気を押し出す力である「電圧」(ボルト)が正常で、その電気をセルモーターにたくさん流す電流(アンペア)が適正でなければいけないのです。
搭載されていたバッテリーサイズの規定CCAは105Aです。 テスターで診断すると20Aしかありません。 これは正常であれば105Aの電気を流すことができる(電流)はずなのに、劣化によって20Aしか流せなくなっていることを表します。 同時に測定した電圧も6.56Vと低すぎてとても始動させられません。 充電しても電圧がどこまで回復するか…仮に回復させてもその電気を流すCCAが低すぎるのでやっぱりこのバッテリーは寿命です。 要交換です。 実測(計測結果)CCA20÷基準CCA105×100×19.05…この計算式で現在のバッテリーの状況がわかります。 基準性能に対し19.05%しか発揮できておらず劣化しているということになります。 仮にこのバッテリーのCCAが80程度あれば76%以上の性能を維持していますので、バッテリーが上がっていても(電圧が低下していても)充電すれば使える可能性があります。 逆に現在の状態ではいくら電圧が上昇しても使い物にはなりません。 必要な電気量を流すことができないのです。 できれば規定CCAの80%以上はキープしておきたいです。
交換するために用意したバッテリーは欧州のBSバッテリー。 近年、レースのサポートなどでもよく見かけるブランドで2021年MotoGPチャンピオンのファビオ・クアルタラロ選手のスポンサーにもなっています。 彼のヘルメットにはBSバッテリーのロゴがありますね。 またイタリアのスポーツバイクメーカーMVアグスタの車両の純正品として採用されています。 信頼性も高く、それでいて比較的価格の安いコスパの良いバッテリーです。 ミッツ・ハーでも納車前点検整備で使用することがあります。 新品のBSバッテリーをテスターで診断します。 工業製品ですから不良品が発生する可能性はゼロではありません。 かならず新品でもテストはします。 新品のBSバッテリーのCCAは規定値105Aに対し225Aです! これなら必要な電気を一気に流せます。
新しいバッテリーは搭載して終わりではありません。 搭載してからエンジンを始動し、適正に充電されているかをテストします。 いくら新しいバッテリーでもオートバイの発電装置が故障していればすぐにバッテリーがあがってしまいます。 バッテリー自体の劣化状態のテストだけでなく。オートバイ側の充電状況のテストも必ず実施します。 ミッツ・ハーではトップブランドのGSユアサ製バッテリーや古川バッテリー(FBバッテリー)、今回ご紹介したBSバッテリー等さまざまなメーカーのバッテリーをご用意します。 使用用途や予算によってご提案できる商品がありますのでどうぞお気軽にご相談ください。 また、今回のように当店で購入した車両でなくても整備や修理をお引き受けいたします。 メーカーやカスタム内容によってはお引き受けできない車両もございますので、まずはお問い合わせいただければ幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。