ネオクラシックは海外がアツイ

ネオクラシックは海外がアツイ

日本人の目線では、クラシックテイストが希薄かもしれない。とはいえ、独自の思想に基づいて現代的な機構を取り入れた海外勢の参入で、ネオクラシックの守備範囲は大きく広がったのだ。

世の中にはいろいろなスポーツバイクが存在するけれど、ハスクバーナのピレンシリーズほど、操る手応えがダイレクトに感じられるモデルはなかなかないと思う。もっとも、過去に701と401でそう感じた僕は、中村 友彦250の非力さを危惧していたのだが、エンジンをきっちり回せる250は、兄貴分と同等以上に魅力的なモデルなのだ。

ハスクバーナ スヴァルトピレン250
ハスクバーナ スヴァルトピレン250

Husqvarna Motorcycles
Svartpilen 250

誰もが気軽に楽しめるピレンシリーズの末弟

 2018年以降のハスクバーナは、他メーカーとは方向性が異なる独創的なネオクラシックモデルとして、カフェレーサーテイストのヴィットピレンと、スクランブラースタイルのスヴァルトピレンを展開。当初は692.7ccの701のみだったものの、2019年には373ccの401、2020年には248.8ccの250が登場した。いずれのモデルも、KTMデュークシリーズ用として開発された、水冷単気筒エンジン+クロモリ製トラスフレームをベースとしているが、外装やライポジ関連パーツ、足まわりなどを専用設計することで、KTMとは似て非なる乗り味を構築している。

新車価格:59万9000円

SPECIFICATION
エンジン形式 水冷4ストロークDOHC単気筒
総排気量 248.8cc
ボア×ストローク 72.0mm×61.1mm
最高出力 23kW
変速機形式 6速リターン
最低地上高 145mm
シート高 835mm
車両重量 153kg
燃料タンク容量 9.5L
CLASSIC
ハスクバーナ スヴァルトピレン250 ヘッドライト

バルブはLED式で、外周にはデイタイムライトが設置されているけれど、ヘッドライトの形状は昔ながらのラウンドタイプ。

CLASSIC
ハスクバーナ スヴァルトピレン250 メーター

メーターもラウンドタイプ。ただし表示は液晶デジタルで、SET/MODEボタンや警告灯の配置には同社のこだわりを感じる。

NEO
ハスクバーナ スヴァルトピレン250 リアフェンダー/ナンバープレートホルダー

リアフェンダー/ナンバープレートホルダーは、近年のトレンドであるスイングアームマウント式。ステーには肉抜きが施される。

CLASSIC
ハスクバーナ スヴァルトピレン250 水平基調デザイン

ハスクバーナの手法は個性的だが、水平基調デザインは、多くのネオクラシックに通じる要素。日本仕様はグラブバーを標準装備。

大型免許所持&カフェレーサー好きは
Vitpilen 701がおすすめ!!
※写真は2019年モデル
ハスクバーナ ヴィットピレン701

Husqvarna Motorcycles
Vitpilen 701

シリーズの長兄となる701は、半乾燥重量が157/158.5kgで、最高出力は250の倍以上となる55kW=75PS。ヴィットピレンの前後17インチに対して、スヴァルトピレンはF:18/R:17インチを採用する。

新車価格:125万8000円 中古相場:92.8万~112.9万円

個性豊かな現行輸入車6選!!

現代の技術で運動性能を徹底追及

トライアンフ スラクストンRS

TRIUMPH
THRUXTON RS

クラシック度
★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★★★
☆☆☆☆☆
ワインディング
★★★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:192万500円 中古相場:168万~190万円

トライアンフ製モダンクラシックの最高峰モデル。高度なチューニングを受けたバーチカルツインの最高出力は105PSで、多種多様な電子制御を標準装備。フロントキャリパーはブレンボM50で、リアショックはオーリンズ。タイヤは前後17インチ。

