バイクのリザーブタンクとは?役割や仕組み、正しい使い方、注意点を解説
バイクにはガソリンメーターがない車種も存在します。しかし、ガソリンメーターがないと「給油ランプが点灯した際に、実際あとどのぐらい走れるのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。実はこうした車種には「リザーブタンク」と呼ばれる装備があり、ガス欠に対応できるようになっています。
そこで今回は、バイクのリザーブタンクやリザーバータンクについて役割や仕組み、正しい使い方などを解説していきます。リザーブタンクの使い方を正しく理解していないと、ガソリンが補給できずガス欠に見舞われる可能性もあるので、ガス欠の対処法などをしっかり確認しておきましょう。
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バイクのリザーブタンクとは?

リザーブ(reserve)には「レストランなどの予約を取ること」という意味もありますが、バイク業界ではおもに「予備・取っておく」という意味で使われます。すなわち、リザーブタンクとは予備のガソリンタンクのことです。
給油ランプが点灯した際、そこから臨時的にガソリンを補給できる仕組みになっています。車両全般において、「予備タンクや補助タンク」は総じてリザーブタンクやリザーバータンクと呼ばれています。
バイクにおけるリザーブタンクの役割
バイクのなかにはガソリンメーターがついていない車種もありますが、ガス欠が近くなると「給油ランプ」が点灯するようになっています。
しかしこの場合、ライダーは燃料がなくなるタイミングを正確に把握できません。いきなり給油ランプが点灯して「もうすぐガソリンがなくなります」と言われても焦ってしまうでしょう。
こうなるとガソリンスタンドを探さなければなりませんが、近くになければガス欠で止まってしまうリスクがあります。
そこで役に立つのが、リザーブタンクです。リザーブタンクを使うことによって、ある程度余裕を持ってガソリンスタンドを探すことができます。ガソリンメーターのないバイクにとって、リザーブタンクは必需品といってよいでしょう。
リザーブタンクとリザーバータンクは同じ?
先述したとおり、リザーブタンクとリザーバータンクはどちらも、予備タンクや補助タンクを指します。しかし、何のための予備タンクか、名称の違いで使い分けられている傾向があります。
リザーブタンクは一般的にガソリンの予備タンクのことです。一方で、リザーブタンクと似た名前のリザーバータンクは、クラッチやブレーキ、ラジエーターなどに付いている予備タンクのことを指します。リザーブタンクはガソリンタンクとつながっており、リザーバータンクはラジエーターなどとつながっているのが違いです。
さらにもう一つの違いは、予備タンクが物理的に存在するかどうかです。リザーバータンクは物理的に予備タンクが備わっており、さまざまな機能を担っています。例えば、ラジエーターの場合は温度の上昇によりクーラント液が膨張した際の逃げ場として機能しています。また、ブレーキやクラッチのリザーバータンクは「フィーリング悪化を防止」する役割も兼ね備えており、これは自動車も同様です。
一方、ガソリンのリザーブタンクは、物理的にもう一つのガソリンタンクが備わっているわけではありません。どのような仕組みになっているのか、次のセクションで詳しく解説していきます。
バイクにおけるリザーブタンクの仕組みと構造とは?
