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バイクのブレーキパッドにグリスを塗る方法とは?おすすめのグリス8選も紹介

バイクのブレーキパッドに使うグリスは、二輪車を快適かつ安全に乗るうえでも欠かせないアイテムです。ただし、グリスを使ったバイクのメンテナンスをするときには、自分の愛車のブレーキまわりに適した商品を選ぶことが大切になります。

今回は、バイクのブレーキから共振音が発生する原因や、ブレーキパッドに使うグリスの特徴を確認したうえで、実際にグリスを塗る方法や作業時の注意点、8つのおすすめ商品を紹介していきます。

バイクのブレーキパッドに使うグリスとは

グリスとは、ベルトと金属、金属と金属などの物理的な摩擦抵抗の軽減に使う、潤滑油の総称です。例えば、ベルトと金属部に使用すると、摩擦による不快な音を防止できる特徴があります。

ブレーキパッドのメンテナンスでは、パッドとシム(アンチスキールシム)の隙間をグリスで密着させることで、共振音が鳴らないように使うのが一般的です。バイクでは、ブレーキパッド以外にも、以下のように幅広い部品や可動部のメンテナンスでグリスが使われています。

  • クラッチ
  • ベアリング
  • スイングアーム など

グリスとオイルの違い

バイクパーツの摩擦抵抗を軽減させるには、グリスのほかにオイルを使う方法もあります。グリスは、オイルに増ちょう剤を分散させて半固体状にしたものです。そのため、グリスに増ちょう剤を入れなければ、さらさらとしていて粘度の低いオイルのままということになります。

グリスの場合、使用する増ちょう剤の種類によって、オイルよりも高い耐熱性や耐水性、耐久性などの性能を実現可能です。特にバイクのブレーキパッド用のグリスには、高温になっても効果が持続する商品が多い傾向にあります。

ブレーキパッドに適したグリスの種類

ブレーキまわりのお手入れでは、それぞれの場所に適したグリスを選ぶことが必要です。ブレーキパッドのメンテンナンスをする場合、パッドグリス(鳴き止めグリス)と呼ばれる種類がよく使用されます。

パッドグリスは、高い粘度によってクッションの役割を果たすため、耐熱性や耐久性に優れた特徴があります。このグリスをブレーキパッドに塗布すると、ブレーキをかけたときの共振音を軽減することが可能です。

また、シリコングリスも、ゴムやプラスチックの潤滑に適しています。耐熱性・耐寒性・耐久性にも優れているため、ブレーキまわりのメンテナンスに最適な種類といえるでしょう。

ブレーキから共振音が発生する原因とは

ここでは、ブレーキパッドにグリスを使う意味や理由を深く知るために、ブレーキをかけたときに「キーキー」などの共振音が鳴る原因を把握しておきましょう。

ローターとブレーキパッドの当たりが悪い

ブレーキパッドを新品にした直後にキーキーと音が出る場合、ディスクローターとブレーキパッドが馴染まず、当たりが悪いことが原因である可能性が高いです。

一般的にディスクローターの表面には、ブレーキパッドとの摩耗によって凹凸や筋状の傷が入っています。つまり、そのローターとセットで使っていたパッドの表面には、ローターの傷や凹凸に合う形の摩耗が生じているわけです。

そのため、ブレーキパッドを新品にすると、まだ摩耗されていない平らなパッド表面がローターと均一に接触できなくなります。その結果、キーキーなどの共振音が発生するのです。

ブレーキパッドの残量が少ない

摩耗によってブレーキパッドの残量が少なくなると、共振音が出るほかに、ブレーキが効きづらくなる危険性もあります。音が出ても交換せずに減ったブレーキパッドを使い続けた場合、パッドを支える部品とディスクローターが当たり、結果としてローターそのものの金属が削られてしまう可能性もあるでしょう。

この場合、パッドとローター自体の交換が必要となるため、部品代や工賃も高くなります。安全走行できるバイクの状態を維持するには、ブレーキパッドなどの定期的な残量チェックが必要です。

ブレーキパッドの残量が少ないことによるパッド交換の作業実績

ディスクローターに傷が歪みある

ブレーキからの共振音は、ディスクローター側の問題で起こることもあります。特に、ディスクローターに歪みが生じている場合は、走行中に「シャーシャー」「シュッシュッ」といった音が出ることが多いです。

