ハッシュタグ 疾四踏会のカスタム・ツーリング情報4件

  • グーバイクTOP
  • モトクルTOP
  • ハッシュタグ 疾四踏会の検索結果一覧(1/1)
  • 疾四踏会の投稿検索結果合計:4枚

    「疾四踏会」の投稿は4枚あります。
    TTT2B疾四踏会管楽十二鉄鋼楽団(´ε`;)ゞ(´ρ`) などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例など疾四踏会に関する投稿をチェックして参考にしよう!

    疾四踏会の投稿写真

    疾四踏会の投稿一覧

    • 1
    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年07月03日

      53グー!

      「おい! 離せよ!」
      疾四踏会の拠点、レストランの駐車場で少年が声を上げる。
      「痛って! 俺の腕はそっちには曲がんねぇよ!」
      腕の関節をキメられ痛みに別の少年も悲鳴を上げる。
      疾四踏会のメンバー達に囲まれ、少年達が地面に突っ伏し大人達を見上げる。
      スタングレネードを店に投げ入れたのは3人の男子高校生だった。
      曰く派手な車やバイクが屯しているのに腹が立ち、度胸試しで犯行に及んだとのこと。
      「どうします? 南務さん」
      メンバーの1人が熊のような男、南務に尋ねる。
      「どうするってもな~」
      南務がしゃがんで少年の1人と目線を合わせる。
      「しっかしお前ら大したことなかったな、ものの10分足らずで捕まるとか情けねぇぞ」
      南務が少年達の族車を一瞥し、呆れたように話しかける。
      「知らねぇよバーカッ!」「 俺達ャ先輩の魂乗って走ってんだ。あんたらこそ、なにマジになってんの? バッカじゃねぇの!?」
      唾が飛ぶほどに少年が叫び挑発する。
      「おらガキてめぇ!」「チ○ドン屋みてぇなバイク乗ってるお前らこそ恥を知れ!」
      メンバー達がいきり立つ!
      「やめろ」
      南務がメンバー達を制する。
      「あぁ、もういい。お前らもう帰んな。明日も学校有るんだろう?」
      南務が立ち上がりメンバーにハンドサインを示す。
      少年達を囲っていたメンバー達が輪を崩した。
      「さぁ、とりあえず今日は解散だ。姉さんも鋭助君 の勧誘に失敗したらしいし、俺達も帰ろう」
      南務を筆頭に疾四踏会のメンバーが帰り支度を始める。
      「おい! おっさん帰んのかよ!?」
      少年の1人が声を荒げる。
      「おう。帰るぞ、お前らも早く帰んな」
      「バカにすんな! 子供扱いすんなよ!」
      「じゃあ子供扱いされねぇように腕を磨け。今のお前、俺から見たらイキったチワワにしか見えんぞ」
      「っくぅ!」「くそジジィが……」「………」
      うつむく少年達、そして南務の言葉にメンバー達がゲラゲラと爆笑する声が夜に響いた。

      電気の消えた真っ暗な駐車場。
      「あの」
      店から出てきた南務に残っていた少年が声をかける。
      「あん? おいおい、まだ残ってたのかよ……」
      南務が面倒臭そうに対応する。
      「俺を疾四踏会に入れて下さい!」
      少年が勢い良く頭を下げる!
      「?」
      「俺、疾四踏会で走りたいです! すぐに腕つけて皆さんみたいに速くなります! お願いしますッ!」
      「お前、バイクは?」
      「親父のお下がりですけど、不動車のZXR400あります」
      「なるほど」
      「お願いしますッ!」
      少年が再び頭を深々と下げる!
      「1つだけ質問良いか?」
      南務の問いに少年が頭を上げる。
      「お前、管楽団好きか?」
      「○ぬほど嫌いです」
      「OK。合格だ」
      南務はそう言って1枚の名刺を少年に渡す。
      「ようこそ疾四踏会へ」
      南務の言葉、そして招くような仕草に緊張と興奮が少年の体を巡る。
      名刺に描かれた四つ首の狼。
      今この時、新たなる爪と牙が1つ加わったのだった。


      #TTT2B #管楽十二鉄鋼楽団 #疾四踏会 #チームエンブレム #(´ε`;)ゞ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月19日

      50グー!