バイクのガソリンタンクには、ガソリンタンクとリザーブタンクの2つの出口があります。以下の図のような構造になっており、通常のガソリンタンクも、非常時に使うリザーブタンクも、物理的には1つの同じタンクです。
通常時はタンクの底よりも高いところにあるガソリンのパイプ(出口)を利用します。そのため、パイプよりもガソリンの油面が下がるとガソリンを吸い出せなくなる(ガス欠)のです。
このとき、手動でリザーブに切り替えます。通常用からリザーブ用に切り替えるときは、リザーブタンクに付いているフューエルコックを操作します。
通常時からリザーブに切り替えると、上記のパイプよりもさらに下(タンク底面)にあるリザーブのパイプからガソリンが吸い出され、底に残ったガソリンを予備として使える仕組みです。
原始的な仕組みながら、物理的にタンクを分けることなく予備タンクとして機能する合理的な構造となっています。
バイクのリザーブタンクの使い方
通常時とリザーブタンク使用時を切り替えるのが、タンクに備わっているフューエルコックです。操作方法を解説します。
リザーブタンクにおけるフューエルコックの表示と考え方
リザーブタンクが備わったバイクには、ガソリンタンクの下あたりにフューエルコック(ガソリンコック)と呼ばれるパーツが付いています。
基本的には「ON/OFF/RES(リザーブ)」の3パターンを切り替えられるようになっており、コックをひねることで操作が可能です。
このONとRESは先ほど解説した「高さの違う2つの出口」を切り替えるもので、それぞれ以下のように機能します。
フューエルコックが「ON」のとき タンク内の高い位置にあるパイプから燃料が供給される
フューエルコックが「RES」のとき タンク内の低い位置にあるパイプから燃料が供給される
フューエルコックが「OFF」のとき ガソリンの供給を遮断する。
先述のとおり、パイプの高い位置と低い位置の間にあるガソリンが、リザーブタンクとして使える燃料です。通常時はONにして走行しますが、その状態で給油ランプがついてもリザーブタンク分の燃料はまだ残っています。
この残った燃料が使えるので、給油ランプがついたからといって「即ガス欠」にはならずに済むのです。とはいえONのときほどの残量はないので、あくまで非常用として考えておきましょう。
フューエルコックにおけるRESとPRIの違いとは?
バイクによっては「ON/OFF/RES」ではなく、「ON/RES/PRI」となっていることがあります。
PRIはプライマリーと呼ばれ、負圧式のフューエルコックに装備される機能です。負圧式のコックは文字どおり負圧によって燃料を吸い出す仕組みになっているので、エンジンがかかっていない状態では燃料が流れません。
そのため、ガス欠によってエンジンが停止したあとにRESに切り替えても、すぐにエンジンはかかりません。しばらくセルを回していれば負圧が発生するのでRESでもエンジンはかかりますが、バッテリーへの負担が大きくなってしまいます。
そこで役に立つのがPRIです。PRIにすれば負圧に関係なく強制的にガソリンを流すことができるので、セルを何度も回さなくてもエンジンをかけることが可能です。
具体的には以下の流れでPRIを使用します。
1.ガス欠によりエンジン停止
2.PRIに切り替えて30秒ほど待つ
3.RESに切り替えてエンジンを始動する
なお、ガス欠前にライダーがRESに切り替える場合はPRIを経由する必要はありません。
また、PRIのまま走行するのもトラブルの原因になるので、RESに切り替えることを忘れないでください。キャブレターのフロート室にガソリンが流れ続けるので、オーバーフロー(キャブレターからガソリンが漏れ出すこと)する危険があります。
リザーブタンクの容量は?

