歴史と真髄を感じるボクサーモデル

歴史と真髄を感じるボクサーモデル

水平対向エンジンのGS

唯一無二の存在を感じ取れる
水平対向エンジンのGS

100年以上にもわたるBMWの歴史において、最初に製造されたR32から現在のモデルまで一貫して作り続けているのがボクサー(水平対向)エンジンを搭載したバイクだ。左右に飛び出したシリンダーヘッドを持つエンジンレイアウトは人によっては受け入れられないこともあるかもしれないが、このエンジンを作り続けることもBMWのフィロソフィのひとつと言える。初代GSとなったR80G/Sもこのボクサーエンジンを搭載したモデルだった。エンジン一体のミッションとシャフト駆動という構成は、水冷エンジンとされた現行のR1200GS/アドベンチャーでこそ、クラッチがカートリッジ式となっているが長年ボクサーモデルで使われてきたパッケージングだった。なお環境問題への配慮により、80年代後半に3年ほどボクサーエンジンモデルの生産が止められたことがあったが、1987年にはR80/100GSが復活、ビッグタンクなどを備えたPD(パリダカール)も加わった。なお当時のOHVボクサーエンジンモデルは特有の味わいがあり、その中でも特にGS系は中古市場においてプレミアム価格で取引されている。

その後1994年に登場したR1100GSは、新設計の4バルブボクサーエンジンを搭載する他、フロントにはテレレバー、リヤをパラレバーという独自の足まわりで固めた全く新しいモデルとして生まれ変わった。大柄でありながらフロントタイヤに19インチを採用したR1100GSは、ツアラー色が強められたものだ。その後R1150GS/アドベンチャーへとブラッシュアップが施され、2004年には約30キロもの軽量化を実現したR1200GSへとバトンタッチすることになる。このR1200GSは世界中で爆発的なヒットを飛ばし、一躍GSをメジャーモデルとして持ち上げた。1100~1200系は現在の交通事情であっても遜色ないどころか、十分すぎるほどのポテンシャルを備えており、なおかつ値段がこなれた個体も多いためボクサーGSの中ではもっとも狙い目と言えるだろう。そして現在の水冷ボクサーを搭載したR1200GSへと系譜は続いてきたのだが、ここで付け加えておきたいのは、BMWは公表せずとも毎年改良を続けているふしがあり、よってモデル末期の車両は熟成が進んだベストバランスであるので中古車の場合はそれを中心に探すのもひとつの手だ。

プレミアムバリュー R80G/S&R100GS PD

R80G/S&R100GS PD

中古相場価格:139~325万円

1980年代から90年代初頭にかけて製造されていたOHVボクサーエンジンのGSシリーズは、どれも人気が高く高値で取引がされている。長年流通価格を追って見てきたが、下がるどころか上がる傾向にある。しかし末永く乗ることができるモデルなので、投資として検討するのもいいだろう。

GSWORLD01 インターナショナルGSトロフィー

世界一のGS使いを決める決定戦
インターナショナルGSトロフィー

国内で行われているGSトロフィーはビギナーからエキスパートまで楽しめるGS乗りの一大イベントであり、そのスキルチャレンジで勝利したライダーは、各国から選抜されたライダーと競うインターナショナルGSトロフィーへと招待されることとなる。

ボクサーエンジンの変遷

R80GS/R100GS

R80GS/R100GS

初期R-GS時代に搭載されていたOHVエンジン。写真はR100Rのもので、クラシックタイプのヘッドカバーとなる。水平対向らしいトルクリアクションがアジだ。

OHVから4バルブに、そして
DOHC化を経て水冷へと進化

 上質なエンジンを創り出すことで知られるBMWの中でも、創業時から現在まで変わることなく手掛けてきたボクサーエンジン。水平対向2気筒という基本的な構成は踏襲しつつも、エンジン内部は革新的な技術を用いて時代に合わせた進化を続けてきている。低重心かつツイン特有のトルク感を持っており、このエンジンに魅力を感じているファンも多い。R80G/S時代のOHVエンジンから現行R-GSまでに搭載されたもので、大きなアップデートが行われたエンジンの特徴を紹介しよう。

R1200GS 2013-

R1200GS 2013-

水冷化された現行ボクサー。エンジンレイアウトは一新されケース内にミッションと湿式多板クラッチ、ジェネレーターを内蔵。トルクリアクションも消されている。

R1200GS

R1200GS

2010年、空冷ボクサーエンジンはついにDOHC化された。バルブタイミングが細かくセッティングできるようになり全域でのポテンシャルアップを実現している。

R1100GS/R1150GS

R1100GS/R1150GS

ボクサーエンジンの4バルブ化は歴史が大きく変わったタイミングだ。排気ガスを抑えるなどの環境問題をクリアしながら、一気にパフォーマンスが向上した。

高コスパは10年落ち

RnineT URBAN G/S

RnineT URBAN G/S

中古相場価格:139.9~189.9万円

OHV時代のR80G/Sをインスパイアしたスタイリングを持つアーバンG/Sは、空冷ボクサーを搭載。現行モデルとしてラインナップに並んでいる。

R1200GS 2013-

R1200GS 2013-

中古相場価格:139.8~263.9万円

水冷エンジンを搭載した現行モデル。スタイリングが一新されより精悍な印象を持つ。初期型は値段がこなれてきた感はあるものの、それでもやや高値か。

R1150GS Adventure

R1150GS Adventure

中古相場価格:115~127万円

過酷な条件下での長距離ツーリングをこなすために、随所に手が加えられた初代GSアドベンチャー。ビッグタンク、ロングシールド、ハイシートなどを採用。

R1150GS

R1150GS

中古相場価格:59.4~62万円

ボディラインはR1100GSを踏襲しているが、異形2灯ヘッドライトとなり印象が大幅に変わったR1150GS。製造から15年以上が経っており状態に注意。

R1100GS

R1100GS

中古相場価格:38~65.8万円

空油冷ハイカム4バルブボクサーとなったR1100GS。現在のR-GSへと続く方向性は実質このモデルから始まったと言える。タマ数が減り値上がり傾向か。

狙い目
R1200GS 2010-2012

R1200GS 2010-2012

中古相場価格:79.92~220万円

スタイリングはそのままにDOHCボクサーが搭載された空冷1200GSの最終型。わずか2年という短い生産期間だが、成熟期のモデルでありお薦め。

R1200GS 2004-2009

R1200GS 2004-2009

中古相場価格:64~120万円

楕円形の異形2灯ヘッドライトを備えた最初のR1200GSは、流通量も多く値段がこなれた車両も多い。後期型はタンクパネル前部にメタルシュラウドを備える。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年4月)。

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