      TTT2B

      仕事終わり、DR-Zで帰っているとスマホが鳴った。
      画面を確認。七瀬さんだった。
      とりあえず近くのコンビニの駐車場に入り電話に出る。
      「もしもし鋭助ですけど」
      「あ、出た出た。もしもし鋭助君、今暇?」
      「あ、いやぁ。今仕事終わって帰ってたンすけど」
      「そうなの? じゃあさ、今からご飯食べに行こうよ」
      「……あぁ」
      返答に困る。別に七瀬さんと飯を食うのが嫌なわけではない。ちょっと今日はいつも以上に疲れていた。
      「もしかして今日キツい?」
      俺の様子を察して七瀬さんが心配そうに尋ねる。
      「……ちょっと」
      俺は電話越しにペコペコと頭を下げる。
      「ん~、そっかぁ……」
      「すいません」
      心が痛む。
      「分かった、じゃあ」
      「ですね。またーー」今度で……
      「私が車出すから、それで食べに行こう」
      「ーーあ、はい。それでお願いします」
      勢いに押されて頷いてしまった。
      「じゃあ、30分後くらいに駅前に迎えいくよ。またね」
      七瀬さんが言うだけ言って電話を切る。
      「…………」
      俺は付いていけずに固まってしまった。
      「とりあえず駅に行くか」
      ヘルメットを被り直して、駅前の駐輪場に向かうことにする。
      駅までは数キロ、着いてからモンエナかコーヒーでも飲もう。
      信号待ちでぼんやりと暮れる空を眺める。
      「七瀬さん車持ってたんだなぁ」
      金持ちだ。俺なんてもう何年も乗ってないよ。
      信号が青になったので前の車に倣って発進。
      そういや、このDR-Zの元オーナーの先輩も、車を買うためにコイツを俺に売ったんだよな。
      「あぁ、俺もいつか……」
      スピードを上げていく。
      ーーバイクを降りる時が。
      「ってまずいまずい」
      気付けば駅に到着しようとしていた。
      バイクから降りて、手押しで駐輪場に向かう。
      「そういえば七瀬さん、どんな車に乗ってくるんだろう」
      軽? 日本車? 外車?
      バイクがR1-Zだし……
      ブォブォブォ!キャキャキャキャ!
      派手なブリップとスキール音を立て、1台の車が駅のロータリーへ入ってくる!
      「うわ、うるさいなぁ~」
      一体誰だよ、またアレか? 菅楽団か?
      「恐いなぁ」
      駐輪場にDR-Zを停め、とりあえず駅のコンビニに向かう。
      「あ! お~い鋭助くーん!」
      件の車の窓が開き、何を思ったか俺の名を大声で呼ぶ!
      ……まさか。
      恐る恐る車を方を見る。
      「お~い! コラ、無視すんな!」
      顔に入った鮮やかなタトゥー、その顔をニヤけさせ、こちらに手を振るドライバー。
      七瀬さんだった。
      「……あ、どうも。七瀬さんお疲れ様です」
      俺は再びペコペコと頭を下げた。

