93年の登場以来、モンスターが初めてのフルモデルチェンジを経験した。内心、696じゃなくて、1098エンジン搭載の最強モンスターでドカンといくべきじゃないの、心でツッコミを入れた。696じゃねぇだろと。しかし、696の完成度に触れ、ふに落ちた。素晴らしいのである。
ハンドリングが素晴らしく洗練されている。パイプと鋳造アルミのハイブリッドになったフレームによる剛性バランス。さらに前後サスの取り付け剛性などを徹底したことで、車体は作動性が上がり、乗り手の動きの伝わり具合が本当にリニア。
ブランド物の高級サスではないが、気持ちよく路面とコンタクトしている。乗り出して開放感を得るまでの時間が、先代より圧倒的に短い。
そして新しいエンジンのドライバビリティの良さも印象的だ。4000回転までのトルクが太く、一般道ではそれ以上の必要性を感じさせない。6000回転を超えると迫力ある加速を見せる二面性もある。
出力は80馬力とけっして高くない。でも使いこなしたときに一体になる楽しさは上質。ビッグバイクビギナーにも、ベテランにもお薦めだ。気分良く走る時に、ブレーキのレバータッチの良さも確認できた。
お世辞にも高い物を使わなくとも、仕上げ次第で本当に良いものになるんだ、と実感する部分だ。これから始まる新世代モンスターの活躍が楽しみで仕方がない。