ETC2.0とは?ETC1.0との違いや特徴的な機能、おすすめの車載器を紹介
2001年に本格的に運用が開始されたETCは、高速道路の料金支払いを自動で決済するシステムです。高速道路を利用する際に大変便利であり、2016年には「ETC2.0」と呼ばれるシステムが本格的に運用開始されました。ETC2.0はスマートフォンやディスプレイと連動することで、従来のETCにはない多くのサービスが使えるようになります。
とはいえ、認知度はまだ低いため「ETC2.0にはどのような特徴や機能があるんだろう?」という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ETC2.0の概要やETC1.0との違い、導入のメリットなどを解説します。また、バイクにおすすめの車載器も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ETC2.0とは?

ETC2.0とは従来のETC機能に加え、より豊富なサービスが追加されたシステムのことです。国内の高速道路に設置されたITSスポット(通信アンテナ)と、ETC2.0対応の車載器によってデータや情報が収集される仕組みです。
データは「DSRC」という通信技術を活用し、素早く大容量のデータを扱うことで効率良く取得できます。収集されるデータは、おもに以下のようなものがあります。
また、道路状況・災害情報など、大切な情報を取得できるのも大きな特徴です。
ETC2.0が本格的に運用開始されたのは、2016年4月です。高速道路の利用者が快適に走行できるように、実験を繰り返しながら機能を強化していきました。普及台数は、国土交通省の調査によると2022年7月末時点で車とバイク合わせて約812万台。年々増えてはいるものの、まだ一般化していないのが現状です。
ETC1.0とETC2.0の違い
従来のETC1.0とETC2.0には、それぞれ異なる特徴があります。あらためてETC1.0とETC2.0の特徴を比較しながら、その違いをみていきましょう。
ETC1.0 | ETC2.0 | |
---|---|---|
情報の範囲 | ||
提供サービス | ||
渋滞回避のルート案内 |
参照:https://www.go-etc.jp/etc2/
ETC2.0は、ETC1.0と比較して「高速道路の出入り情報に加え、経路情報も把握できる」「多くの情報を送受信できる」などの違いがあります。
ETC1.0は、料金所での通行券の受け取りや料金支払いの手間を省くことで、排出ガスの削減や渋滞緩和に大きく貢献してきました。ただ、あくまでETC1.0が活躍するのは料金所を通過するタイミングのみ。
対して、ETC2.0は料金の自動決済だけではなく、さまざまな道路情報を受信できる機能があります。受け取れる道路情報の範囲も、通信技術の向上により最大1,000kmまで拡大しています。加えて、前方の状況を撮影した画像や音声情報などを受け取れるのも大きな違いでしょう。
ETC2.0を導入するメリット
従来のETCよりも機能やサービスが豊富なETC2.0には、多くのメリットが存在します。どのようなメリットがあるのかを以下で詳しく解説します。
渋滞の回避が期待できる
ETC2.0を導入すると、高速道路での渋滞が回避しやすくなります。ITSスポットからNEXCO(高速道路を管理する会社)へは、走行経路の情報以外に現在位置や走行履歴など、多くの情報が送られます。
これらの通信によってリアルタイムで渋滞の回避ルートや、最適な迂回ルート情報を把握できるのです。ETC2.0の導入で渋滞回避ルートを把握できれば、渋滞緩和はもちろん、排気ガスの削減にもつながるでしょう。
音声で災害情報を受け取れる
ETC2.0を備えておけば、災害の発生時に音声で注意喚起を受け取れます。ETC2.0を通じて、準天頂衛星システムから受信した地震・津波などの災害情報を伝えてくれるため、カーラジオのように聞きそびれる心配もありません。
走行中は地震などの災害に気が付きにくいですが、いつでも注意喚起を受信できる状態であれば素早く対応ができるでしょう。万が一災害に遭ってしまった場合は、緊急対応や避難ルートに関する情報も得られるため安心です。
同一料金で一時退出、再進入できる
一定条件をクリアした場合に、同一料金で高速道路の一時退出や再進入ができるのも大きなメリットです。高速道路では「休憩・寄り道したい」「ルート変更のために高速道路を乗り換えたい」など、途中で退出したいと思うときもあるでしょう。
通常、途中で高速道路を退出・再進入する際には料金がかかります。ところが、ETC2.0を導入し以下3つの条件を満たすと、初乗り料金なしで一時退出・再進入できるようになります。
上記の条件を満たすことで、途中退出せずに目的地まで向かった場合と同一料金で高速道路の利用が可能です。
このサービスは、高速道路の休憩施設不足を解消するための社会実験として実施されています。無駄に料金がかからなければ気軽に道の駅を利用できるため、結果的に良好な運転環境の実現につなげられるでしょう。
一部区間の通行料金が割引になる
高速道路の一部区間で、通行料金が割引されるというお得なメリットもあります。対象の区間は、以下のとおりです。
割引適用の条件は、上記区間のインターチェンジに進入し、ETC2.0車載器の無線通信を利用して走行することです。
料金は、普通区間の料金水準で計算された料金に割引されます。ただし、普通区間の水準で計算した料金が通常の料金よりも高いと、割引されないため注意が必要です。なお「一般レーン」「ETC/一般」で料金を支払う場合は、精算時にETC2.0を導入している旨を忘れずに伝えましょう。
バイクでETC2.0を使う際の注意点
便利な機能やサービスがあるETC2.0ですが、使用するにはいくつかの注意点もあります。なかにはバイクならではの注意点もあるため、しっかりと把握したうえで使用しましょう。
ここでは、バイクでETC2.0を使う際の4つの注意点を解説します。