      「いやぁ派手な車乗られてますね!」
      車の助手席に座り、俺は唸るタービンとE/G音に負けながら喋る。
      「うん? うん、そう! カッコいいでしょ!」
      七瀬さんがシフトを上げる。
      ジェット機のような加速に体がシートに押し付けられる!
      「フェアレディZですか?」
      「うん、Z32!」
      クォォォォ! パシュン!
      車検とか諸々が吹っ飛ぶような派手な音に耳が痛くなった。
      深いバケットシートで前がよく見えないので、横の流れる風景を見る。
      ものすごい速さで風景が流れていた。
      「今日はどこ行くんですか?」
      「友達のやってるレストランに行くよ。あぁ大丈夫、明日に影響しないようにするから」
      「あ、はい」
      しばしの間、Z32の雄叫びと社内に流れるパンクロックに聞き入る。
      しかしスゴいなぁ、確かZ32と言えばもう何十年前の車だったはず。
      それをこんな元気に維持してるなんて……
      「やっべぇ」
      「ん? もしかして酔った?」
      「いえ! 良い車だなぁと思っただけです」
      「アハハ! ありがとう」
      七瀬さんが速度を緩め、駐車場へと入る。
      「着いたよ」
      七瀬さんがE/Gを切り車から降りる。
      俺も車から降りる。
      ふと見れば、駐車場の殆どが車やバイクで埋まっていた。
      人気店なのだろうか?
      「ここはハンバーグが美味しいんだよ」
      「へぇ~。そりゃ楽しみですね」
      期待を膨らませて店へと入る。
      「いらっしゃいませ~」
      間接証明のムーディーな店内、そして食欲をそそる美味そうな香り。
      愛想の良い店員に促されてテーブルに座る。
      「お洒落ですね」
      「でしょ!私もお気に入りなんだよね」
      メニューを広げる。
      肉汁の溢れる美味しそうなハンバーグやサイドメニューが載っていた。
      なるほど、確かにこれは美味そうだ。
      「決まった?」
      「はい。俺はハンバーグとーー」
      「じゃ私はクラブハウスサンドとーー」
      店員を呼び2人の注文を伝える。
      しばらくして。
      湯気を昇らせるハンバーグとクラブハウスサンドが運ばれてきた。
      パチパチと油が跳ねるハンバーグを前に口によだれで溢れる。
      「さぁ食べちゃおう! いただきまーす」
      「いただきます。て熱ッ!」
      口を火傷させながらハンバーグを子供のように頬張る。
      こりゃ美味い!溢れる肉汁と粗挽きの肉やべぇ! 写真からも味は予想してたが、それ以上だ!
      でも、ハンバーグに劣らずソースも美味い。さっぱりとした酸味と仄かな苦味で口が驚くほどにサッパリとする。
      「どう? 鋭助君美味しい?」
      クラブハウスサンドを食む七瀬の問いに、俺は笑みを浮かべ頷く。
      「めっちゃ美味いです。今まで食ってきた中で1番っすわ」
      言い終わり再びハンバーグを口に運ぶ。
      「そっかそっか♪ 良かったよ」
      七瀬さんが柔和に笑う。
      そして。

      「ごちそうさまでした」
      「ごちそうさまです」
      あっという間に平らげてしまった。
      「いやぁ、マジ美味しかったです。すっかり疲れが吹っ飛びましたよ」
      「そう? 良かった~」
      七瀬さんはそう言うと、バックから煙草を取り出し……
      「あっ」
      七瀬さんがバツが悪そうに俺を見る。
      「ああ、どうぞどうぞ。俺に構わず」
      俺はテーブルの灰皿を七瀬さんの前に置く。
      「じゃ失礼しまして」
      七瀬さんは静かに煙草を吸い、そして俺に当たらないように煙を吐く。
      ふと窓の外を見る、ビルの液晶時計は22時を回ろうとしていた。
      いやぁ美味しかったなぁ~。今日はグッスリ眠れそうだ。

      「ーーん?」
      そこで、俺はある異変に気付く。
      窓から見える駐車場のバイクと車、それらに見覚えがあった。
      満腹でトロくなった頭で思い出す。
      あれは確か……そうだ!
      いつぞやのラーメン屋で見かけたバイク達だ!
      俺の背中に冷たいものが伝う。
      いや、でも俺何をしてないし……
      そんな焦る必要は……
      などと考えていたら。
      ブォンブォンブォンブォン!
      続々とバイクや車が駐車場に入ってきた。
      そして暗くて見にくいが、ライダー達は同じチームのジャケットを羽織っているのが確認出来た。
      チラッと店内を見る。
      「……あ」
      気付けば店の所々に同じ服装のライダーが座っていた。
      「……七瀬さん」
      俺は煙草を吹かす七瀬さんに、顔を近づけてヒソヒソと喋る。
      「なんかちょっとヤバそうーー」
      七瀬さんは窓の外を眺めている。
      「なんですけど……」
      七瀬さんは未だ窓の外を眺めている。
      「あの……」
      「鋭助君」
      七瀬さんが煙草を消し俺の名を呼ぶ。
      「単刀直入に言うね」
      七瀬さんはそう言うと立ち上がって。
      「鋭助君、疾四踏会(うち)に入ってさ」
      壁に掛けてあったジャケットを手に取って。
      「菅楽団(あいつら)と戦わない?」
      俺に見えるように、ソレをテーブルの上に置いた。
      置かれたソレを見る。
      疾四踏会
      その文字と共に、月に吼えるが如く天を仰ぐ四つ首の狼がそのジャケットには描かれていた。
      「………ああ」
      なるほど、そういうことですか。
      俺はテーブルから静かに足をーー

