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バイクのタンクを塗装する手順は?塗装のコツをマスター!

タンクは、バイクの顔ともいえる部分で、タンクのデザインやカラーによってバイクの印象はガラッと変わります。バイカーのなかには、愛車のタンクを自分で塗装してみたい、と思っている方もいるでしょう。

バイクのタンク塗装を行なう際は、手順を守ることはもちろん、ポイントやコツを押さえることが大事です。

そこでこの記事では、「タンクの塗装を検討しているが、どうやってやれば良いのかわからない」と悩んでいる方のために、バイクのタンク塗装について解説します。

バイクのタンク塗装を自分で行なうメリット

バイクのタンク塗装は、道具をそろえて正しい手順を把握していればセルフでも行なえます。タンク塗装を自分で行なうメリットは、以下のとおりです。

業者に依頼するよりも、安く行なえる

バイクの塗装には、傷や剥げ、ヘコミを修正するための板金塗装のほか、ドレスアップのためのカスタムペイントなどがあります。

費用の相場はバイクの種類や塗装する場所、範囲などによって異なりますが、一例としてタンクの塗り替えの場合、単色で2万~3万円くらいは必要です。

一方、自分で行なう場合は必要な道具さえあれば済むので、費用をできるだけ抑えたい方は、自分で塗装を行なうのも手です。

オリジナリティを出せる

自分で塗装を行なえば、色にこだわるなどオリジナリティを出せる点もメリットです。マスキングをしっかりすれば、ツートンカラーなど色の塗り分けも可能です。さらに、エアブラシを使いこなせるようになると、芸術性やカスタム性をより追求できるでしょう。

メンテナンスもラクになる

バイクは、乗れば乗るだけ傷や剥げが増えていくものです。タンクの見た目の劣化が気になる場合でも、自分で塗装を行なうことで傷や剥げを修繕できます。細かい傷を修繕しておくと見た目がきれいになるうえに、掃除などのメンテナンスがラクになります。

バイクのタンクを塗装するのに必要なもの

バイクのタンクを塗装するにあたり、まずは必要な道具を用意しましょう。道具には必要なものと、必須ではないもののあったほうが便利な道具があるため、順番に紹介します。

必要なもの

① 耐水ペーパー

下地作りや研磨に使います。耐水ペーパーの番手は、おもに以下をそろえるとよいでしょう。

  • 下地作り用の#400~500、#1,000~1,500
  • 仕上げの面取りや面研ぎ用の目の細かいもの(#2,000前後)

② サーフェイサー

塗装前の下地として吹き付ける塗料です。サーフェイサーはタンク表面にある凹凸を埋め、塗装の発色や乗りを良くしてくれます。

③ 塗料

塗料はタンクの見た目を決める重要なものです。バイクの塗装では、おもにウレタン塗料を用います。ラッカー塗料も使用できますが、強度の面からいえばウレタン塗料がおすすめです。詳しい塗料の選び方については後述します。

④ ウレタンクリア

ウレタンクリアは最後の仕上げに吹くトップコートで、塗料を保護してツヤを出すためのものです。トップコートにはガソリン耐性のないラッカークリアではなく、必ずガソリン耐性のあるウレタンクリアを使用しましょう。

⑤ 脱脂剤(シリコンオフ)

脱脂とは、材料(タンク)の表面にある油分をなくす処理を指します。油分は塗装を弾く原因になるため、塗装前にはシリコンオフを使用して必ず脱脂しましょう。

あったほうが便利なもの

以下は、必須ではないもののあると便利な道具です。

① ミニサンダー

ミニサンダーは研磨ができる電動工具です。研磨は手作業でも可能ですが、ミニサンダーがあると下地作りがよりラクになります。

② アセトン

アセトンは、塗料やオイル汚れが付着した器具を洗浄するための溶剤です。なくても問題ありませんが、塗装をよりきれいに仕上げたい場合にあると便利でしょう。

③ 剥離剤

剥離剤を使えば、古い塗装を簡単に剥がせます。ただし劇薬のため、使用時は長袖などで皮膚を保護し、メガネやゴーグルで目を守りましょう。また、密閉空間では使用しないなど、取り扱いには十分に注意してください。

④ 簡易ブース

倉庫など屋内で作業できる場合を除き、屋外で塗装を行なう方は、乾く前のタンクにゴミやホコリが付かないよう環境を整えます。

作業用のテントを購入するか、古いテントやサンシェードを利用して風よけのブースを作りましょう。段ボールなどを組み立てて、簡易ブースを作る方法もあります。

⑤ スプレーガンやコンプレッサ

スプレーガンはサーフェイサーや塗料を霧状に噴出させ、均一に吹き付けるための道具です。コンプレッサは、大気を圧縮して圧力のあるエアをスプレーガンに供給します。

⑥ マスキングテープ

マスキングテープは塗料が付いては困る箇所を養生するほか、ツートンカラーなど色を塗り分けたい場合に使用します。用途によって種類が異なるため、必要なタイプを選んで購入しましょう。

