レッツ4 信号待ちでエンスト。そのままエンジンが掛からない症状の修理と、その原因について。(WATANABE MOTORS T-BIRDの作業実績 2020/01/10)|バイクの整備・メンテナンス・修理店を探すなら【グーバイク(GooBike)】

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2020/01/10 23:33:44 更新レッツ4 信号待ちでエンスト。そのままエンジンが掛からない症状の修理と、その原因について。スズキ レッツ4

作業実施日 2020/01/10

今回はレッツ4のエンジンが掛からない症状の修理と、最近Fi車(トゥデイ・V50等)で多発しているエンジンが掛からない症状の原因について。 特に原因について多く解説します。

今回の車両はレッツ4。エンジンが掛からないといった症状です。 状態はセルは回るが、とても軽く回る。例えると、ギヤが噛み込まないで空転している…。そのようなイメージです(実際にはギヤは噛みこんでいます)。 尚且つ、フューエルポンプは動いている(キーONで「ジー」と音がする)、プラグから正確に火花が飛んでいる。このような状態でエンジンが掛からない場合に原因として多いのはエンジン・燃焼室内でカーボンがバルブに噛み込み、圧縮不良を起こしていることです。そして今回の場合もカーボン噛みの症状そのものでした。

簡易的に修理する方法としてはプラグホール等からエンジンコンディショナーを注入しカーボンを取り除くといった方法が取られます。カーボンの堆積が軽度の場合はこれで改善することが多いのですが、堆積が多い場合、エンジンを分解して直接洗浄を行うことになります。

エンジンを分解しました。シリンダーヘッド、ピストンの上部にカーボンの堆積が見られます。

この状態で検証の為、燃焼室内にパーツクリーナーを流し入れてみます。 反対側から確認すると、すぐにパーツクリーナーが流れてきました。ということは、何らかの理由でバルブが正しく閉まりきっておらず、圧縮が上手くいっていない状態。正しく混合気の圧縮が行われないと、エンジンは始動することが出来ません。特に排気側の圧縮漏れが多いようです。

次にピストンの上部の状態。カーボンが少し剥がれかかっています。これをピックツールを使い触ってみると、すぐに大きく剥がれました。とても剥がれやすいこの状態が、カーボン噛みを引き起こします。

この車両はこの後燃焼室・ピストンを洗浄し、バルブ擦り合わせを行い、消耗品を交換し、組み上げると正常にエンジンを始動することができました。

ではこのカーボンが堆積する理由は何でしょうか? これには「エンジンオイル量」が関係しています。

もしかすると、50ccスクーターをオイル交換に出した時に、店員さんから「オイルが白濁しているから早めに交換しましょう」や、「少し乗ってすぐにエンジンを止めるとエンジン内部に水分が溜まる」と聞いた事があるかもしれません。これはどちらも正しいのですが、では何故白濁するとダメなのかについて少しだけ詳しく解説します。

水分が溜まってダメな理由はそれぞれあるのですが、今回はカーボン噛みについてなので「オイルの量が増える」という事に絞って解説します。 オイルに水分が混ざるとその分オイル量が増えてしまいます。現在のバイクは「ブローバイガス」というエンジン内に溜まった不燃焼ガスをエアクリーナーに戻し、再燃焼させようと設計されています。エンジンが正常な場合は正しく再燃焼されていくのですが、オイルの量が増えるとこのブローバイガスがエアクリーナーに戻る通路を使いオイルがエアクリーナーケースに入ってしまいます。こうなると混合気にオイルが混ざるようになり、不完全燃焼が起こりカーボンが溜まって行く・・といったサイクルになってしまうのです。お使いのバイクを見てエアクリーナーボックスの下部にオイルの滲みがあったりする場合は、オイルが溜まっている可能性があるので、洗浄することをお勧めします。通常エアクリーナーケースにもオイルドレーンが設けられているので、たまに外して洗浄することで、過度にオイルが溜まることを防止出来ます。

カーボン噛みを経験して、プラグホールから洗浄しても、防止としてオイル交換だけで済ましてしまうケースが多いのですが、エアクリーナーケースの洗浄(多くの場合エアクリーナーの交換)を行わないと、すぐにまた再発することになってしまうばかりか、プラグホールから洗浄剤を入れたことで、燃焼室内のカーボンが剥がれやすくなり、さらにカーボン噛み込みのリスクが増えるだけとなってしまう為注意が必要です。

さらにカーボン噛みが多発する原因として、燃費対策によりフリクションロスを軽減する目的でバルブスプリングを弱く設定し、その為カーボンを噛み砕く事が出来なくなってしまっている事も原因の一つとしてあります。

たまにしか乗らない場合や、短距離を繰り返す乗り方以外に、通常使用の場合でもオイル量のチェックは必要です。ゲージを確認し、適正オイル量に入っていればOKなのですが、適正量の真ん中あたりから少し上がベストです。もし多めに入れてしまうと、水分の混入の有無に関係なく、エアクリーナー内に混入するオイルが増えるのでカーボン噛みの症状が起こりやすい状態になります。こまめにチェックを行うならば半分くらい入っていれば十分だと考えます。

メンテナンスしていないからと考えがちなトラブルですが、オイルの量によってもトラブルは起こりますので、正しいメンテナンスを行い、正常な状態にバイクを保つ事が大切です。 いつでも気軽にご相談ください!

対象車両情報
メーカー・ブランド
スズキ
車種
レッツ4
作業時間目安

3時間

作業実績タグ

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