      「兄ちゃん」

      後ろのしかも間近から声をかけられる。
      「せっかく姉さんが誘ってくれとんじゃ。しっかり返事せぇ」
      見れば熊のような男が、しっかりと俺の椅子を押さえていた。
      「アハハハハ……」
      「ゴメンね鋭助君」
      七瀬さんが申し訳なさそうに喋る。
      ーーなるほど。
      「全ては茶番」
      「全部全部、仕組んでたってことですか」
      ここにきて、ようやく全てを理解する。
      「ゴメンね」
      再び七瀬さんが申し訳なさそうに俺に視線を送る、、、が。
      その瞳は鷹の目のように俺を見据えていた。
      俺は目の前の疾四踏会のジャケットを見る。
      そして重たく固まった口を動かす。
      「俺はーー」
      七瀬さんの視線が俺に刺さる。

      「疾四踏会には入りませんよ」

      その瞬間、俺の視界は火花に包まれた。


      #TTT2B #疾四踏会 #(´ρ`)

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月04日

      45グー!

      TTT2B

      某県某整備工場
      「助けて下さい健二さん!」
      情けない声と共に男が1人、工場に壊れたバイクを引きずりやって来た。
      「どうした康、 コケたか?」
      健二はジャッキアップしていた車から視線を移し尋ねる。
      男、康のバイクは大型のSS。
      両方が無惨にも傷だらけになっていた。
      「まあ座れよ」
      健二に促され康が近くにあったパイプ椅子に腰かける。
      ボロボロのバイクをドーリーに載せ奥へと運ぶ。
      外装は左右共にグシャグシャ、ハンドルはひん曲がり、そしてクラッチカバーは割れてオイル漏れ。
      ガソリンが漏れてないことが奇跡なくらいだった。
      オーバースピードでの派手な外装慣らし、大方バトルに負けたのだろう。
      「これあと頼む」
      近くの後輩に車を託し、康のもとへと向かう。
      「でどうした?」
      「………」
      「負けたんだろ?」
      「……はい」
      やっぱりな。健二の予想は当たった。
      「峠流してたんですが、後ろから煽られましてね」
      「なるほど。相手はバイクか?」
      健二の問いに康が首を横に振る。
      「車です。で本気になって突き放そうとしたんですが……べらぼうに速くてダメで」
      「車種は?」
      「セブンです。RX-7のFD、マルボロカラー。たぶんロケバニのーー」
      「で?」
      健二は康の言葉を遮り問う。
      ーー俺にそれを聞いてどうしろと?
      視線で康に尋ねる。康は一度、目を伏せ、そして意を決して口を開く。
      「俺の代わりに走ってもらえませんか?」
      「帰れ」
      健二は冷たく良い放つ。
      「お前の不始末だろ? 手前でやれろ」
      健二は言ってボロボロのバイクを見る。
      「綺麗にとは言わんが、走れるようにはしてやる」
      「………」
      「お前も管楽団だろ? ガキの喧嘩じゃ無いんだ。しっかりしろよ」
      健二がコーヒーを淹れ、康に差し出す。
      「まぁ1週間もすれば直せるだろう。金はお前のその怪我に免じて言わんわ。自分の体治しな、病院行ってないんだろ?」
      健二は優しく康に語りかけ、車へと戻ろうとする。
      「ダメなんです」
      しかし康はそれを否定した。
      健二は顔をしかめて康へと視線を戻す。
      「おいおい、お前の……」
      そこで健二はあることに気付く。
      「おい康」
      健二の言葉に康が体を強張らせる。
      「お前、管楽団(うち)のベストどこやった?」
      康は着ているジャケットにソレは無かった。

      「………」
      「おい答えろ」
      「奪われました」
      康が消え入るような声で答える。
      「なにやってんだよぉ」
      健二は託していた仕事を完全に後輩に任せて康の話を聞くことにした。
      「で? お前はオメオメと負けた上にウチのベストまで奪われたと」
      「はい」
      「それで、恥を偲んで取り返して欲しくて俺に泣きついたと」
      「はい」
      康が縮こまる。
      「ハァ~」
      健二は大きな溜め息をつく。
      「健二さんの車を出してもらえませんか?」
      「勘弁しろよ。俺の愛車、ジムニーやぞ」
      ジムニーで、恐らくフルチューンであろうFDに勝てって?
      健二の言葉に康は目を伏せる。
      「……」
      しかし、どうする?
      ベストを奪われたとなるとチンタラしてられない。
      かといって武恒には頼めないし……
      いや頼むしかないのか?
      いやう~む。
      「健二さんのバイク出してやれば良いじゃないスか」
      車を任せていた後輩が助言を飛ばす。
      「ふざけんな。こんなことで俺の1000ダボ出せるかよ、それこそ……」
      それこそ……。
      「社長頼みますよ。そんな話せんと、はよ仕事してもらわんと会社潰れますよぉ?」
      「っぷ!」
      後輩の言葉に、奥で旋盤を弄っていた後輩2号が吹き出す。
      「ーー分かった」
      健二の言葉に康の顔が緩む。
      「おい康」
      「は、はい!」
      康は緩んでいた顔を引き締める。
      「お前、俺が1000ダボ出すが良いんだな?」
      「? は、はい。お願いします