タンクの塗装前に押さえておきたいポイント

タンクの塗装前に押さえておきたいポイント

次に、塗装をする前に押さえておくべきポイントを紹介します。

塗装に適した天気の日を選ぶ

屋外でタンク塗装を行なう際には、天気が良く、風がない日を選びましょう。風がある日に作業を行なうとゴミやホコリが付着しやすくなり、作業中に塗料が風で飛んでしまうおそれがあります。

晴れていてもゴミやホコリの付着が気になる方は、先に紹介した簡易ブースを使うとよいでしょう。

脱脂を怠らない

表面に少しでも油が付いていると、塗料を弾いてしまい仕上がりに影響を与えかねません。あとから修正することも可能ですが、余計な手間や失敗のリスクを減らすためにも脱脂は必ず行ないましょう。

脱脂は、脱脂剤を塗装するパーツに吹きかけ、ウエスで拭き取って行ないます。脱脂剤のみを使用した場合でも油分は落とせますが、事前に中性洗剤でタンク表面を洗っておくと、より効果が期待できます。

下地作りをしっかり行なう

タンク塗装を成功させるコツは、下地作りをしっかり行なうことです。下地作りの方法は後述しますが、削り残しやサビの見落としがあると塗装がうまくいかずに、下地作りからやり直しとなるおそれがあります。時間に余裕を持ってじっくりと進めましょう。

スプレー缶は質の良いものを選ぶ

一般的にバイクの塗装では、塗料としてスプレー缶を使用します。色や性質はさまざまですが、仕上がりを追求するのであれば、できるだけ品質の高いものを選びましょう。

ホームセンターなどで安く売られている塗料は、バイクタンクの塗装にあまり向いていません。また、ベースカラーとしてラッカー塗料の使用もできますが、粘度が低く垂れやすい、ダマになりやすい、耐久性がないなどのデメリットがあります。

塗装をきれいに仕上げたいのであれば、バイクまたは車専用で、かつガソリン耐性のあるスプレー缶を購入しましょう。バイク用品店またはカーショップなどでも販売されています。

  • おすすめは2液ウレタンスプレー

スプレー塗料のなかでもおすすめなのが、2液ウレタンスプレーです。

ウレタン塗料はウレタン系樹脂を主成分とした塗料で、溶剤で希釈して使用する1液型と、塗料と硬化剤を混ぜて使用する2液型があります。2液ウレタンスプレーは防水性や撥水性にも高く、傷が付きにくいことが特徴です。

一方デメリットとしては、色の数が少ないことや、1本の価格が高価であることなどが挙げられます。

スプレーは最後まで使い切ろうとしない

塗装範囲が広くなると、使用するスプレーの量が増えます。「もったいないので使い切りたい」という気持ちになるかもしれませんが、最後まで使い切ることはおすすめできません。

スプレー缶は使っているうちにガスが減り、ガス圧が低下します。ガス圧が低下すると塗料がダマになって噴射されたり、塗装の表面に気泡が混ざったりして、きれいな仕上がりにならなりません。そのため、ガス圧が減ってきたと感じたら、最後まで無理に使おうとはせず新しいスプレー缶を使用しましょう。

スプレーは一度で塗ろうとしない(薄く重ねていく)

塗装に慣れていないと、スプレーを一気に吹き付けてしまいがちですが、これはよくある失敗の原因です。一気にスプレーすると塗料が垂れやすいだけではなく、ムラができて仕上がりが汚くなってしまいます。

塗装を美しく仕上げるコツは、薄く塗り重ねることです。まずは、塗料の粒を乗せる感覚で薄くスプレーしてみてください。

1回目の塗装が乾いたら、2回目も薄く塗装します。2回、3回と塗り重ねることで、より深みのある色合いになります。一気に塗るのではなく、3回目か4回目で完全に色が乗るようなイメージで塗装するとよいでしょう。

完全乾燥するまで次の工程には進まない

塗装をしたあとは、完全に乾くまでしっかり乾燥させます。完全に乾燥していないうちに上塗りをすると、表面にシワのような模様が入ってしまう可能性があるからです。

このシワは塗膜が膨潤した状態で、厚塗りや乾燥が不十分な状態での重ね塗りが原因とされています。

時間の目安として、ラッカー塗料であれば20~30分程度、厚塗りの場合はもう少し乾燥させてから上塗りをしましょう。ウレタン塗料は12時間程度で硬化しますが、一度塗装した箇所は少なくとも24時間は置きましょう。3度重ね塗りをする場合は、3日はかかる想定でいてください。

