寒い季節はどうしても南の方へ、または黒潮が北上してくる太平洋岸へと足が向いてしまうものだ。だから、暖かい季節になり始めてやっと楽しくなってくるのが、緑が涼しく感じる山間のエリア。意識していなくても、これからの季節は自然と山の方に向かってしまう。先月号のこのページでは富士山周辺を走り、今月も山間の秩父方面に向かったのは、そんな背景があるからなのかもしれない。
厳密に言えば、今回の行き先として上がった地名は長瀞である。埼玉県方面を中心に、良さそうな目的地を考えていくなかで、編集者のひとりから出た地名が「長瀞」だったのである。
埼玉県はそれほど遠くない。私も埼玉のあちこちを走りまわっているはずだが、じつは、長瀞という地名は知らなかった。聞けば定番的なツーリング先であり、観光名所もあるところらしい。そこで改めて地図で長瀞を探してみてちょっと驚いた。というのもそこは、ツーリングで何度も通ったことのあるはずの土地だったのだ。
長瀞は関越自動車道の花園ICから国道140号に沿って南西方向に向かったところにある。秩父方面に向かう際の通り道である。荒川沿いを上流に向かって走る道すがらにあり、秩父鉄道沿いでもある。長瀞という地名を聞いてもピンとこなかったのは、ただの通過地点となってしまいがちだからかもしれない。それに、ナガトロを長瀞と書くと知ったのが、まさに今回のツーリング計画を始めてからのこと。なおさら口から出た音声の「ナガトロ」では、どこのことやら見当がつくはずもない。
で、候補に上がった長瀞を、最終的に行き先としてに決定した理由は大きくふたつある。ひとつは、いつも通過するばかりでジックリと立ち寄ったことがなかったということ。それと、「ナガトロ」という言葉が、マグロ好きの私には心地良い響きだったこと。
|