バイクのタイヤを太くするとどうなる?メリット・デメリットをご紹介!
ハイパワーな大型バイクは太いタイヤを履いていることが多く、迫力あるルックスに憧れる人も多いのではないでしょうか?大幅なサイズアップとはいかないまでも、タイヤ交換の際に純正より一回り大きなタイヤに交換したいと考える人も多いでしょう。
しかし、バイクのタイヤの太さは見た目だけで選ぶべきではありません。タイヤの幅を変えることで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを理解したうえで、タイヤサイズを決めるべきだと考えます。
そこで今回は、「バイクのタイヤを太くすることのメリット・デメリット」 をご紹介します。
バイクのタイヤは車種ごとに適切な太さがある
結論からお伝えすると、バイクのタイヤは車種ごとに適切な太さがあり、太すぎても細すぎても乗りづらくなってしまいます。
コストや販売戦略などもあり、メーカー設定が完璧と一概にはいえませんが、それでもメーカーが日夜研究を重ねて決めたタイヤサイズはそのバイクにとって最適な幅であることは確かです。
そのため、メーカーが設定した純正サイズから大きくタイヤサイズを変更すると、様々な問題が出てしまいます。単純に乗りにくいのはもちろん、スイングアームに干渉したりリアサスペンションに干渉したりといった問題が出ることもあります。
タイヤサイズを変更するのであれば、純正からワンサイズまでの変更に留めておくのが無難です。それを踏まえたうえで、タイヤを太くするとどうなるのかについて見ていきましょう。
バイクのタイヤを太くするメリットは?
「見た目がかっこいいから」 という理由でバイクのタイヤを太くする人も多いですが、それ以外に性能的なメリットもあります。得られるメリットとしては主に以下の3点です。
1.ルックスの向上
性能とは関係ありませんが、バイクの見た目は非常に重要かと思います。バイクは車以上に趣味性の高い乗り物なので、性能よりも見た目重視というオーナーも多いでしょう。
感じ方は人それぞれですが、太いリアタイヤは迫力ある感じでかっこいい印象です。性能とは関係なくても、愛車を理想的なルックスに仕上げられるのは立派なメリットだといえます。
2.パワーを路面に伝えやすくなる
リッターバイクなど、大型のバイクのタイヤが太いのはパワーを路面に伝えやすくなるからです。タイヤが太くなればそれだけ接地面積が増え、路面に伝えられるパワーが大きくなります。
近年のスーパースポーツでは200馬力超えの車種も珍しくなく、その有り余るパワーを路面に伝えるために太いリアタイヤが装着されているのです。
3.同じコンパウンドならタイヤの寿命が延びる
コンパウンドとはタイヤのゴムの質をいいますが、同じコンパウンド(同じ硬さのゴム)のタイヤであれば、幅が広いほど寿命が延びます。
これは、接地面積が広ければその分一箇所にかかる負荷が分散されるからです。たとえば、細い消しゴムと太い消しゴムを同じように使うと、細い消しゴムのほうが先に減ってしまうのはイメージできるかと思います。タイヤもそれと同じです。
ただし、コンパウンドが劣化しないわけではないので、摩耗が抑えられてもコンパウンドが寿命を迎えたら交換が必要な点は、タイヤの幅が広くても変わりません。
バイクのタイヤを太くするデメリットは?
バイクのタイヤには車種ごとに適切な太さがあることは先ほどもお伝えしましたが、それは以下のようなデメリットがあるからです。
曲がりにくくなる
タイヤを太くしてまず感じるのが、曲がりにくくなることです。曲がりにくくなるというと聞こえは悪いですが、良くいえばハンドリングが穏やかになるとも表現できます。
なぜタイヤを太くすると曲がりにくくなるかというと、それには主にジャイロ効果が関係しています。ジャイロ効果とは、「物体が自転運動すると姿勢を乱されにくくなる現象」のことです。回転するコマが安定しているのもジャイロ効果のおかげです。
ジャイロ効果は物体の重量が大きいほど、慣性によって効果が大きくなります。太いタイヤはそれだけ重量も増すため、ジャイロ効果が大きくなるのです。そのため、良くいえば直進安定性が高い、悪くいえばバイクを寝かし込みにくい特性になります。
特に、フロントタイヤを太くすると、この特徴は顕著に現れます。スーパースポーツなどを観察しても、リアタイヤは太いですがフロントタイヤはさほど太くありません。それはフロントタイヤが太くなるとハンドリングが悪くなるからなのです。
路面追従性が下がる
上記でも触れたようにタイヤの幅が太くなるとそれだけ重量が増します。サスペンションから下に位置するパーツの重量をばね下荷重と呼びますが、ばね下荷重が増えるとサスペンションの動きが鈍感になります。
サスペンションの動きが鈍感になることにより、路面の追従性が下がってしまうのです。具体的には路面の凹凸に影響されやすくなります。
路面のギャップを拾いやすくなる
路面追従性が下がるのと併せて、タイヤの幅が増えることにより路面のわだちに影響されやすくなります。特に路肩を走るときなどに、路面の端にあるギャップ(障害物)を拾いやすくなるため注意が必要です。
燃費が悪化する
タイヤの重量が増え、接地面積も増加することにより転がり抵抗が増えて燃費が悪化します。バイクのタイヤはラウンド形状なので一部しか路面に接地しませんが、それでもやはり細いタイヤよりは抵抗が増えてしまいます。
まとめ
いかがでしたか?太いタイヤへの交換はドレスアップとして人気のカスタムですが、思っている以上に走行特性にも影響するということでした。「カスタムしたら、すごく乗りにくいバイクになってしまった……」 とならないように、慎重にタイヤサイズを決めるようにしましょう。
本記事は、2020年1月30日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。