道路情報の確認には別途でディスプレイが必要
バイクでETC2.0を利用するには、データを出力・確認するためのディスプレイが必要です。基本的にバイクには、カーナビのようなものが付いていません。
スマートフォンに専用アプリをインストールする方法もありますが、走行中にスマートフォンを操作するのは大変危険です。安全面を考えると、ディスプレイを設置したほうがよいでしょう。バイクの場合はスペースが限られるため、ディスプレイを設置するための場所を作るなどの工夫が必要です(ただこれはなかなか難しいかもしれません。現状、ETC2.0は二輪車よりも四輪車にとってメリットが大きいものなのです)。
ETC2.0のセットアップは店舗への依頼が必要
バイクにETC2.0を取り付けたあとに行なうセットアップは、専門店に依頼する必要があります。セットアップとは、バイク情報や利用者の情報を車載器に組み込む作業を指します。この作業は、認可を受けた店舗や整備工場でなければできません。
たとえ自分でETC2.0の取り付けができても、セットアップを行なうことは不可能です。面倒だからといってセットアップをせずに走行すると、料金が適用されないなどのトラブルの原因になります。セットアップはETC2.0を利用するうえで必須の作業であるため、専門店に依頼しましょう。
ナンバーの変更や付け替えをするときは再度セットアップが必要
ETC2.0をセットアップしても、以下のような場合は再度セットアップが必要です。
ETC2.0を不正に使って事故を起こした場合、車載器を付けた店舗や名義人が事故の責任を問われる可能性も。新しくETC2.0を取り付けるときだけではなく、上記3つの場合にも再度セットアップが必要であることを覚えておきましょう。
自動車用のETC車載器は使用不可
バイクには車用のETC車載器が使用できないため、必ずバイク専用のものを使ってください。車用の車載器は、雨や風が当たらない車内に装備することを前提に作られています。そのため、バイクで走行しているときに耐えられるほどの強度がありません。
さらに、車専用の車載器をバイクに付けてしまうと、料金所を通過するときに正常に交信できず誤作動を起こす場合もあります。誤作動が起こると開閉バーが動かず、バーと接触したり後続車両にぶつかったりと、大きな事故につながりかねません。必ず、揺れや衝撃に強くて丈夫なバイク専用のETCを使ってください。
バイク用のETC2.0のおすすめ製品
ここからは、バイク専用のETC2.0のなかで特におすすめの製品を紹介します。「バイク専用のETC2.0車載器を探している」「種類が多くてどれを選べばよいかわからない」という方は、次で紹介するバイク用ETC2.0をチェックしてみてください。
二輪車用ETC2.0車載器 JRM-21
二輪車用ETC2.0車載器「JRM-21」は、防水・耐水性に優れた製品です。どの方向からの流水にも耐えられる6等級、一時的に水没しても浸水がない7等級を満たしています。フルシールド・防水パッキン一体型のカードリーダーが使われているのも特徴です。防水性が高いため、洗車時や激しい雨のときでも車載器が壊れる心配は少ないでしょう。
さらに、JRM-21は上蓋でカード全体が覆われており、端子部を防振材で押さえる構造になっています。振動に強く、エンジンや路面からの揺れによる接触不良を防いでくれるのもポイントです。独自のフルシールドでカードの収納場所をしっかりロックしつつも、グローブをしたままでも開閉しやすくなっています。
GPS搭載ETC2.0車載器 MSC-BE700S
GPS搭載ETC2.0車載器「MSC-BE700S」には、以下のような特徴があります。
今後、全国で順次導入される予定の「経路情報を活用した料金割引サービス」に対応しているのはうれしいポイントです。また、インジケーターがコンパクトサイズで、バイクのデザインを崩さないよう工夫されています。「可能な限りアンテナやインジケーターを目立たせたくない」という方に、おすすめの車載器です。
ほかにも、防水・防塵規格の最高条件である「IP68」「IP66」を達成。バイク用の車載機器に求められる20Gまでの振動加速度試験に合格している点も、安心材料の一つです。
ETC2.0の今後は?将来性予測
ETC2.0は、すでに渋滞・災害情報などを取得できるサービスが導入されていますが、今後さらに新サービスが増えていくと予想されます。今後、ETC2.0に導入される可能性があるサービスを以下にまとめてみました。
まず、渋滞回避のルートを選ぶと割引されるサービスです。ETC2.0は、最大で1,000kmもの範囲にわたって高速道路の渋滞状況などの情報を取得できます。渋滞緩和を目的に最適なルートを提供し、そのルートを選択することで料金を割引するサービスが検討されているようです。
次に、配送や運送の管理支援サービスです。おもに物流会社向けのサービスで、導入されることでトラックの現在位置や荷物の場所などを把握できるようになります。また、急ブレーキ・急ハンドルなどの情報を提供することで、従業員が安全に運転しているかを確認できます。
最後に、民間企業との連携サービスです。民間企業と連携するようになれば、例えば以下のような場面での支払いが自動決済できると考えられています。
このような高速道路以外での利便性の向上は、頻繁にツーリングを楽しむ方にとってうれしいのではないでしょうか。
まとめ
従来のETCと比べて機能やサービスが充実しているETC2.0は、普及率が徐々に上がっています。ETC2.0には渋滞を回避しやすくなる、災害情報を素早く取得できる、高速道路に再進入する際に料金がかからないなどのメリットがあります。
また、将来的には割引や民間企業との連携によるサービス拡大も期待されており、より充実したサービスを受けられるかもしれません。
本記事は、2022年9月8日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。