ディスクローターに曲がりや歪みが生じていると、ブレーキのコントロールが難しくなるため危険な状態といえます。この場合も、基本的にローターの交換が必要となるでしょう。

ブレーキパッドにグリスを塗る方法

ブレーキパッドにグリスを塗る方法

ブレーキパッドにグリスを塗る作業は、ライダーがセルフで行なうことも可能です。ここでは、基本的な手順やポイントを見ていきましょう。

手順1.パッドピンを緩めてからキャリパーを外す

ブレーキパッドにグリスを塗るときには、まず、キャリパーピストンを外す必要があります。この作業をするときには、最初にブレーキパッドを固定しているパッドピンを緩めたうえで、ブレーキホースとキャリパーピストンがつながっているうちに、ブレーキレバーを押し出してピストンを取り外します。

手順2.ブレーキパッドを外して洗浄する

ブレーキパッドのグリスアップでは、ワイヤーブラシなどを使って、取り外したパッドの背面やシム、キャリパーピストンの汚れを落とすことが大切です。パーツの掃除や洗浄をしたほうが、グリスの馴染みが良くなり、ブレーキの共振音も軽減されやすくなります。

手順3.ブレーキパッドの裏側にグリスを塗る

共振音を抑えるために、ブレーキパッドの裏側とキャリパーが接触する部分にグリスを塗布します。一方で、キャリパー本体の外側やピストンと接する部分には、グリスを塗らないようにしましょう。キャリパーで挟み込んだあとにはみ出るグリスの拭き取りが難しく、次回のメンテナンスで作業が大変になるからです。

ペースト状のグリスを使う場合は、キャリパーピストンとの接触部分を中心に塗布していきます。また、パッドの裏側のほかに、薄い金属を曲げたリテーナーとパッドの接触部分にもグリスを使うことで、さらに共振音を抑えやすくなるでしょう。

手順4.ブレーキパッドやキャリパーを取り付ける

ブレーキパッドにグリスを塗ったら、パッドにピンを差し込み、キャリパーピストンを取り付けて各種ボルトを締めていきます。キャリパーピストンがピンスライドタイプの場合は、ブレーキ操作に応じてキャリパーをきちんと動かすために、ピンのグリスアップも行なうとよいでしょう。

新しいブレーキパッドに交換するときにも、グリスを塗る作業は必要です。作業手順が気になる人は、以下の作業実績をチェックしてみてください。

グーバイク ブレーキパッド交換実績

ブレーキパッドにグリスを塗るときの注意点

ブレーキパッドにグリスを塗るときには、以下の2点に注意する必要があります。

ブレーキパッドの表側には塗らないこと

ブレーキパッドの表面にグリスが付いてしまうと、摩擦抵抗の減少で制動力が低下し、ブレーキが効きづらくなります。そのため、ブレーキ周辺のメンテナンスをするときには、グリスなどの油分が付着した指が、パッド表面に触れないように注意してください。

もし作業中にローターやパッド表面に油分が付着した場合は、パーツクリーナーを使って脱脂洗浄してから部品を元に戻しましょう。

はみ出たグリスはすぐに拭き取ること

塗りすぎたグリスは、部品を元に戻したときにはみ出る場合があります。はみ出たグリスを放置すると、そこにブレーキダストと呼ばれる摩擦時のカス汚れが付着しやすくなります。

ブレーキダストの拭き取り作業は手間がかかるため、グリスがはみ出た場合は、放置せずにすぐウエスで拭き取るようにしてください。

バイクのブレーキパッドにおすすめのグリス8選

バイクのブレーキパッドに使えるグリスは、さまざまなメーカーから発売されています。ここでは、8つの人気商品についてそれぞれの特徴を見ていきましょう。

キタコ(KITACO)ブレーキディスクパッドグリス

500円前後で購入できるお手頃価格のグリスです。内容液は茶色になっているため、初めてブレーキパッドのメンテンナンスをする人でも、塗りムラを防げます。5gが小さなチューブに入っています。お試し感覚で購入してみてもよいでしょう。

WAKO'Sスーパーシリコーングリース

ブレーキ周辺のさまざまなメンテナンスに使える、多目的グリスです。商品パッケージには、ディスクブレーキの金属接触部の潤滑や、ホイールシリンダーのカップなどにも使えると書かれています。

