新登場のTNT899は、TNT1130のスケールダウン版である。車体やエンジンの基本は同じだから、基本的な素性は引き継がれているものの、1130が怒とうのトルクを備えたスパルタンなファイターであるのに対し、この899はじつに扱いやすくて完成度が高く、トータルバランスは1130を上まわっているほどである。
ライポジは1130と変わらない。多くのストリートファイターモデルほどハンドルは幅広でなく、グリップが開いていない、だからリーチの短い日本人にも無理がない。ステップはやや高めで、スポーティに走るには持ってこいだ。足着き性が悪くないのもうれしい。
エンジンは3気筒のビートを感じさせながらも、驚くほど粘りがいい。なにしろ、トップギヤで30q/hでも走れるぐらいなのだ。サスもしなやかなセッティングになっていて、ハンドリングも取っ付きやすい。とにかく、すんなり身体になじみ、扱いやすいのだ。
でも、このTNTを見くびってはいけない。車体の基本はトルネードだけに、コーナリング性能は高く、エンジンも扱いやすい。その一方で、エキサイティング。3000回転でしっかりしたトルク感があり、4500回転ではピーク域のトルクを発揮。そして、1万回転の手前に向かっての伸びにはパンチがあって、身体が置いていかれるほどである。
こいつは、使えて、楽しめるネイキッドなのだ。