      康はオズオズと頷く。
      「ーー分かった。」
      健二は苦虫を噛み潰したように、もう一度その言葉を出した。
      「康、向こうと渡りを着けろ」
      「は、はい!ありがとうございます」
      康は深々と頭を下げる。そしてスマホを取り出して話し始める。
      「あの、向こうもバイク出すって言ってます」
      「ありがとうとでも言っとけ」
      「で、お前、、、じゃなかった。健二さんの管楽団でのナンバーを教えろって……」
      「今は言えん。当日待ってろって伝えろ」
      「は、はい。分かりました……」
      康が頷き、時たまに憤る。
      ややあってスマホでの会話が終了する。
      「明日の夜だそうです」
      「おう」
      「時間は23時、場所は俺が負けた峠でーーその」
      康が口ごもる。
      「しっかりベストを着てこいと……」
      「分かった。じゃお前もう帰れ、俺は仕事に戻る」
      健二が踵を返して仕事へと戻る。
      「ありがとうございます!」
      康はそれを見送り、何度も頭を下げた。

      「なんか口出ししてすいません」
      後輩は横でミッションを降ろす健二に謝罪を述べる。
      「あぁ、ん。まぁしょうがねぇよ」
      健二は視線を動かず答える。
      「俺、管楽団入ってませんけど。なんか、あの兄ちゃんが可哀想に見えちゃって」
      「お前は優しいなぁ」ッと!
      健二が降ろしたミッションをキャスターにゆっくりと載せる。
      「いやいや、健二さんほどじゃないですよ」
      「お前、管楽団に入らないか?」
      「え? う~ん。止めときます」
      後輩はしばし悩み答えた。
      「そうか。じゃとりあえず休憩にするか!お~い、休憩~!」
      健二は作業着を脱いで、台の上の財布より数枚の紙幣を取り出す。
      「すまんけどアイスでも買うて来てくれ」
      そして後輩に紙幣を手渡した。
      「了解です。お~い、買い物行くぞ~」
      「やった! ハーゲン○ッツ買ぉぅ」
      「俺はレ○ィボーデン!」
      後輩達が顔をホクホクさせコンビニへと出ていく。
      「……」
      健二はそれを見届け、康のボロボロになったバイクへと視線を移す。
      頭に浮かぶのはソレを元気に駆る康の姿。
      昔日の仲間内でのツーリング、都合12人での血液が沸騰するような楽しいーー楽しかった思い出。
      バイクに近付き、そっと凹んだタンクを撫でる。
      「心配すんな。また走れるようにはしてやるよ」
      やるしかないな。
      健二はそう思い、壁に掛けていた自分のベストを見る。
      管楽十二鉄鋼楽団、螺旋状に描かれた十二の管楽器、そして2/12の数字が然りと縫い込まれていた。

