セルは回るのにバイクのエンジンがかからない?対処法を解説!
セルが回らずにエンジンがかからない場合、バッテリーが上がったのだと納得できますが、セルが回るのにエンジンがかからない場合、理由がわからず焦ってしまうのではないでしょうか?
「バッテリー上がりじゃないのにエンジンがかからない……どこか壊れたのかも」と思うかもしれませんが、意外と単純な理由でエンジンがかからないこともよくあります。
ここでは、「セルが回るのにバイクのエンジンがかからない場合の対処法」について解説していきます。
エンジン始動に必要な条件を整理しよう
まずは、エンジン始動に必要な条件を整理しましょう。条件を1つずつ確認していけば、何が原因でエンジンがかからないのかを突き止めることができます。
ガソリン
最初に確認するべき条件は燃料です。当たり前ですが、エンジンは燃料がなければかかりません。意外と「ガス欠になっていただけ」ということもよくあるので、まずはガソリンが入っているかを確認してみましょう。
ガソリンが入っていることが確認できたら、次は燃料コックがオンになっているかを確認しましょう。タンクにガソリンが入っていても、コックがオフになっているとガス欠と同じ状態になってしまいます。
吸気
燃料系に異常がないことが確認できたら、次に吸気系統を点検してみましょう。エアクリーナーボックスに水や汚れが詰まっていると、空気を吸えないためエンジンがかかりません。
エアクリーナーボックスを開け、中のフィルターが詰まっていないかチェックしましょう。基本的にはフィルターを清掃することで改善しますが、フィルターが劣化していた場合は交換してください。
エアクリーナーに異常がなければ、次にエンジンとキャブレター(インジェクション)を繋ぐ「インシュレーター」というゴム部品に亀裂や穴が開いていないかどうかを確認してください。
エアクリーナーに異常がなくても、インシュレーターに亀裂や穴が開いていると空気を吸えない原因になります。劣化によりインシュレーターに亀裂や穴が開いていた場合は、交換する必要があります。
排気
吸気とセットになるのが排気です。空気を吸えていても吐き出せなければ、やはりエンジンはかからなくなってしまいます。
昔の2ストロークエンジンでは、オイルでマフラーが詰まることはよくあることでした。しかし、4ストロークのエンジンでマフラーが詰まるのは珍しいケースです。そのためエンジン不調の原因である可能性は低いですが、念のため確認しておきましょう。
確認方法としては、手をマフラーの排気口にかざしてセル(キック)を回してみる方法が有効です。手に風(排気)が当たるようであれば、正常に排気されている証拠です。
電気
セルが回るとなると、電気系統に異常はないように思えますが、意外にコンピューターやイグニッションなど他の電気系統に異常をきたしている可能性があります。
コンピューターの故障など目に見えないトラブルはショップで確認しないと判断できませんが、まずは目に見えて判断できるヒューズを確認しましょう。
ヒューズボックスの裏に書かれている配置図を見ながら、エンジンの始動に関係する以下のヒューズを確認してください。
これらのヒューズを確認し、切れているものがあれば交換しましょう。大抵はヒューズボックスに予備が備わっているので、それを使用するといいです。なお、使用した予備ヒューズは補充することを忘れないでください。
点火
最後に、スパークプラグが正常に点火しているかどうかを確認します。スパークプラグが劣化して火花が飛ばず、エンジンがかからなくなるケースはよくあります。簡単に点検できるので、疑わしい場合は最初に点検してもいいでしょう。
まずはプラグキャップを取り外し、プラグをプラグレンチで取り外してください。取り外したプラグを再度プラグキャップに装着し、プラグの先端を車体の金属部分に接触させた状態でセルを回します。
火花が飛んでいれば正常、火花が飛ばなければプラグがダメになっている証拠です。チェックの際、直接プラグを触ると感電するので、プラグキャップを持ちながら確認するようにしてください。
火花が飛ばない理由としては、プラグがガソリンで湿っている状態、いわゆる「プラグかぶり」を起こしていることが多いです。この場合はパーツクリーナーなどで洗浄し乾かすことで再び火花が飛ぶ可能性があります。
ただし、一度かぶらせたプラグはまたかぶる可能性が高いので、できるだけ早く新品のプラグに交換しましょう。
セルは回るのにエンジンがかからない!ありがちなパターンを紹介

セルが回るのにエンジンがかからない場合のトラブルシューティングの手順は上記の通りですが、もっと初歩的な部分が原因であるケースも多くあります。
ありがちなパターンをご紹介しますので、当てはまっていないか、最初に確認してみてください。
キルスイッチがOFFになっている
「そんなバカな」と思うかもしれませんが、意外に「キルスイッチがオフになっていただけだった」というのはよくある話です。セルが回るのにエンジンがかからない場合は、まずキルスイッチを確認しましょう。
寒い時期にチョークを引いていない
キャブレター車のバイクに乗っている場合、「寒い時期にチョークを引いていない」というのもエンジンがかからない原因の一つです。
気温が低いときは相対的に燃料が薄くなってしまうため、チョークを引いて燃料を濃くしないとエンジンがかかりづらくなってしまうからです。
正しいチョークの使い方については後ほど解説します。
セルは回るが力が弱い
セルが回るが力が弱い、もしくはカチカチと音がする場合、バッテリーが弱っていると考えられます。エンジンの始動に必要なパワーが不足しているため、エンジンがかからないパターンです。
この場合、単純にバッテリーが弱っているだけなので、外部からブースターケーブルを繋いでジャンプスタートすればエンジンがかかります。また、バッテリーも充電されます。
ただし、バッテリーが寿命であることには違いないので、ジャンプスタート後はバッテリー交換を行いましょう。
プラグがかぶっている
先ほども解説したように、プラグがかぶっていることが原因でエンジンがかからないのはよくあることです。
プラグを取り外し、かぶっていないか確認してみましょう。かぶっていた場合はパーツクリーナーで除去するか、ライターで炙ってガソリンを揮発させてください。
バイクのエンジンを上手くかけるコツ!
何もトラブルがなくても、単純にエンジンのかけ方が悪くてかからないこともあります。上手なエンジンのかけ方のコツをマスターしましょう。
チョークを正しく使う
先ほど解説したチョークですが、「ただ引いておけばいい」というものではありません。正しく使わないと、過剰に燃料を送ってプラグかぶりを起こす原因にもなります。以下の手順で正しく使いましょう。
スロットルをむやみに開けない
スロットルを開けたほうがエンジンはかかりやすそうに思えるかもしれませんが、かえってエンジンがかかりにくくなってしまいます。
これは、始動時の空燃比(空気とガソリンの量の割合)を乱してしまうことが理由です。冷えたエンジンではガソリンが気化しないため、スロットルを開けるとどんどん空燃比が薄くなってしまいます。
「かかってくれ!」とスロットルを開けたくなる気持ちはわかりますが、そこをグッとこらえてスロットルを閉じたままエンジンをかけるのが、上手にエンジンをかけるコツです。
まとめ
いかがでしたか?どこかにトラブルがあってエンジンがかからなくなっている可能性もありますが、意外にキルスイッチをオフにしているなど、単純なミスでエンジンがかからないパターンも多くあります。
「バイクのエンジンを上手くかけるコツ!」の方法でエンジンをかけるのは大前提として、まずは「エンジンがかからないありがちなパターン」をチェックしてみましょう。
それでもエンジンがかからない場合は、「エンジンがかかるのに必要な条件」を一つずつチェックしトラブルシューティングをしてください。最終的に原因がわからない場合は、バイクショップで見てもらうことをおすすめします。
本記事は、2019年11月29日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。