バイクのクラッチが重い7つの原因と4つの対策
バイクのクラッチ操作で「重さ」が気になったことはないでしょうか。もともとクラッチが重くなっているバイクもありますが、ほとんどの場合はメンテナンス不足が原因であると考えられます。クラッチが重いと遠距離走行や渋滞が苦痛になるほか、エンストしてしまう可能性もあるので、クラッチを軽くする方法や重い場合の対策を知っておくと安心です。
ここでは、バイクのクラッチが重い原因と対策、軽くする方法についてご紹介します。
バイクのクラッチが重い原因7つ
バイクのクラッチが重い原因は主に7つで、そのうち5つはメンテナンス不足になります。
1. 車種特有の重さ
バイクにはもともとクラッチが重くなっているものもあり、その代表的なバイクがハーレーダビッドソンです。ハーレーはほかの車種に比べて排気量が多く、その分エンジンにもパワーがあります。そのため、クラッチ板を押さえるバネが硬めになっており、車種が古くなるほどクラッチも重くなるのが一般的です。
2. 注油切れや汚れの付着
クラッチがワイヤー式の場合は、ワイヤーの油が切れていることが考えられます。油が切れてしまうと潤滑ではなくなるので、クラッチが必然的に重くなるのです。
3. クラッチワイヤーの錆や劣化
ワイヤーの注油切れだけではなく、錆や劣化もクラッチが重くなる原因です。特に劣化が進んでいるワイヤーはいつ切れてもおかしくない状態なので、ツーリング中にワイヤーが切れるというリスクも潜んでいます。
4. フィールドの劣化
「大型のバイクは油圧式のクラッチにすると軽くなる」ともいわれていますが、油圧式の場合もフィールドが劣化してしまうとクラッチが重くなることもあります。
5. クラッチの取り回しに問題がある
ハンドル周りのカスタムをした後や、バイクが中古車の場合はクラッチの取り回しに問題がある可能性があります。ワイヤーが長く飛び出していたり、不自然な回しになっていたりすると、ワイヤーが干渉してクラッチが重くなります。
6. クラッチレバーの位置や遊びの問題
クラッチレバーの位置があまりに下を向いていると、握る際に力が入りにくく「クラッチが重い」と感じてしまうことがあります。この場合、クラッチには何の問題もないケースがほとんどなので、レバーを握りやすい位置に調整するだけで改善できます。
また、ワイヤー式の場合はレバーのアジャスターを調節し、遊び幅を程よくすることでクラッチが軽くなることもあります。ただし、あまり遊びを多くするとクラッチが切れなくなってしまうことがあるので注意しましょう。
7. 握力が弱い
これらの原因が当てはまらない場合は、単純に握る力が弱いのかもしれません。重いクラッチのまま走り続けるのは苦痛でしかないので、一度バイクショップなどに相談してみるのがおすすめです。
バイクのクラッチが重いときの基本的な4つの対策

バイクのクラッチが重いと感じたら、まずは基本となる4つの対策を行ってみましょう。これらの対策は自分でも手軽にできるので、定期的にチェックしておくのがおすすめです。
1. クラッチ部分の清掃とグリスアップ
クラッチ部分を清掃し、グリスアップを行いましょう。
前述したように、クラッチ部分の汚れや油分切れは重さの原因になりますので、普段からメンテナンスを行うことが大切です。
2. クラッチワイヤーを交換する
クラッチワイヤーの錆や劣化が進んでいる場合は、新品のワイヤーに交換しましょう。
ワイヤーは比較的簡単に交換することができますが、バイクショップなどに依頼した場合は3,000円前後の工賃がかかります。
3. クラッチの取り回しを点検する
クラッチワイヤーが綺麗な状態にもかかわらず重さを感じる場合は、クラッチの取り回しをチェックしてみましょう。その際は、ケーブルの中でワイヤーが干渉していないか確認します。また、常にテンションがかかった状態も良くないので、テンションがかからないように調整してください。
4. クラッチレバーの位置と遊びを調整する
クラッチレバーの位置を自分が握りやすい位置・向きに調整しましょう。レバーの向きはクランプを緩めるだけで簡単に調整できるので、普段のメンテナンス時にチェックするのがおすすめです。また、その際はクラッチが切れるまでの遊び幅も確認し、程よい遊びが出るように調節してください。
バイクをカスタムしてバイクのクラッチを軽くする方法
クラッチは、バイクのカスタムでも軽くすることが可能です。カスタムとなるとそれなりにコストがかかりますが、その分大幅な改善も期待できます。
VPクラッチを取り付ける
カスタムでおすすめなのが、VPクラッチの取り付けです。
この方法はクラッチを軽くする方法としても有名で、かなりの効果が期待できます。そのため、女性でハーレーに乗っている人、もしくはこれから乗ろうと考えている人にもおすすめです。
バイクショップに頼むと工賃込みで35,000円ほどかかりますが、クラッチが劇的に軽くなるのでやる価値はあるでしょう。
ライトクラッチを取り付ける
VPクラッチ同様、ライトクラッチもクラッチを軽くする方法として有名です。純正クラッチの重さを30%程度軽減できるほか、導入コストが9,000円ほどと安いのも大きな魅力といえるでしょう。
ただ、ライトクラッチを取り付けることでクラッチの切れが悪くなるケースもあるので、こまめなメンテナンスを心がけましょう。
クラッチレバーを取り替える
最近では、ライトクラッチレバーやビレットレバー、パワーレバーといった社外レバーも多く販売されています。中には角度が調節できたり、握る力を軽減できたりするものもあるので、自分の手の大きさや握力に合ったレバーに取り替えてみましょう。
ただし、汎用品のレバーを選ぶ場合は適合車種が決まっている場合があるので、よく確認してから購入してください。
乗り方や握り方を工夫してバイクのクラッチを軽くする方法
手間やコストをかけずにクラッチを軽くしたい場合は、バイクの乗り方やクラッチの握り方を工夫してみるのも効果的です。
握力を鍛える
最もシンプルな方法は、自分の握力を鍛えるという方法です。即効性はありませんが、一般的なバイクであれば10kgほど、ハーレーであれば15kgほどを目安にトレーニングをすれば、クラッチ操作も楽になるでしょう。
クラッチレバーの握り方を工夫する
通常はクラッチレバーを握り込むようにして操作を行いますが、その際に肩から引っ張るイメージで力を入れてみましょう。これにより肩の力が加わるため、左手だけで操作するよりも若干楽に感じることができます。
また、クラッチを握る指の本数を増やす、クラッチの外側を握るといった方法も効果的です。
休憩を取る
クラッチの重さで左手が疲れてしまわないよう、適度に休息を取るのもおすすめです。特に長距離を走行する場合、こまめに休息を取るようにすれば、手と身体の両方を休めることができます。
まとめ
バイクのクラッチが重い原因はメンテナンス不足によるものが多く、主にクラッチワイヤーの汚れや注油切れ、錆、劣化などが挙げられます。また、クラッチレバーの位置や遊びを調整するだけで軽くなるケースもあるので、こまめにメンテナンスを行えばクラッチが重くなるのを防ぐことができるのです。
「クラッチを大幅に軽くしたい!」という場合は、VPクラッチやライトクラッチ、クラッチレバーを取り付けるという方法もあり、コストがかかる分大きな効果が期待できます。逆にコストをかけたくない場合は、バイクの乗り方やクラッチレバーの握り方を工夫する方法もあるので、ぜひ自分に合った方法でクラッチの重さを改善してみてください。
本記事は、2020年2月6日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。