      「え~っと管楽十二鉄鋼楽団は~」
      俺はバイク板などを見て、それについて調べる。
      通称、管楽団。12人からなる某県を拠点に走り回る過激派のバイクチーム。主に高回転、高い速度域でのライディングを目的としており、それを妨げる場合には一般人であろうと容赦せず排除しようとするーー
      「恐ッ!」
      俺は思わず声を漏らす。思ったよりもヤバい集団だった。
      俺やDR-Zが無事に帰れたのはマジ幸運だったんだなぁ~。
      「ん? どうした鋭助。サボるのは良いが、ちゃんと仕事しろよ」
      傍らの先輩、幹孝さんがそんな俺を見かねて、声をかける。
      「いや、ちょっと。この前絡まれた奴らについて調べてまして」
      「いや、そういうのは休憩中にしろよ……」
      幹孝さんがひきつった笑いを浮かべ、俺のスマホを見てくる。
      「え~、なになに? はぇ~、まだこんなん居るんだねぇ」
      「はい。俺もビックリしました」
      「俺の代でも、居たけど……元気な奴らって変わんないね~」
      「幹孝さんも昔、バイク乗ってらしたんですっけ?」
      「うん。もう何十年も前、昔やってたバンドの仲間達とね。懐かしいな~」
      幹孝さんが遠くを眺めるように目を細める。
      「って、違う違う。なに? 鋭助そのチーム入んの?」
      「んな訳ありませんよ。ただ、ちょっと気になっただけです」
      俺はスマホをポケットへと戻し、目の前のデスクワークへと戻る。
      「すいません。サボったぶん頑張りま~す」
      俺はカタカタとキーボードを打つ。
      「まぁ気を付けてね。なんか有ったら言うんだよ」
      幹孝さんも仕事へと戻る。
      俺はふと、思いだしスマホを取り出し文字を入力する。
      ーーいや、また今度にしよう。
      今は仕事だ仕事仕事!
      俺はスマホを机の隅に伏せて仕事へと戻る。
      ~~~~
      伏せたスマホに文字が映る。
      疾四踏会。管楽団と同じように某県を拠点に走り回るバイクチーム。主に長距離を走破することを目的としており、記録を見るに日に500キロを走ることも珍しくない。人数などは不明、一説によると管楽団に所属していたライダー達が脱退し新たに作られたチームとのこと。それとの関連性は不明であるが、メンバーの多くが管楽団を強く憎んでいる。

      ⚠️長かったんで一旦切りま~す(´ε`;)ゞ


      #TTT2B #色々書きすぎました #管楽十二鉄鋼楽団 #疾四踏会

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月01日

      62グー!

      TTT2B

      「鋭助君、管楽団て知ってる?」
      七瀬さんがラーメンをすすり、箸を俺に向けながら喋る。
      「え、管楽団? なんすかそれ、合唱団でも来るんですか?」
      俺は箸で掴んでいた麺をラーメンのスープに戻し、話を聞く。
      「管楽十二鉄鋼楽団。君を今日追いかけ回してた連中のチームだよ」
      「……ああ」ーーなるほど。
      話の流れを理解し、再び麺を口に運ぶ。
      俺はあの後、七瀬さんとラーメンへと来ていた。
      七瀬さんとR1-Zのケツを眺め……追っかけて、たどり着いた美味いというラーメン屋。
      七瀬さんおすすめのお店。
      なるほど、確かに美味しい。
      味的に言えば一○堂に近いなぁ。
      「鋭助君、まだこの町に来て浅いんだっけ?」
      「んむ! ええ。3ヶ月くらいです」
      ラーメンにむせながら答える。
      「あいつらは……ん~、何て言うのかな~、ストリートギャングって言うか……」
      「ヘルズ・エンジェルスみたいな感じですか?」
      「そう!それ!」
      七瀬さんが俺にビシッと箸を向ける!
      跳ねた飛沫を紙一重で避ける。
      「あいつらが、ここら辺仕切ってんの。もぅー、バリバリブンブン五月蝿いったらありゃしない」
      「なるほど」
      ラーメンとチャーハンを交互に頬張る。
      なるほど、俺は彼らに対して生意気したわけだ。
      俺からすれば只のスタートダッシュだったが、彼らからすれば、ソレが我慢ならなかった訳ね。
      ……しかし、ここのチャーハン美味ぇな。パラパラだ!
      「しばらくは、ここら辺走らない方が良いかもね~」
      「ええ……」それは困る。
      こちとらサラリーマン、明日も明後日も仕事が有るのだ。
      そんなチンピラにビビってられるか!
      「この前の環状線での事故知ってる?」
      「あぁ、あのNSXとバイクが絡む事故だったかの」
      「あれ、管楽団がNSXのドライバーに絡んで起こしたヤツなの」
      「ええ…やっばぁ」
      ラーメンのテラテラとしたスープ。燃える愛車、油を伝って炎上する情景が浮かぶ。
      あいつらは相当お冠だった。そして、それらに俺は逃げたことで更なるガソリンを投下してしまった。
      「あ、でも」
      七瀬さんが思い付いたように声を出し。
      「鋭助君、大丈夫かもしれないよ」
      グッと両手で握りこぶしを作った。
      「?」
      「この町にはね。もう1つ、チームが有るの」
      「……ええェ」
      俺は思わず顔をしかめる。
      一体どうなってんだこの町は!
      警察はどうした!
      どこの世紀末だ、あれか? ここが俗に言う修羅の国ってヤツなのか?
      「ーー鋭助君、今めっちゃ面白いこと考えてるでしょ?」
      七瀬さんが意地悪そうに口をつり上げる。
      言ってみ? ほら、言ってみ?
      そんな言葉が目より訴えられる。
      「……ここはどこの世紀末だよってーー」
      俺の言葉、その直後に七瀬さんは文字通り噴飯した。

