四国のお遍路巡りはバイクで!メリット・デメリット、出発前の確認ポイントを解説
お遍路巡りとは、かつて弘法大師(空海)が修行した四国・88ヵ所の霊場を巡礼することをいいます。お遍路の原点は歩いて巡礼する「歩き遍路」ですが、現在では移動手段も増え、車やバイク、バスツアーなど、自分に合った方法でのお遍路巡りが可能になりました。
バイクでのお遍路巡りなら徒歩よりも速く移動でき、車よりも小回りが利くなどの強みがあります。この記事では、バイクでお遍路巡りをするメリット・デメリットや、お遍路巡りに出かける際の確認事項について解説します。
四国のお遍路巡り、おもな移動手段6選
お遍路巡りの際には、体力やかけられる日数・費用などを考慮して、自分に合った移動手段を選びましょう。ここでは、お遍路巡りのおもな移動手段を6種類紹介します。
徒歩
交通手段が発展した現代でも、徒歩での「歩き遍路」を選ぶ巡礼者は少なくありません。地元の人との触れ合いや四国の美しい風景を楽しめる点は、歩き遍路の魅力といえるでしょう。
お遍路巡りでは険しい山道を歩くこともあるため、事前に体を鍛えておくことをおすすめします。
電車やレンタカー
電車は、体力や運転に自信がない方も利用しやすい移動手段です。四国運輸局では、電車やバスなどの公共交通機関を利用したお遍路巡りについてのハンドブック「四国88NAVI」を作成しているので、気になる方はチェックしてみましょう。
レンタカーでのお遍路は、費用を抑えて自分のペースで巡れる点が魅力です。ただし、細い道や山道も多いので、運転には細心の注意を払いましょう。
バイク
バイクでのお遍路巡りは、ツーリング好きな人にとって楽しく、運転しがいのある旅になるでしょう。歩き遍路よりもスピーディーに巡れる、車や電車よりも小回りが利く、といった点は、バイクの強みといえます。
自転車
自転車も小回りが利き、気になる場所に気軽に立ち寄れます。折りたたみ自転車なら車や電車にも載せられるため、移動手段を柔軟に使い分けたい方におすすめです。
なお、折りたたみ自転車を電車に持ち込む際にはルールがあるため、お出かけの前には必ず鉄道会社のホームページなどで確認してください。
タクシー
多くのタクシー会社が、お遍路巡りプランを用意しています。企画やサービスも充実しており、「家族だけで巡りたい」「観光も楽しみたい」「相乗りで費用を抑えたい」といったニーズも叶えます。
詳細は、タクシー会社のホームページで確認しましょう。
バスツアー
バスツアーでのお遍路巡りなら一人でも参加可能で、プランによっては公認先達も同行するため、安心して挑戦できます。「いつかはしたい」と思いながらもなかなか行動に移せなかった方も、バスツアーなら気軽に参加できるでしょう。
バイクで四国のお遍路巡りをするメリット・デメリット

ツーリングが好きな方は、ぜひバイクでお遍路巡りに出かけてみましょう。ここからは、バイクでお遍路巡りをするメリット・デメリットについて解説します。
メリット
お遍路巡りにバイクを使うメリットとして、まずはバイクの機動性の良さが挙げられます。車では通れない細い道も、小回りの利くバイクでは通行できることが多いため、行動範囲が広がるでしょう。
また、バイク専用の駐車場は車用駐車場に比べて安い、または無料なことが多い点もメリットです。お遍路巡りでは多くの霊場を巡るため、駐車代が安く抑えられる点は見逃せません。
さらに、天気が良く暖かい日には、心地良い風を全身で感じられるのも、バイクならではのメリットでしょう。
デメリット
お遍路巡りに限らず、天候によって快適さが大きく左右される点はバイク移動のデメリットといえます。お遍路巡りに必要なアイテムには紙類も含まれているため、雨に降られて破損してしまうことのないよう注意が必要です。
また、お遍路巡りの際はカジュアルな服装でも構わないとはいえ、白衣や袈裟、金剛棒などのアイテムをまといたい方も多いでしょう。その場合、バイクの乗り降りのたびに着替えることになり、面倒に感じることもあるかもしれません。
四国のお遍路巡りに適したバイクとは?
