バイクの立ちごけ対策6つ!転倒した場合の適切な対応方法も紹介
バイクで立ちごけしてしまうと、車体が傷付いてしまい、精神的に落ち込む方も多いでしょう。そこで大切なのは、どうして立ちごけしてしまうのか、予防するにはどういう点に気を付けるべきかを把握することです。
この記事では、バイクの立ちごけの原因や6つの対策、さらには転倒した場合の適切な対応方法を解説します。
バイクの「立ちごけ」とは?
バイクの立ちごけとは、停車時にバイクにまたがったまま転倒することをいいます。バイクを押しているときや停車直前で転倒したときなども、立ちごけと呼ぶことが多いです。
自動車と違ってバイクはタイヤが前後に2つしか付いていないため、支えがないと簡単に倒れてしまいます。立ちごけをすると、車体に傷が付いたり、心が落ち込んでしまったりする方も多いでしょう。
立ちごけの原因|転倒しやすいシチュエーションも
立ちごけの原因はいくつか考えられます。転倒回数を少しでも減らすためにも、まずは原因を突き止めましょう。
路面状況の悪さ
砂利や落ち葉などがたまっている場所では、タイヤが滑って転倒するケースがあります。雨が降っている日は、停車しようと足を地面に着けたときにツルッと滑り、立ちごけにつながるケースもあるでしょう。
また、やわらかい土の上でバイクを停車させる場合は、スタンドが地面に徐々に埋まってしまい横に倒れる可能性もあります。
足つきの悪さ
バイクの足つきの悪さも、立ちごけが起きやすい原因です。
一般的に、シート高が高いバイクは立ちごけしやすいといわれています。足が地面にべったり着かない分、バランスを崩したときに踏ん張れないためです。重量のあるバイクも立ちごけしやすいといわれていますが、足の裏全体がべったり地面に着いて足つきに余裕があれば、むしろ安定しやすいでしょう。
バランスが取りにくい状況
バイクを操作しているときにバランスを崩して、そのまま転倒してしまうこともあります。
以下のような状況では、比較的バランスが取りにくいといえます。
特に、低速でのUターンや乗降時の立ちごけは、ベテランライダーでも起こりやすいです。
ライダーの不注意や集中力低下
「停車時にサイドスタンドをかけたと思い込み、そのままバイクを倒してしまう」「目的地に到着して気を抜いてしまいバランスを崩した」など、ライダー自身の不注意で立ちごけが起きる場合もあります。
長距離運転によって疲労がたまっていることで、集中力が低下するケースも考えられるでしょう。
エンスト(エンジンストール)
エンストしてしまうと、バランスが取れなくなり立ちごけしてしまう可能性が高いです。
バイクを発進させるときは、クラッチレバーをゆっくり離してエンジンのパワーを徐々にギアやトランスミッションへ伝える必要があります。
これを「半クラッチ」と呼びますが、ラフなクラッチ操作やアクセル操作などをするとエンストしてしまいます。
6つの立ちごけ防止策

立ちごけ予防には、以下の6つの方法が効果的です。ちょっとした意識でもバイクの立ちごけは減らせるため、ツーリングの際に意識してみましょう。
バイクの足つきを良くする
バイクの足つきを良くすると安定感が増し、もしバランスを崩したとしても立て直しやすくなります。
自分の体格に合ったバイクを購入するのが理想的ですが、「すでにバイクを購入済みである」「憧れのバイクに乗りたい」という方は、以下のようなカスタムを行なってみてください。
安定した場所で停車させる
バイクを安定した場所で停車させれば、停車中や乗降時の立ちごけのリスクを軽減できます。砂利道や落ち葉の多い場所などで停車しなければならない場合は、なるべく水平なところを選んだうえで、サイドスタンドプレートを使うとよいでしょう。スタンドの接地面積が広くなる分、地面に沈みにくくなります。
バイクと体の距離を近づける
乗降時にはバイクのハンドルと上半身を近づけるようにすると、足が上がりやすくなるためスムーズに乗り降りできます。「またがろうとしたときにふらついて転倒してしまった」という状況になりやすい方は、特に意識すべき点です。
また、ハンドル位置を調整して体に近づけるのも有効です。セパレートハンドルよりもバーハンドルのほうが力を加えやすい分、バイクを制御しやすくなります。
停車時はリアブレーキを活用する
停車時はリアブレーキも活用するのがポイントです。
フロントブレーキの制動力はかなり強いため、急に握り込んでしまうと前輪がロックして立ちごけの原因になりえます。一方で、リアブレーキの制動力はフロントブレーキほど強くありません。
制動力の違いを考慮して、停車するときは「フロントブレーキ7:リアブレーキ3」程度の割合でブレーキをかけることが理想とされています。最後はリアブレーキを調整しながら停止すれば、バランスを崩さずスムーズに停車できるでしょう。
渋滞のような低速走行が必要なときも、リアブレーキを活用することで車体がふらつきにくくなります。
長距離運転の際はこまめに休憩する
長時間運転をするときは1時間に1回、5~10分程度の休憩を挟むのが理想的です。
