スズキの名バイク、カタナ(KATANA)は何がライダーを惹きつけたのか?その魅力を紹介
独特のフォルムでライダーに衝撃を与えたバイクとして、スズキのカタナは有名です。ここでは、名車と呼ばれたスズキのカタナについて、その魅力を追求していきます。
カタナの基礎知識(歴史や系譜)
カタナは、販売終了を迎えた今なお、多くのライダーを魅了するバイクです。カタナが初めて世に登場したのは1980年、ドイツのケルンショーでの発表でした。「GSX1100S katana」と名付けられたこのバイクは、日本刀をモチーフにした独創的なデザインが取り入れられ、当時多くのライダーに衝撃を与えました。
他に類を見ないカタナは、単なるデザイン性だけでなく、バイクに求められる基本的な性能も取り入れられていたため、ケルンショーでは賛否両論の意見が飛び交い、のちにこの事態は「ケルンの衝撃」と呼ばれます。
1980年から2000年にかけて、カタナは排気量別にいくつかのモデルが販売され、それぞれに派生車種が生まれましたが、2000年を最後に現在では販売終了となっています。
独創的で機能性を兼ね備えたカタナは、販売終了を迎えて10年以上もの時が経った今でも、多くのライダーから再販や新型発表を心待ちにする声が鳴り止みません。
カタナの魅力とは?
カタナの魅力は、ショーモデルさながらのデザインで十分な走行性能を発揮出来る点にあるのではないでしょうか。
日本刀のシャープで美しい曲線美をそのままバイクに模したようなデザインは、圧倒的なアイデンティティで見る人を魅了し続けています。
そんなカタナのデザインは、実はドイツのデザイナーであるハンス・ムート氏によって手掛けられました。日本人の目線では発想もしえなかったであろうカタナは、瞬く間に世界中で注目され、日本刀の格好良さや美しさを凝縮したバイクとして国内外から高く評価されています。
マシンの性能やスペック、強み
カタナは、ロングツーリングやワインディング等、あらゆるシーンで安定した走行性能を発揮するオールマイティーな一面を持ちます。一見、Ninja900のようなスポーツタイプを彷彿させる外見ですが、走行性能で比べると、「突出しすぎた個性がない」というのがカタナの個性と言えるかもしれません。
そのため、ライダーが手を加えやすく、「少しのカスタムでいくらでも自分に合ったバイクになってくれる」という点が、カタナの魅力ではないでしょうか。
また、オリジナルのフォルムや性能で乗りたいというライダーは多いかもしれませんが、カタナの場合、エンジンやリアブレーキについては標準仕様で十分な馬力と制動力があります。見た目に反して安定した乗り心地も兼ね備えているので、ロングツーリングでのんびりと走行出来るのもカタナならではの強みではないでしょうか。

車種情報(排気量やカラーリング等)
1981年〜2000年に発売されたカタナの、代表的な車種をご紹介します。
GSX1100Sカタナ(1981年発売)
排気量1100cc、カラーリングには白、黒、赤、青、シルバー等があります。初代カタナとしてのちに発売されるカタナの基板となったモデルです。
GSX1000Sカタナ(1981年発売)
排気量1000cc、カラーリングには白、黒、赤、シルバー等があります。GSX1100Sカタナをベースにした設計で、当時1000台限定で生産された希少モデルです。
GSX750Sカタナ(1982年発売)
排気量750cc、カラーリングには白、黒、赤、青、シルバー、グレー等があります。国内向けにセパレートハンドルからアップハンドルに変更となったモデルです。
GSX400Sカタナ(1992年発売)
排気量400cc、カラーリングには白、黒、赤、青、シルバー、グレー等があります。普通二輪免許で乗れる排気量で従来のフォルムを損なうことなく再現したモデルです。
GSX250Sカタナ(1991年発売)
排気量250cc、カラーリングには白、黒、赤、シルバー、ゴールド、グレー等があります。オリジナルであるGSX1100Sを再現しながら小型化されたモデルです。
中古車の価格帯
カタナの中古車価格は、排気量や年式によっても大きく異なります。代表的な車種を参考に価格相場を見ていきましょう。
GSX1100Sカタナ(中古)
初期モデルで70万円前後、2000年に発売された新型モデルで120万円前後です。
GSX1000Sカタナ(中古)
販売台数に限りがあった希少モデルなだけあって、中古車価格はやや高い150万円前後です。