トップコートだけでなくベースカラーもすべてウレタン塗料で塗る場合は、乾燥時間に注意し、時間的な余裕を持って作業をしましょう。

バイクのタンクを塗装する手順

ここからはバイクのタンクを塗装する手順を紹介します。なお、手順はこれだけに限らないため、一つの方法として参考にしてください。

① 作業前の準備

塗装場所と乾燥場所を確保し、隅々まで掃除をしておきましょう。屋外で作業する場合は、ゴミやホコリが付着しないよう、テントやサンシェードなどを活用して簡易ブースを設置してください。作業の準備ができたら、バイクからタンクを取り外して洗浄・脱脂を行なっておきます。

② 下地作り

続いて塗装の下地を作っていきます。下地作りはもともとの塗装を剥がす方法と、剥がさない方法があり、どちらを選ぶかは個人の判断によります。ここでは、それぞれの手順をまとめているので参考にしてください。

  • もともとの塗装を剥がす場合

もともとの塗装を剥がす場合は、剥離剤を使用します。塗装を剥がしたい箇所にハケで剥離剤を塗り、しばらく放置すると塗装がめくれあがってくるので、スクレーパーを使って剥がしてください。完全に塗装が剥離できるまで、同じ作業を数回繰り返します。

  • もともとの塗装を剥がさない場合

今の塗装の上からリペイントする場合は、剥離剤は使わず、耐水ペーパー#400~500を使用して古い塗装を削ります。表面のツヤがなくなるまで、削り残しがないよう全体をチェックしながら作業しましょう。

③ サーフェイサーを吹く

続いて塗料の下地となるサーフェイサーを吹き付けていきます。塗料が付いては困る部分があれば、マスキングテープを貼り養生しておいてください。

サーフェイサーにはタンク表面の凹凸を埋め、発色を良くする効果があります。スプレーガンとコンプレッサを使い、何度か重ね塗りして少し厚目に塗っておくとよいでしょう。

サーフェイサーは乾くまでに、一日以上かかります。

④ 足付け

サーフェイサーが乾燥したら、耐水ペーパーの#1,000~1,500を使用し、全体を研磨しましょう。この工程は専門用語で「足付け」と呼ばれ、タンク表面に細かな傷を付けることで塗料の乗りを良くする効果があります。

⑤ 塗装

足付けが完了したら、いよいよ塗装です。スプレー缶で塗装する際には、以下の点を意識してください。

  • 使用前にスプレー缶をよく振る

塗料を混ぜ合わせるために、使用前にスプレー缶をよく振っておきます。

  • スプレー缶は垂直に持ち、塗装する面に対して平行に噴射する

ムラを避けるためにも、スプレー缶を垂直に持ち、塗装する間も平行を保つようにします。

  • 塗装する面とスプレー缶の距離は20cm~30cmを保つ

近距離すぎる場合に塗料が垂れやすくなるため、適切な距離を保ってスプレーします。

  • 噴射するスピードを一定にする

スプレー缶を左、右とスムーズに往復させると、塗りムラができにくくなります。

複数の色で塗り分ける場合は、しっかりマスキングを行ない、1色目が乾いてから2色目の塗りに入るのがポイントです。塗り終わったら確実に乾燥させましょう。

⑥ 仕上げにクリアを吹く

塗装が完了し完全に乾いたら、仕上げにウレタンクリアを吹き上げていきます。ウレタンクリアも塗装と同じく、少しずつ塗り重ねます。乾燥→足付け→上塗りを2回、3回繰り返すことで、ツヤが出てきれいな仕上がりになるでしょう。

ステッカーなどはウレタンクリアを吹く前に貼っておくと、ウレタンクリアによってコーティングされ剥がれにくくなります。

最後の吹き付けがおわり、完全に乾燥したら完成です。凹凸ができてしまった場合や、よりきれいに仕上げたい場合は、乾燥後に目の細かい耐水ペーパー(#2,000前後)で軽く研磨したあと、コンパウンドで仕上げましょう。

まとめ

この記事では、バイクのタンクを塗装する手順やポイントについて解説しました。適切な種類の品質の高いスプレー缶を使用し、薄く重ね塗りをする・完全に乾燥させてから次の作業に移る、といったポイントを押さえることで失敗のリスクは抑えられます。

タンクはバイクの顔ともいえるパーツです。自分で塗装を行なうには手間がかかりますが、愛車を思いどおりにカスタムできる喜びは何にも代えがたいでしょう。タンクの塗装をしたいと考えていた方は、この記事を参考にぜひチャレンジしてみてください。

本記事は、2023年6月6日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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