バイクは同じ姿勢を維持する分、長時間運転していると体の筋肉が固まってしまい、血流が悪くなります。そのため疲れがたまって集中力も切れやすくなり、立ちごけのリスクが高くなってしまうのです。
休憩の際は十分な水分補給を行ないつつ、全身のストレッチ運動をすると疲労感が軽減されやすいでしょう。
エンストさせないよう心がける
バイクの運転時は、ちょっとしたクラッチ操作のミスが、エンストの原因になりえます。
発進するときは、アクセルを回してからクラッチをゆっくり開放していき、半クラッチ状態を少し長めに取ってください。そうすることでエンジンの回転数を十分に上げられるため、クラッチが完全につながったときにエンストしにくくなります。
立ちごけしてしまったら?適切な対応方法
立ちごけしてしまうと「一体どうしたら」「早くなんとかしないと」と焦ってしまうものですが、冷静に対応することが大切です。立ちごけをして慌てることで、二次災害につながる可能性もあります。
1.周囲を確認したうえでエンジンを停止させる
まずは、周囲の安全確認を行ないます。後続車が迫っている場合は、大きく手を振るなどをしてバイクの存在を知らせてください。
ある程度の安全が確保できたら、バイクのエンジンを停止させます。すでに停止している場合は引き起こしの段階に進みますが、まだ動いている場合はステアリング右側にあるキルスイッチでエンジンを停止させましょう。
2.バイクを引き起こす
エンジンを完全に停止できたら、以下の手順で倒れたバイクを引き起こします。
参考:JAFウェブサイト
上記の方法は、バイクにまたがったときに左手側が下になって倒れている車両を引き起こす方法です。右手側が下になって倒れている場合は、まずサイドスタンドを出してから同じ動作を行ないます。
ケガをしている、もしくは1人でバイクを引き起こすのが難しい場合は、周囲の人に声をかけて助けてもらいましょう。
3.車体と自身へのダメージを確認する
安全な場所までバイクを移動させたら、パーツが破損していないか、正しく機能するかを確認します。ミラーやウインカー、クラッチレバーなどは破損しやすいため、しっかり見ておきましょう。
車体のダメージと同じように、ライダー自身にもケガや骨折などがないかよく確認します。転倒直後は、アドレナリンの分泌によって痛みを感じないこともあるので、痛みがないからと油断せずに傷などを入念に確認しましょう。
4.必要に応じて警察や保険会社に連絡する
立ちごけによって標識やガードレールなどにぶつかってしまった場合は、速やかに警察へ連絡しましょう。報告せずにそのまま立ち去ってしまうと、報告義務違反もしくは当て逃げとされ刑罰を科せられる可能性があります。
また、バイクの修理費用を車両保険で補償したいときにも、警察への連絡は必要です。
バイク保険のなかには立ちごけの修理費用を補償してくれるタイプもあるため、不安な方は加入を検討してみましょう。
女性ライダーも必見!バイクの引き起こしのコツ
バイクの引き起こしのコツは、以下の3つです。
全身の力を使って立ち上がるつもりで一気に行なえば、力の弱い方や女性ライダーでも比較的簡単に引き起こせます。力技でやろうとすると、腕や腰を痛める恐れがあるため避けてください。
立ちごけの修理代は故障の程度や部品交換の有無によって変わる
立ちごけにかかる修理代は「傷の多さ」「故障の程度」「部品交換の有無、または要否」によって大きく変わります。1万円以内に収まる場合もあれば、5万円以上かかる場合もあるでしょう。
バイクの修理を依頼するなら、パーツ代に加えて工賃もかかります。自分で修理すればパーツ代のみで済みますが、工具を持っていない方はそれらの購入が必要です。
修理すべき部分がよくわからない場合は、一度業者に見てもらったほうが確実です。
車体へのダメージを軽減するパーツを装着するのもおすすめ
バイクの立ちごけに不安の残る方は、エンジンガードやエンジンスライダーなど、車体へのダメージを軽減するパーツを装着するのもおすすめです。
エンジンガードは、転倒時の衝撃を受け止めエンジンやボディを守るパーツで、パイプ状になっています。エンジンガードが車体から張り出している分、立ちごけのときに地面から少し浮いた状態になるため、引き起こしの作業も楽になります。
一方でエンジンスライダーは、転倒時に車体を滑らせて衝撃を逃がすパーツです。筒状になっていて非常にコンパクトなため「車体を守りたいけどデザイン性も損ないたくない」という方に向いているでしょう。
まとめ
バイクの立ちごけは、路面状況の悪さやバランスが取りにくい状態での運転、エンストなどが原因で起きてしまいます。予防するには、バイクの足つきを良くしたり丁寧な操作を意識したりすることが大切です。
それでも立ちごけしてしまわないか不安な方は、立ちごけ補償の付いているバイク保険に加入するか、車体へのダメージを軽減するパーツを装着するとよいでしょう。
本記事は2023年6月25日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。