次に、四国のお遍路巡りに適したバイクについて解説します。バイクによって燃費やスピード、走れる道などが異なるため、訪問先の情報を十分に把握し、適したバイクで向かいましょう。ここでは、オンロードタイプとオフロードタイプのバイクを紹介します。
オンロードタイプ
舗装された路面の走行を前提に作られているのが、オンロードタイプのバイクです。長距離走行や加速性能、乗り心地の良さを重視した作りになっているため、お遍路先で平坦な道を長く走る場合はオンロードタイプを選ぶとよいでしょう。
車種が豊富なため、用途や好みの乗り心地に合わせてお気に入りを見つけやすいのも、オンロードタイプの魅力です。
オフロードタイプ
舗装されていない悪条件の路面を走ることを前提に作られているのが、オフロードタイプのバイクです。山道や砂利道、林道などの走行も可能なため、険しい道も走る予定であればオフロードタイプを選びましょう。
なおオフロードタイプも舗装路面を走ることはもちろん可能で、オンロードタイプよりも軽量なため、取り回しもスムーズです。
バイクで四国のお遍路巡り|出発前に確認すべきこと
バイクでお遍路巡りに出発する前には、確認しておくべきポイントがあります。ここでは、5つのポイントについて解説します。
日数
バイクでのお遍路巡りには、7~10日程度かかると考えておきましょう。
お遍路巡りの総距離は歩き遍路で約1,200km、車でのお遍路で約1,400kmといわれています。バイクも車とほぼ同じルートをたどると仮定し、一日に200km程度を走行すると考えると、順調にいけば7日ですべて巡り切れる計算になります。
しかし、実際には天候や体調の関係などで移動できない日もあるかもしれません。また、お遍路巡りでは札所が開いている時間内に巡る必要があるため、一日で進める距離は限られています。したがって、10日程度まとまった日数を確保し、無理のないスケジュールを立てましょう。
費用
バイクでのお遍路巡りでは、15万円程度の費用を見込んでおきましょう。内訳は以下のとおりです。
費目 | 合計 | 計算 |
---|---|---|
ガソリン代 | 1万1,900円 | (1Lあたりの走行距離を20kmと仮定) 1,400km÷20km=70L 70L×170円(レギュラー全国平均 )=1万1,900円 |
宿泊費 | 5万円 | 5,000円×10日分(ホテル素泊まりの場合) |
食費 | 3万円 | 1,000円×3食×10日分 |
納経代(御朱印代)、お賽銭ほか | 5万円 | 500円×88ヵ所分+α |
合計 | 14万1,900円 |
上記のほか、数珠やろうそくなど参拝の必需品の購入費用は別途発生します。またお遍路スタイルで巡りたい方は、白衣や袈裟などにかかる支出も見込んでおきましょう。
持ち物
持ち物は、バイクに積める量に絞りましょう。お遍路巡りの正装ではさまざまなアイテムを身に着けますが、必ずしも正装で巡る必要はありません。下記を参考に、必ず準備するもの以外は、適宜持って行くかを判断してください。
必ず準備するもの | ・納経帳 ・納札 ・経本 ・数珠 ・ろうそく、線香、ライター ・お賽銭(小銭) |
---|---|
必要に応じてそろえるもの | ・菅笠 ・白衣 ・輪袈裟 ・金剛杖 ・納札袋 ・持鈴 ・ずた袋 など |
上記のほか、山道歩きや急な悪天候にも対応できるよう、歩きやすい靴と雨具も用意していきましょう。
巡り方
お遍路巡りの巡り方には、さまざまな種類があります。
巡り方に決まりはないため、体力や時間、予算などを考慮しながら、ルートを決めましょう。
宿泊場所
お遍路巡りではかなり体力を使うため、体をゆっくり休められる宿泊場所の確保は重要です。費用を抑えるため野宿を考えている方もいるかもしれませんが、セキュリティの観点からもおすすめできません。
旅館や民宿、ビジネスホテルなどに泊まる場合は、遅くても当日までに予約しておきましょう。巡礼者向けに営業している施設では、巡礼者同士で情報交換もできるかもしれません。
また、お寺や寺院に付属する「宿坊」に宿泊する方法もあります。宿坊とは本来は修行僧が宿泊していた施設で、現在では約20ヵ所の宿坊で一般の参拝客も宿泊できるようになっています。
バイクでの四国お遍路巡りの3つの難所
お遍路巡りで訪れる88ヵ所の霊場のなかには、「遍路ころがし」と呼ばれる難所も存在します。ここでは、3ヵ所の難所の特徴を見ていきましょう。
焼山寺
徳島県にある標高800メートルの焼山寺は、四国88霊場のなかで2番目に高い山岳札所です。その山道は険しく、修行の霊場であったことから、昔から難所とされてきました。現在は山上まで車道が通っているものの、細く急勾配な道はバイクに乗っていても苦労するでしょう。
焼山寺からは、白髪山や剣山など四国山地の山々を眺めることができます。眼前に広がる絶景に、難所を登り切った達成感もひとしおでしょう。
神峯寺
神峯寺は四国88霊場のなかでは9番目に高く、高知県では最も高い標高の札所です。崖のように切り立つ山の中腹、標高約430メートル地点に位置しており、お寺へと続く山道は「真っ縦」と呼ばれているほどの急勾配です。
駐車場から本堂までも距離があり急な石段が続くため、かなり息が切れるでしょう。とはいえ、石段の周りは美しい庭園になっており、一見の価値ありです。
神峯寺の境内では、病気平癒のご利益があるとされる「神峯の水」が湧き出しており、訪れる人々の疲れと渇きを癒します。
太龍寺
徳島県にある太龍寺山の山頂付近、標高約610メートルに位置するお寺で、「西の高野」とも呼ばれます。太龍寺まではロープウェイが運行されていますが、バイクで行くことも可能です。ただし山道は細くデコボコしているため、運転には細心の注意を払いましょう。
境内には樹齢数百年といわれる老杉がそびえ、荘厳な雰囲気を感じられます。大師堂には中国の民話や伝説のワンシーンが彫刻されており、繊細な描写が楽しめるでしょう。
まとめ
四国お遍路巡りの移動手段にはさまざまな種類があります。かけられる日数や予算、体力などを考え、自分に合った方法を選びましょう。バイクは四国の自然を全身で感じられ、自分のペースを守りながら巡れるためおすすめです。
バイクでのお遍路巡りの際は、行程に適したバイク選びや持ち物の確認など、事前準備を入念に行なってください。難所と呼ばれる場所もありますが、愛車での参拝が叶った際には大きな達成感を得られるでしょう。
本記事は、2023年12月12日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。