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ヘルメットの安全テストの内容とは?
ヘルメットを選ぶときによく目にするSNELL規格やJIS規格があるけれども
その規格に合致するためのテストは想像以上に厳しいものだったのだ!
■多くのテストにパスして安全が約束される

 ヘルメットに求められる性能には、安全性、空力特性、快適性がある。それらが高い次元で一体となっていることが望ましいのだが、やはり重要なのは安全性だ。その安全性の基準を知るひとつの方法が規格だが、スネルやJISでは強度に重点を置いたテストが行われる。基準値は異なるが、平面型アンビル、半球型アンビルを用い、2回上方から落下させる衝撃吸収性試験や、先端の鋭利なストライカを落下させる耐貫通試験を行っている。ほかにもアゴひもやチンバー、ロールオフテストなどを実施している。一方ヨーロッパのECE規格では、1回の衝撃吸収性能を重視しているため平面型アンビル、縁石型アンビル等への落下テストは1回のみ。チンバーテストはヘルメットを落下させる方法だ。安全テストはこれらのほかに、前後左右から圧迫する剛性試験、こすれたときの衝撃を測る表面摩擦力試験なども行う。それぞれの規格によってヘルメットのテスト方法がことなるのは、安全性の尺度に対する考え方の違いからだ。
■衝撃吸収テスト
ヘルメットに求められるいちばん重要となる基本的なテスト
 スネル規格の場合、ヘルメットのテスト範囲内に任意の部分を設定し、高さ306cmの位置から平面アンビルに向けて落下させる。次に224cmの高さから同様に落下させる。このとき、人頭模型に加わる加速度が300G(※Gとは衝撃加速度を表す単位。なお、350Gで脳しんとうを起こし意識を失う。400Gで生命の危機におちいる。)を超えないことが合格の条件。半球形アンビルでも同様だ。JIS規格では、1回目が250cm、2回目が128cmとなっていて、やはり衝撃加速度が300G未満であることを要求している。ECEでは287cmの高さから1回の落下試験で、275G未満の規定だ。
テストする個所はテスト範囲内ならばどこでも可能となっている。実際に転倒したときにはどこから当たるか予測できないからだ。なお、人頭模型の重さは5kgとして計測される。
落下の衝撃によりへこんだシェルとライナー。注目してほしいのが、ライナーが凹み衝撃を吸収しているところだ。当然だが、このように一度大きな衝撃を受けたヘルメットは使用できない。
耐貫通性テスト
いつ、いかなる状況でも頭部を守ることが求められる
 転倒した場合、路上や路側の突起物、バイクのステップやハンドルなど鋭利な形状のものが凶器となり、ヘルメットに当たることが考えられる。そこで、接触時に対する強度を調べるのが耐貫通テストだ。テスト台に固定された耐貫通テスト用の人頭模型にヘルメットを被せ、先端の尖った重量3kgのストライカを上方300cmの高さから垂直に落とすという方法によって行われる。この試験でストライカの先端が人頭模型に接触しないことがSNELL規格合格の基準。ちなみにJIS規格の場合は、高さ200cmの位置からストライカを落下させ、人頭模型への接触がないことが合格基準となっている。
ガイドとなるパイプやワイヤーにそって、鋼鉄製の重さ3kgの重りストライカが落下する。なお、アライにはSNELL規格よりもさらに厳しいアライ規格を設け、高い安全性を追求している。
シェルはひとつの素材からできているのではなく、何層もの素材から形成されている。このことで、鋭利な突起物も頭部に接触することなくくい止めることができる。
そのほかにも多くのテストが!
● アゴひもテスト
転倒の衝撃でアゴひもが外れてしまったり、大きく伸びてしまっては、ヘルメットが脱げる可能性がある。ヘルメットの安全性を発揮するためにも重要な、アゴひもの強度を調べるテスト。固定された人頭模型にヘルメットを被せアゴひもをしっかり締め、そのアゴひもに38kgの重りを吊り下げ12cm落下させる。伸びが30mm以下が合格基準。
● ロールオフテスト
ヘルメットが簡単に脱げてしまわないかを試験するのがロールオフテスト。ヘルメットを装着した人頭模型を壁から突き出たステーに取り付ける。ヘルメットにフックをかけ、先に取り付けられた衝撃発生ユニットの4kgの重りを60cm落下させ脱げなければ合格。ヘルメットの前方と後方から同様のテストを行う。
● チンバーテスト
転倒などの衝撃によるチンバー(あご部分)のたわみで顔面を傷つけないよう、チンバー部の強度を調べるテスト。固定したヘルメットのチンバーに、60cmの高さから5kgのストライカを垂直に落下させる。その際にたわみ量が60mm以下であることが合格条件となっている。フルフェイスヘルメットにだけにかせられるテストだ。
● そのほか
テストはこれらのほかにも、視界の広さを確かめるものや、外観の異常、重量や材料が適切かをテストするものなどがある。さらに、衝撃吸収テストもヘルメットを温めたり、逆に冷やしたりと、いかなる状況でも頭部を守るために、そのテスト項目は多岐に渡る。高い安全基準を満たすために、多くのテストがあるのだ。
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