初代G/Sに通じる構成とカラー

BMW RナインT アーバンG/S

BMW Motorrad
R nineT Urban G/S

クラシック度
★★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★★
☆☆☆☆☆
オフロード
★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:193万4000円~ 中古相場:118万~179万円

RナインTシリーズの第1号車は倒立フォーク+前後17インチだったものの、1980年に登場した初代R80G/Sの再現を念頭に置くアーバンG/Sは、正立フォーク+フロント19インチを採用している。クロススポークホイールは日本仕様ならではの装備。

3種の排気量で多彩なモデルを展開

ドゥカティ スクランブラー アイコン

DUCATI
SCRAMBLER Icon

クラシック度
★★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★★
☆☆☆☆☆
ワインディング
★★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:114万6000円 中古相場:53.2万~103万円

ドゥカティのスクランブラーシリーズは、1100、800、400の3種に大別できる。主軸の排気量は800ccで、フロントに18インチを履くアイコンに加えて、前後17インチのカフェレーサーやフロント19インチのデザートスレッドなども販売。

抜群の悪路走破性を実現

ファンティック キャバレロ 500ラリー

FANTIC
CABALLERO 500 Rally

クラシック度
★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★★
☆☆☆☆☆
オフロード
★★★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:124万円

軽快でシャープなハンドリングが味わえるキャバレロシリーズは、随所にカスタムパーツ然とした高品質なパーツを採用。ラリーは500のみだが、兄弟車のスクランブラーとフラットトラックには125/250も存在。エンジンはいずれも水冷単気筒。

往年のブリティッシュツインを再現

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650

ROYAL ENFIELD
Continental GT650

クラシック度
★★★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★
☆☆☆☆☆
ワインディング
★★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:79万5000円~

イギリスのハリスパフォーマンスが開発したシャシーに、新設計の空冷並列2気筒を搭載するコンチネンタルGTは、往年のブリティッシュツインの文法を踏襲したモデル。タイヤは前後18インチで、アップハンドル仕様のINTも併売されている。

伝統のスチールモノコックボディ

ベスパ LX125 i-GET

Vespa
LX125 i-GET

クラシック度
★★★
☆☆☆☆☆
最新装備・性能
★★
☆☆☆☆☆
お買い物・実用
★★★★★
☆☆☆☆☆

新車価格:39万6000円 中古相場:15.9~38.3万円

ミッションはハンドシフトではなく無段変速のCVTだが、ベスパは現在でも、伝統のスチール製モノコックボディと片持ち式フロントサスペンションを維持。同じブランドのプリマベラやGTSと比べると、LXは車格がコンパクトで足つき性が良好だ。

欧州勢の参入によって解釈の幅が広がった

 ネオクラシックの原点となった、1990~2000年代の日本製ネイキッドが、ダブルクレードルフレーム+ツインショック+パイプハンドルという定義を厳守していたのに対して、海外のネオクラッシクは何でもアリ。ダイヤモンド/バックボーンフレームや倒立フォーク、リアのモノショック、セパハンなどを積極的に採用しているし、運動性能を徹底追及したモデルも存在する。そう考えると海外勢の参入で、ネオクラシックの解釈は広がったわけで、近年になって登場した日本車、Z900RSやCB1100R、XSR700/900、KATANAなどは、海外勢の影響を受けたモデルといえそうだ。
 また、海外のネオクラシックは、各社にとってエントリーモデルという位置づけになっていることが多く、最もベーシックな仕様の価格は日本車と同等というケースがめずらしくない。もちろん価格が高価でも、ほとんどのモデルは親しみやすい特性を実現している。
 なお近年の2輪業界で、ネオクラシックに最も力を入れているのは、伝統のバーチカルツインを現代の技術で再生したトライアンフだろう。王道というべきボンネビルシリーズに加えて、カフェレーサーのスラクストンや、悪路走破性に特化したスクランブラー、クルーザーのボバー/スピードマスターなど、現在の同社は計10種ものネオクラシックを販売しているのだから。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2021年2月)。

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