耐候性・耐水性・酸化安定性に優れており、幅広い温度で安定的な潤滑性能を維持できる商品です。チューブには100gものグリスが入っているため、頻繁にブレーキメンテナンスをする人にもおすすめの1本といえるでしょう。

DB‐200パッドグリース

数種類の金属粉末を配合したディスクブレーキパッド用のグリスです。耐熱性に優れているため、使用可能温度は−30度~1,000度とされています。ディスクブレーキの鳴き防止のほかに、マフラーボルトの固着防止用にも使用可能です。ただし、パッドのローター側には絶対に塗布しないようにしてください。

住鉱潤滑剤モリラバーグリス

オイルをベースとしたグリスです。ゴムの膨潤などの影響を与えにくいよう工夫されています。二硫化モリブデンを高濃度に配合しているため、パッドと接触する潤滑部位において高い耐摩耗性を発揮できる点も大きな魅力です。

メーカーサイトでは、ホイールシリンダーのカップやピストン、ブレーキシューが当たるバックプレート部などにも使用可能としています。黒色のグリスのため、塗りムラが起こりにくいです。

WAKO'Sブレーキプロテクターグリススプレー

スプレータイプのディスクパッドグリスです。ドラムブレーキにも使える商品になります。スプレー式であるため、手をあまり汚さずに薄く均一に塗れるところが魅力です。

高粘着のシリコングリで、耐水性・耐久性・耐熱性も兼ね備えています。長期間にわたってブレーキの鳴きを予防可能です。

STRAIGHTブレーキラバーグリース

二硫化モリブデン配合の、ブレーキラバー用のグリスです。ブレーキ部分の金属とラバーの摺動部の潤滑油として使う商品になります。耐熱温度は−20度~130度です。メーカーサイトには、以下のようにさまざまなバイクパーツに使用可能とされています。

  • ホイールシリンダー
  • ホイールアジャスター
  • マスターシリンダーなどの金属とゴムカップの摺動部
  • ブレーキシューとバックプレートのあたり部
  • アンカーピン

イチネンケミカルズ ディスクパッドグリース

焼き付き防止剤を添加した耐熱性の高いグリスです。一部の販売店では、一回で使い切れる5gの少量タイプも販売されています。シムの両面またはパッドの裏面、パッドのキャリパーのガイドラインに使用可能な商品です。

製品パッケージには、シムの組付け時にパッドの裏金およびピストンでグリスを掻き落とさないようにする注意点も書かれています。茶色のペースト状であるため、初心者でも塗りムラが生じにくいでしょう。

NX29 高粘着消音グリース

粘着性が非常に高いため、ビビリと呼ばれる制動時の振動を抑えるとともに、ブレーキまわりの大事なパーツを、湿気などの水分から守れるグリスです。マットな質感によって、パッドの組立時の納まりも良い特徴があります。以下のように、幅広い用途に使える商品です。

  • キャリパーのヨーク内側
  • サポートプレートの両面
  • スライドピン
  • ピストンとパッドの接触面
  • マウンディングブラケットの接触面
  • シムとバックプレート面の間
  • バックプレートとシューの当たり面
  • シューとピストン、アンカーとの当たり面

耐熱性個体潤滑剤(ZnO)を配合することで、高温時の流れ出しも起こりにくいグリスになっています。使用温度範囲は900度以下です。

まとめ

ブレーキパッドに使うグリスは、パッドとディスクローターの金属に生じる摩擦抵抗を軽減し、共振音を抑える潤滑油です。ブレーキからの異音は、おもに以下の原因で発生します。

  • ローターとブレーキパッドの当たりが悪い
  • ブレーキパッドの残量が少ない
  • ディスクローターに傷や歪みがある

ブレーキパッドのメンテナンスでは、耐熱性や耐久性の高いパッドグリスやシリコングリスを選ぶことが大切です。グリスアップ作業には、パッドの表面には絶対に油分を付着させないことなど、多くの注意点があります。

自分でメンテナンスをすることが難しい場合は、ブレーキパッド交換などの作業実績の多い専門店に相談してもよいでしょう。

本記事は、2022年1月29日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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