GSX750Sカタナ(中古)
初期モデルで40万円前後、マイナーチェンジ後の1983年式、1984年式はそれぞれ30万円前後です。
GSX400Sカタナ(中古)
40万円前後が相場です。ちなみに、発売当時の新車価格は659,000円だったため、中古車でも程度が良く走行距離が短いものを選べば、まだまだ長く乗っていけます。
GSX250Sカタナ(中古)
30万円前後が相場です。コンパクトで取り回しも楽なため、初心者や女性の方にもおすすめの一台です。
2019年春に海外向けの新型カタナが発売
2018年10月、ドイツで開催されたインターモトショーにおいて、「GSX1100S KATANA」をベースとした新型カタナが、2019年春に欧州で発売されることが発表されました。では、新しいカタナはどのように変わったのか、その特徴を確認していきましょう。
カラー
ブラックとシルバーの2種類が発表されています。
デザイン
バイクのモデル名になっているように、日本刀を思わせる洗練されたスタイリングです。鋭利になっているフロントの先端は、日本刀の切っ先をイメージ。カタナの特徴であるタンデムシートのクッションが盛られている仕様も、先代から受け継いでいます。
ライト類
ヘッドライトは縦2段のスクエア形状です。左右に取り付けられているポジションランプ(車幅灯)は日本刀の切っ先をイメージしています。これらのライトに加え、他のライトもLED仕様を採用。
メーター
明るさ調整が可能なフル液晶メーター。黒背景に白文字で、右下にカタナのロゴが入る仕様となっています。電圧や燃費など、多くの情報を確認することが可能です。
タンク容量
前モデル(GSX-S1000)はタンク容量が17Lだったのに対し、新型は12Lと小さくなりました。
シート
ブラックとシルバーが特徴の、刀を模した仕様です。シート後端にある3本線もオリジナルのカタナにあったデザインを引き継いでいます。
アクセサリ
カバー
クラッチカバーとクランクシャフトケースカバーはカーボン製を採用。スタイリッシュなデザインに収まっています。
スクリーン
通常のスクリーンよりも高めのハイスクリーン。ノーマルスクリーンの上に載せる形で装着します。
カラードシート
オリジナルの3本線ではなく、カタナのロゴを刻印してあり、黒×赤のデザインが目を引きます。
ブレーキキャリパー
赤いブレンボのモノブロックキャリパー。
マフラー
ヨシムラのフルエキゾーストマフラー「R-11」が取り付けられたモデルの展示が行われていました。ラジエターガードなども、ヨシムラ製で対応モデルが発売される可能性があります。
KATANA3.0のデザインを残しつつも、新たなモデルへ生まれ変わった新型のカタナ。今のところ価格は未定で、欧州での発売しか決まっていませんが、日本での発売も期待されているバイクでしょう。
スズキ新型カタナのスペック
新型カタナスペック | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,125×830×1,110 |
軸距(mm) | 1,460 |
シート高(mm) | 825 |
車重(kg) | 215 |
エンジン型式 | 水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ |
総排気量(cc) | 999 |
内径×行程(mm) | 73.4×59.0 |
圧縮比 | 12.2:1 |
最高出力(ps/rpm) | 150(110kw) / 10000 |
最大トルク(kg-m / rpm) | 11.0(108Nm) / 9500 |
燃料タンク容量(L) | 12 |
変速機 | 6段リターン |
ブレーキ前 | Wディスク |
ブレーキ後 | ディスク |
タイヤサイズ前 | 120 / 70 ZR17 |
タイヤサイズ後 | 190 / 50ZR17 |
まとめ
カタナは多くのライダーを魅了し続けるスズキの伝統的なバイクです。販売終了してしまった現在でもカタナの新型を待ち望むライダーは多く、その魅力は今後も廃れることはないでしょう。カタナの魅力に惹かれた方は、この機会にぜひお気に入りの一台を探してみましょう。
本記事は、2017年11月30日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。