2024/09/16 14:07:58 更新【ホンダズーマー】エンジンオイル交換、ドライブベルト(ウェイトローラー、スライドピース)交換、プラグ交換、ブレーキ整備ホンダ ズーマー
エンジンオイル交換とドライブベルトの交換、スパークプラグの交換でホンダズーマーにご入庫いただきました。

走行距離30000キロの原付スクーターです。 1500キロ(または半年以内)にオイル交換を実施し、同時に点検をしている車両です。 外装がきれいなうえに、エンジンも静かでとてもコンディションのより車両。 走行30000キロとは思えない良好な車両です。 これからも大事に乗り続けてもらいましょう。

まずはドライブベルトの交換です。 15000キロ走行時点で既に1度目のベルト交換を実施しています。 今回は約15000キロぶりの2度目の交換です。 前回はプーリーなど駆動系各部品を交換した、いわゆるオーバーホールでした。 今回は一般的な消耗品であるベルト、スライドピース、ウェイトローラーを交換します。

スクーターはエンジンの動力をベルトを介して後輪に伝えます。 ふだんは目にすることがないのでうっかりしがちですが定期的に交換が必要です。 多くのオートバイや自転車は金属製のチェーンを介して動力を後輪に伝えます。 金属製が耐久性としては優れていますが、金属摩耗によって伸びますので適宜調整が必要。 チェーンへの注油も定期的に実施しなくてはいけません。 スクーターは変速装置などの兼ね合いと、メンテナンスフリー性能を考慮して樹脂製のベルトを使っています。 ベルトだと静かですしなめらか(フリクションロスが少ない)、調整や注油も不要です。 但し… 劣化すると破断します! ベルトが切れればチェーンが外れたのと同じ状態。 エンジンは正常なのにまったく車両が前に進んでくれません。 これは困りますね。

いちばん怖いのは破断したベルトの破片が駆動部の部品に巻き付いてしまい、最悪は後輪が走行中にいきなりロックしてしまうこと。 ロックしなかったとしても各部を傷めてしまうこともあります。 ベルトが摩耗してくると発進時の加速が良好となり、かわりに速度が伸びなくなります。 ただ、それに気づかれる方はほとんどいないですね。 交換した後に変化に気づく程度です。 なので走行距離で管理して交換します。

一般的には12000キロを超えたら交換を推奨します。 18000キロを超えればいつ切れてもおかしくありません。 そういった意味では15000キロまでには交換しましょう。 但し乗りかたによってベルトの劣化の仕方がかわります。 12000キロに満たずに破断したお客様もいます。 私個人としては10000キロを超えたらいつ交換してもいいと思っています。

ベルトケースを取り外すと普段は見えない駆動系パーツが見えます。 前方にあるのがエンジン側のプーリーと言われるいわゆる変速装置。 ベルトを介して後方のセカンダリと言われるクラッチ機能のあるパーツに繋がれます。 走行すると徐々にベルトは摩耗しますので、ケース内はこの摩耗したベルトのカス(カーボン)が堆積しています。 ある程度は外に排出されるようにはなっていますが、今回も真っ黒です。 プーリー、セカンダリ、ベルトを取外しケーズ内を洗浄します。 今回はかなりの汚れっぷりで、パーツクリーナーをまるまる1本使っての清掃です。

プーリーにはウェイトローラーと言う部品が組み込まれます。 これは遠心力によって可動する部品で、このウェイトローラーが奇麗に動くことにより変速してくれます。 スクーターは変速装置がないのではなく、オートマチックの無段変速車なんです。 常に動くウェイトローラーも摩耗します。 奇麗に転がるように可動してくれればいいのですが、編摩耗して平らな部分ができてしまいます。 こうなるとローラーとは言えませんね。 写真を見るとわかるように古いベルトには亀裂が入り、ウェイトローラーは編摩耗しています。 これらの部品に加え、変速装置に組み込まれるスライドピースも同時に交換してベルトをくみつけていきます。

ベルトもひび割れが発生しており、いつ切れてもおかしくない状態でした。

ケース内や各部品も奇麗に清掃して組み付けます。

ベルト交換作業のあとにはオイル交換。 古いエンジンオイルを抜きます。

オイルを抜いている間に別の整備です。 今回、お客様からリアブレーキの鳴きがひどいので整備してほしいと依頼されました。 この車両のリアブレーキはドラムブレーキ。 ブレーキライニング(ブレーキシュー)をホイールのドラム部に押し当てて摩擦で制動させる仕組みです。 ディスクブレーキでもそうなのですがブレーキの鳴きはどんな車両でも発生する可能性があります。

特に軽くブレーキを使用したときに鳴きます。 強くブレーキを使っているときは鳴きません。 音の原因は振動です。 軽くブレーキを使った時はブレーキシューやパッドが微振動して音を発生させるのです。 その振動を吸収させるために必要な箇所をグリスアップします。 ドラムブレーキならシューを押し広げる根元のカム部。 ディスクブレーキならディスクパッドの裏側ですね。

カム部のグリスアップとともにドラム部の清掃も行います。 ドラム部を軽く洗浄したあとにサンドペーパーで磨いていきます。 ひととおり磨き終えたらしっかりと脱脂すればOK ホイールを車両に装着し、マフラーを装着すれば作業完了です。

この頃には古いエンジンオイルも抜けきっています。 排出口のボルト(ドレンボルト)を締め、新しいオイルを注油すればオイル交換も完了です。 今回はスパークプラグも交換します。 知ってましたか? プラグの交換サイクルは5000キロ毎なんですよ。 これはプラグメーカーの指定です。

自動車などに比べれば常用回転域が高いオートバイ。 常用回転が高いということはそれだけ点火する回数が多いんです。 自動車の3倍程度の回転数ということは点火数も3倍… 交換しなくても走っちゃうから交換しない…と言う人もいますが、替えると明らかに調子がよくなるものです。 ましてやトラブルが起きてエンジンが停止してから交換するのでは困りますよね?

最後に前後のタイヤの空気圧を点検・調整、各灯火類の点検、各部の目視と触診による点検を行います。 仕上げに洗車をしてあげたらすべての作業が完了となります。

今回は思っていた以上にベルトやウエイトローラーが摩耗していました。 前回の交換時も同じような距離でしたが、それほどではなかったんです。 お客様の乗りかたや、あるいは通勤経路が変わったのかもしれませんね。 いずれにしても走行30000キロを超えましたがこれで40000キロオーバーまで安心して乗れます。 あとは定期的なオイル交換だけですね! ご利用いただきありがとうございます!