      「……で? そのもう1つのチームってのは何て言うんですか?」
      俺は顔を紙ナプキンで拭い、七瀬さんに尋ねる。
      「疾四踏会」……ごめん。
      七瀬さんがバツが悪そうに答える。
      ししとう? 俺の頭に緑色のアレが思い浮かぶ。
      「疾四踏会! 」
      七瀬さんが紙ナプキンにボールペンで文字を書く。
      「でね? 管楽団、そして疾四踏会。この2つが居て、ずっと喧嘩してるの」
      「…はぁ」
      「で、この2つのチームはお互いが邪魔なだけで、他の一般ライダーはどうでも良いんだよ」
      「……はぁ」
      「も~う。分かんないかなぁ……」
      七瀬さんがテーブル真ん中に置いていた餃子をパクパクと食べる。
      「君がーー」
      ヴォーーーン!
      窓より吹け上がるような音が聞こえた。
      ヴォンヴォンヴォンヴォンッ!
      そして連なるエキゾースト、幾つものヘッドライトの光がラーメン屋に差し込む。
      思わず店の外を見る。
      「!」
      背筋が凍る。
      いかついバイクの集団、そして黒塗りのヤバそうな車ーー
      「七瀬さん帰ろう!」
      「え、ああーーうん」
      七瀬さんも状況を察し、手早く帰り支度を整える。
      「すんませーん。4人ね~」
      そうこうしてる間に4人が店に入ってくる。
      ーーあ。やべッ! 目が合った。
      「……ども」
      引きつった愛想笑いを浮かべ、会計へと向かう。
      テンパりながら会計。気怠げな店員が伝票を打つ。
      早く……早く……早く!
      「兄ちゃん」
      4人の中の1人が俺を呼ぶ。
      背中にスープのようなドロッとした汗が伝う。
      「、、、はい」
      油の切れたブリキのように振り返る。
      「騒いですまんの。でも、焦ったら危ないで。気ぃつけてな」
      熊のようなライダーが手でヤエーを示す。
      「ーーですね。そちらも良いバイクライフをぉ……」
      何度も会釈して俺は店を後にした。

