バイクの水没はどこまでの深さなら復活可能?水没バイクの対処方法も解説
この記事では、バイクが水没したときに復活できる可能性の高い深さや、水没してしまったときの対処方法を解説します。ゲリラ豪雨などが起こりやすい近年では、大雨による水没で大事なバイクが壊れてしまうトラブルが増えています。真夏のツーリングが多い方は、ぜひ本記事の内容をチェックしてみてください。
バイクはどこまでなら水没しても大丈夫?
この章では、人気の高いネイキッドバイクを例に、バイクが水没しても復活できるボーダーラインを解説します。
バイクが水に浸かっても大丈夫と判断できる目安はある?
基本的には、エンジンと足回りを別に考えた場合、まず車輪は完全に水没しても問題ありません。しかし、エンジンや電気系統といった水に弱い部分が完全に水没した場合、一般的に復活は難しいといわれています。
バイクのエンジンの中にあるオイルは、水などが入ってこないように封入されています。そのため、エンジンオイルが入っているところまでは水に浸かっても問題ないと考えられています。
オイルが入っているさらに上部には、空気(ガス)がはいっていて、その空気を抜くための穴があります。その穴に達するぐらい、つまりエンジンのクランクケースが完全に水没したら復活は難しいでしょう。
バイクの構造を考えると、水没しても復活できる深さの目安は、エンジンのクランクケースの半分ぐらいまでです。バイク専門店によっては、マフラーが水に浸からない深さまで、タイヤの中心軸までといった基準を案内するところもあるようです。
バイクが水没したときに最初にやるべきこと
水没したバイクが復活するかどうかの判断や修理をするパーツは、車体が浸かった水の深さによって変わります。そのため、バイクが水没してしまったときは、修理を依頼する専門店に的確な情報を伝えられるように、水の深さや浸かっていた時間などをメモしておいてください。
バイクが水没した場合の対処方法

バイクが水没した場合は、正しい方法と手順で対処する必要があります。水没によって内部に水が入ったエンジンをかけると、シリンダー内の水を逃しきれず、ウォーターハンマー現象によってヘッドまわりに致命的な損傷が起こる可能性があるからです。また、電装系はショートする可能性もあります。水没による損傷を最小限に抑えるためには、以下の流れで対処するのが理想です。
バッテリー端子を外す
配線類のショートや火災を防ぐために、まずバッテリー端子を外します。バッテリー関係の着脱は、マイナスターミナルから取り外し、プラスターミナルから取り付けるのが基本です。
バイクを洗う
さまざまな成分を含む泥水をつけたままにしておくと、バイクが錆びやすくなります。特に海が近い地域では、泥水に多くの塩分が含まれている可能性が高いため、必ず早めに流水で洗ってください。
エンジンオイルを抜く
抜いたエンジンオイルに問題がない場合は、新しいオイルを入れてバイクを乾燥させたあと、エンジンをかけることができます。抜いたオイルが白濁している場合は、水とオイルが混じって乳化が生じている可能性が高いです。
エアクリーナーボックスを確認する
オイルが乳化していた場合は、エアクリーナーが水を吸った可能性を疑い、洗浄や交換を行ないます。純正エアクリーナーの場合は、洗浄しても復活しないこともあります。エアクリーナーまで浸水した場合は、ECUやハーネスも水に浸かっている可能性が高いです。これらの部品は、分解後にしっかり乾燥させることで復活する可能性があります。
ガソリンを捨てる
ガソリンにも水が混入している可能性があるため、必ず新しいものと入れ替えます。ガソリンタンク内部は錆びやすいため、水没した場合は、バイクがどのような状況であっても新しいガソリンと交換してください。
マフラーの水抜きをする
マフラーから入った水が逆流すると、シリンダー内に水が溜まるなどの理由でエンジンがかからなくなってしまいます。そのため、バイクが水没したときは、マフラーを逆さにして水を抜く必要があります。
プラグを外してから、セル・キックをする
プラグを外してからエンジンをかけると、プラグホールから水を出せます。この作業をするときは、カムに付着したオイルが飛び散りやすいので注意をしてください。ちなみにヘッドからの水の浸入は、気筒が多くなるほど生じやすいです。
エンジンをかける
マフラーやプラグホールから水が出なくなったら、プラグを外した状態でエンジンをかけてみます。この方法でエンジンがかからない場合は、電装系のパーツが損傷している可能性が高いです。どこが壊れているかわからない場合は、早めに専門店に相談するようにしましょう。
バイク専門店で行なわれている水没バイクの修理に興味がある方は、以下のページをチェックしてみてください。
まとめ
エンジンや電気系統が完全に水没したバイクは、復活が難しいといわれています。ゲリラ豪雨などでバイクが水没したときは、後日バイク専門店に情報を伝えられるように、水の深さや浸かっていた時間を覚えておいてください。
また、エンジン内に水が入ったバイクは、ウォーターハンマー現象によって電装系のショートや火災を起こす危険があります。そのため、愛車が水に浸かってしまったときには、まずバッテリー端子を外し、正しい手順で対処するようしてください。
本記事は、2020年7月30日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。