リザーブタンクの容量は、一般的に1L~4L程度です。車種や燃費にもよりますが、一般的にリザーブタンクに切り替えてから50km程度走行できるように設計されています。
以下は、ガソリン全体の容量とリザーブタンク容量の一例です。
ガス欠状態になったときに頼りになるリザーブタンクですが、そもそも長く走れる設計ではないので、あくまでも緊急時用だと考えておくことが大切です。
バイクのリザーブタンクを正しく使うためのポイント・注意点
リザーブタンクを実際に使う際は以下のことも把握しておきましょう。
給油ランプがつく目安を把握する
リザーブタンクが装備されているバイクは基本的にガソリンメーターがないので、ガソリン残量が把握しにくいという問題があります。
リザーブタンクがあるとはいえ、高速道路や周りにガソリンスタンドが見当たらない場所で急に給油ランプが点灯したら不安になるでしょう。
そうならないためには、事前に給油ランプがつくまでの目安を把握することが大切です。満タンから給油ランプが点灯するまでの走行距離を覚えておくとよいでしょう。以降はトリップメーターからガソリン残量を推測できます。
燃料満タン後のメモリ合わせに注意する
基本的にはリザーブタンクを使う前に給油する機会が多いでしょう。その際、フューエルコックをONのままにしている方、リザーブタンクを使ったとしても給油後にコックをONにする方が多いのではないでしょうか。
基本的にはONで問題ありませんが、1つ注意点があります。それはガソリンタンク内が結露して発生する水分です。水分はガソリンよりも比重が重いので、タンクの底に溜まってしまいます。
いつもONにしてRESを使わないでいると、ONよりも下に水分を多く含んだガソリンが溜まり、トラブルの原因につながります。
これを回避するためには、数回の給油に1回の頻度でRESにして数キロ走行してからONに戻すのが有効です。RESにすることで、ガソリンタンクの底にあるガソリンを使うことができます。
なお、RESのままにしておくといざというときにリザーブタンクが使えないので、しばらく走行したらONにすることを忘れないようにしましょう。
定期的に満タン状態でリザーブ走行をする
梅雨や寒暖差の激しい時期には、ガソリンタンク内に水分が溜まることがあります。この水分はガソリンより比重が重いため、タンクの底に沈殿してしまいます。そのまま放置するとタンクの底に水分の混じったガソリンが溜まり続けることになるため、定期的にリザーブタンクを活用して解消しましょう。
具体的には、満タン給油を行なった直後にリザーブ状態で数キロ走行することで、底に溜まったガソリンも効率よく消費することができます。給油のたびに行なう必要はなく、数回に1回程度で構いません。この場合も、リザーブ状態での走行をしたあとにコックを通常の位置に戻し忘れないよう注意しましょう。
最新バイクにはリザーブタンクがないことも多い
燃料噴射装置「インジェクション」(またはフューエルインジェクション(FI))を搭載する比較的新しいバイクには、そもそもリザーブタンクがない車種も多く見られます。
その代わりにガソリンメーターが装備されている車種も多いですが、ガソリンメーターがない場合は走行距離からガソリンの残量を把握する必要があります。
「リザーブタンクがないと不安」という方は、バイクを購入する際にフューエルコックがあるかをチェックするとよいでしょう。
フューエルコックのあるバイクにおける冬季保管時の注意点
「冬はバイクに乗らない」という方も多いと思いますが、バイクを長期保管するとキャブレター内のガソリンが腐ってしまうリスクがあります。
ガソリンが腐敗すると粘性を持ったヘドロ状の物質が発生するため、キャブレターの内部にある穴を塞いでしまうこともあり厄介です。穴が詰まるとエンジンがかからなくなったり、燃調が極端に薄くなったりする可能性があります。
これを予防するにはキャブレターに残ったガソリンを抜いておく必要がありますが、フューエルコックを利用すれば簡単に行なえます。
それぞれ上記の操作をしたあとは、キャブレターの下部にあるドレンボルトを緩めてガソリンを排出してください。排出後は忘れずにドレンボルトを締め直しておきましょう。
冬が終わったら、ONに入れたバイクはPRIにしてキャブレターのフロート室をガソリンで満たしてからONにしてエンジンを始動してください。OFFに入れたバイクの場合は、ONにしてしばらく待ってからエンジンを始動しましょう。
なお、これとは別に冬季保管時は「ガソリン満タン」もお忘れなく。ガソリンを満タンにしておくことで、ガソリンタンク内の結露の発生を予防できます。
リザーブタンクの容量から考えるガス欠対策
