バイクの負圧コックの故障の症状とは?仕組みや修理方法を解説
「エンジンのかかりが悪い」「エンストが頻発する」という状況では、燃料やエンジンに関わる不具合など、多くの原因が考えられます。なかでも、ガソリン漏れが併発しているときは燃料コック(負圧コック)に不調が出ている可能性があり、対処が遅れてしまうことも多いでしょう。
そこでこの記事では、セルフメンテナンスでは気づきにくい負圧コックの不具合や、具体的な修理方法を解説していきます。
バイクの負圧コックとは?
バイクの負圧コックとは、空気圧(負圧)を利用した燃料コックをいいます。バイクには、燃料タンク(ガソリンタンク)とキャブレターを繋ぐ燃料コック(フューエルコック)と呼ばれるパーツがあります。ここに不具合が起こると、燃料供給が正常に行われず、エンジンの不具合や燃料漏れの原因になります。
以下で、負圧コックの詳しい仕組みを見ていきましょう。
そもそもバイクの負圧コックとは?
そもそも負圧コックとは、エンジン駆動時の圧力差を利用して、自動的に燃料供給をおこなう燃料コックのことです。燃料タンクとキャブレターの間で燃料の供給を仕切る弁の役割を持ち、エンジンを始動するとガソリンを供給し、停止するとガソリンの供給も止まるというのが正常な働きです。
負圧コックはエンジンの駆動に合わせて、燃料タンクから適切に燃料を供給しますが、パーツの劣化やフィルター詰まりなどが原因で負圧が乱れ、正常に動作しなくなる場合があります。負圧コックの動作が安定しないと燃料供給が正常におこなわれないため、エンジン始動時・駆動時の不調が目立つようになります。
バイクの負圧コックの仕組み
負圧コックは、常時ONにしておくことでエンジン駆動の際に生まれる負圧を利用し、燃料を供給できます。負圧とは、ピストン運動の際におこなわれる吸気によってキャブレター内が一時的な真空状態となり、圧力差が生じることをいいます。吸気により一方的に空気が流れて真空状態になると、燃料コックが負圧の力で開き、燃料を供給して真空状態が解除されると、コックは元の位置に戻る(閉じる)仕組みです。
負圧コックの開閉タイミングは、2ストロークエンジンではピストンが上がった際の吸気、4ストロークエンジンではピストンが下がった際の吸気となります。
また、負圧コックのRES(リザーブ)はリザーブポジション(燃料残量ぎりぎり)まで燃料を供給し、PRI(プライマリー)は負圧が生まれていないとき(エンジン停止時など)でも燃料を供給することが可能です。
バイクの負圧コックが故障したときの症状

経年劣化や汚れの蓄積によりバイクの負圧コックが故障すると、以下のような症状が見られる場合があります。
始動性の悪化
負圧コックが故障すると始動に必要な燃料が供給されず、始動性が悪くなる場合があります。ただし、エンジンの始動性が悪い場合、キャブレター内部の汚れや負圧ホースの劣化・詰まり・エア混入なども原因として考えられるため、負圧コック以外の部分も点検する必要があります。
エンストが頻発する
走行中にエンストが多く発生する場合、負圧コックの故障により燃料の供給が追いつかず、キャブレター内のガソリンが不足していることが考えられます。負圧コックの故障によるエンストかどうかを見極めるには、走り出してからの距離を判断材料のひとつにしてみてください。エンストにもさまざまな原因がありますが、「家から特定の距離を走った所でエンストする」といった場合は、負圧コックの故障を疑うことができます。
ガソリン漏れ
負圧コックが故障すると必要以上に燃料が供給され、キャブレターのオーバーフロー(ガソリン漏れ)が起こる場合があります。負圧コックは、経年劣化による摩耗や破損が起こるパーツです。負圧コックの機能を正常に保つには、定期的な点検・交換をおこなう必要があります。
バイクの負圧コックの修理方法
バイクの負圧コックの修理方法は、大きく分けて「負圧コック本体の交換」もしくは「消耗パーツの交換」の2つです。メンテナンスが行き届いていないバイクなどで、負圧コック自体に劣化・損傷が見られる場合は、負圧コックを丸ごと交換しましょう。負圧コックに損傷が見られないときは、シールパーツ(Oリング)を交換することで修復できる場合があります。
それぞれの修理方法の手順は、以下のとおりです。
負圧コックの交換
Oリングの交換
まとめ
本記事は、2020年3月27日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。