      「今日はすいませんでした」
      俺はファ○マの駐車場で七瀬さんに頭を下げる。
      「え!え!? なんで鋭助君が頭下げるのッ?」
      七瀬さんがオロオロし、俺の頭を上げさせようとする。
      情けない話だ。
      管楽団から逃げ、初対面の女性に甲斐甲斐しく世話をやいてもらい、あまつさえビビってさらに逃げる。
      これほどの臆病者が有ろうか?
      考えれば俺の人生は逃げてばかりだ。
      旅とは名ばかりの逃避行。
      ほら、見てみろよ。
      負け犬を前にして、七瀬さんも呆れて黙っちまってる。
      目頭が熱くなり、反射的に頭を上げる!
      ーーが。
      「がッ!」「びッ!」
      俺の後頭部が七瀬さんのアゴに、七瀬のアゴが俺の後頭部にクリーンヒットする。
      「「んむぅ~~ッ!」」
      お互い悶絶。
      あぁ~!なんて、なんて、なんて!
      「、、、アハハ」「、、、フフフ」
      「「ハーハッハッハッ!」」
      お互い爆発するように笑う。笑いすぎて涙が出た。
      しばしの間、笑いに笑う!
      「ハハハ……はぁ」
      笑いすぎて腹筋が痛い。
      「ほれ、お兄さん」
      七瀬さんが俺に何かを投げつけてくる。
      お手玉のようにキャッチ、冷たいカフェオレだった。
      「おつかれさん」
      「ホントですよ。あ、ごちそうさまです」
      お互い愛車にもたれて、冷たいカフェオレを体に流し込む。
      あ、そうだ。ふと思い立つ。
      「七瀬さん」
      俺はスマホを取り出しながら、七瀬さんを呼ぶ。
      「ラ○ン交換しません?」
      「え?ナンパ?」
      七瀬さんがわざとらしく体をくねらせる。
      「違いま……」違わないな。
      恥ずかしさから額をポリポリとかく。
      「また走りましょう、せっかく知り合えたしぃ」
      モニョモニョ……
      「え? 鋭助君ボッチなん?」
      あぁ、もうこの人はいちいち五月蝿いなぁもう!
      「そうです!そうなんです!だから、この哀れなボッチに友情を下さい、七瀬おねえさん!」
      俺は自分のQRコードを印籠のように堂々と向ける。
      「んン~。そこまで言うならしょうがないなぁ~」
      七瀬さんも印籠のようにスマホを向ける。
      ややあって、痛いアニメアイコンが送られてくる。
      「どうだボッチ君」
      「はい、ありがとうございます。お姉さま」
      俺はゾンビ映画のアイコンを飛ばす。
      ふとスマホの時計が目に入る。
      気付けば23時を回ろうとしていた。
      まずい! これ以上は流石にヤバイ。
      「そろそろ帰りましょう」
      七瀬さんに提案する。
      「あぁ、流石にヤバイね」
      七瀬さんも時間に気付き顔を引きつらせた。
      「送りますよ」
      俺はカフェオレをゴミ箱に捨て、ヘルメットを被る。
      「こら! 初対面で自宅とか厚かましいぞ」
      七瀬さんがやんわりと断る。
      ……いや、やんわりでは無いな。
      「でも、、、」
      「女子高生じゃあるまし、心配ないって」
      七瀬さんが行け!行け! とジェスチャー。
      「分かりました。じゃマジで気ぃ付けて!」
      DR-Zに跨がり火を入れる。
      道路に向けて切り返し、七瀬さんに振り返る。
      「バイバイ~」「~!」
      見送る七瀬に手を振り、そして。
      ブォーン!
      再びスタートダッシュをかまし、道路へと躍り出る!
      ミラーを見る。
      「コラァ~!」
      声を上げ跳び跳ねる七瀬さんが見えた。

      ーー鋭助が立ち去って。
      ヴォンヴォンヴォンヴォンッ!
      先ほどのライダーと車が七瀬の周囲に停まる。
      「お疲れさまです、姐さん」
      そして全員が七瀬へと近づき、頭を下げた。
      「ん」
      七瀬は短く答え、タバコに火を付ける。
      「すぅ……ハァ~」
      R1-Zのシートに座り、空に紫煙を吐く。
      「車で吸いますか?」
      「いや、いい。ベントレーにヤニが付けたくない」
      七瀬が言葉を言い終える前に、サッとライダーが携帯灰皿を手に持って近付く。
      「ありがと」
      全員、なにも言わずタバコを静かに吹かす。
      「あいつどうするんです?」
      「ん~。まだ何とも……ぃッ!」
      七瀬はアゴを抑え、顔を歪ませる。
      「「「姐さん!」」」
      ライダー達が声を荒げる。
      「大丈夫、大丈夫。てか、その呼び方止めてくんない? 私ぁ極道の妻か!」
      七瀬の言葉にドッと笑いが起こる。
      「ックシュン!」
      七瀬がくしゃみをし、鼻をすする。
      ドライバーが急いで車の助手席よりジャケットを取り出し、七瀬の肩にかける。
      「ん、ありがと」
      七瀬の肩にかかったジャケット。
      疾四踏会
      その文字と共に、月に吼えるが如く天を仰ぐ四つ首の狼が描かれていた。
      「じゃ帰るぞ!野郎共!」
      七瀬がR1-Zを声高らかに始動させる!
      「押忍!」
      野太い声、重低音の地響くようなエキゾーストが次々に上がる。
      夜が更けていく。
      町の所々で赤い残光が光る。
      遠くサイレンが鳴る。
      今日もライダーは変わらず。
      バイクは高らかに雄叫びを上げる。


      #TTT2B #管楽十二鉄鋼楽団 #疾四踏会 #おサボり

    • 1
    バイク買取・中古バイク査定ならグーバイク買取。相場検索、専門家のサポート