リザーブタンクは緊急用の予備タンクであるため、それほど多くの燃料は確保されていません。
一般的には1L~4L程度の容量となっていて、燃費にもよりますが50kmくらいは走行できるように設計されています。
例えば、リザーブタンク容量が2.2Lの「ヤマハ SR400」を例にすると、WMTC値の燃費が29.7km/Lなので、実燃費で50~60kmはリザーブタンクで走行できる計算です。
「50km程度も走れるなら十分」と思うかもしれませんが、2015年の調査では150km以上ガソリンスタンドがない空白地帯が全国に16ヵ所、100km以上については83ヵ所もあることがわかっています。
このことから、知らない地域にロングツーリングなどに行く場合は、リザーブタンクだけでは間に合わない可能性があります。ガス欠を起こさないためにも、以下の準備を行ないましょう。
愛車のタンク容量や燃費を把握する
お伝えしたとおり、バイクのリザーブタンク容量は一般的に1Lから4L程度で、バイクの種類によって異なります。燃料計が搭載されていないバイクの場合、残りのガソリン量を正確に把握することが難しくなるため、どれくらい走行するとリザーブタンクが必要になるかわかりにくい側面があります。そのため、自分のバイクがガソリン満タンの状態で何km程度走行できるのかを把握しておくことが重要です。
航続可能距離は、「燃料消費効率(WMTCモード値)×最大タンク容量」で求めることができます。例えば、燃費がリッター当たり30kmで、タンクの最大容量が10Lのバイクの場合、30km×10L=300kmとなり、満タンで約300km走行できることがわかります。
事前調査や計画をしっかり行なう
ガス欠だけでなく、バイクでツーリングに行く際は転倒によるトラブルや急な天候悪化も考えられます。知らない地域へ行く際は、事前調査や計画をしっかりと立てることが重要です。
周辺地域のガソリンスタンドの場所やそこまでの距離、営業時間などを事前に調べておくと役立つでしょう。急な天候変化に備えて、雨をしのげる場所も調べておくとベストです。
また、通行止めになっているなどの状況も考えられるので、目的地やルートも複数用意しておくと安心です。
ガソリン携行缶を用意する
ガソリン携行缶を用意しておくのも有効な対策です。ガソリンスタンドまでの距離が遠いとわかっている場所に行くのなら、用意しておくべきでしょう。
携行缶を購入する際は、「消防法適合品・UNマーク」のついたものを選びます。ガソリンは引火性の高い可燃物なので、安全性が確保された携行缶でなければなりません。
容量については、バイク用の携行缶だと1L前後が一般的です。ただし、ガソリンスタンドがない空白地帯に行く予定があるのなら、1Lの携行缶を2つ、もしくは2Lの携行缶を用意しておくと安心です。
バイクがガス欠になったときの対処法

ガス欠を起こした際は決して焦らず、落ち着いて安全な場所へとバイクを移動させましょう。この際、自身の安全をきちんと確保することが大切です。一般の道路でのガス欠では、バイクを路側帯に移動させるとともに自身の安全も確保し、巻き込み事故などの二次被害が起きないよう注意しなくてはいけません。
ガス欠の対処法としては、付近にガソリンスタンドがあればそこへバイクを押して行きましょう。押しての移動が難しい場合は、最寄りのガソリンスタンドに出張給油ができないか問い合わせてみるのも一つの方法です。
友人などと一緒に出かけている場合は、ガソリンを分けてもらうことも可能です。代わりにガソリンを調達してもらうこともできるでしょう。どの対処法も難しい場合は、最終手段としてロードサービスに依頼します。この場合は費用がかかるので留意しておきましょう。
まとめ
バイクのリザーブタンクは、ガソリンメーターのない車種でガス欠を起こさないために非常に重要な装備です。給油ランプがついてからガソリンスタンドを探すまで、50km程度は走行できるようになっています。
しかし、場所によってはガソリンスタンドまで50km以上の距離がある場合もあるので、リザーブタンク以外のガス欠対策を考えておくことも重要です。事前調査をして計画を立て、それでも不安ならガソリン携行缶を用意しておけば安心でしょう。
リザーブタンクは、フューエルコックをRES(リザーブ)に切り替えるだけ使用できます。しかし、給油後はONに戻すことを忘れてはいけないなど、使用においていくつか注意点があるので、あらかじめ使い方を把握しておくことが大切です。
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本記事は、2024年12月13日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。