BMWにとって小排気量クラスへの参入のハードルは相当に高かったはずだ。高級であり、信頼性があり、確かな走りがある前提。その代償として、購入者はかなりの金額を払う必要性があったりもする。ところが、価格は良い意味で裏切られるほどリーズナブルで想像を超えた。とはいえ、それゆえのエクスキューズはこのマシンには通用しない。
小排気量車でありながら、華奢な感じのない肌触り。コンパクトで軽量ではあるが、大の大人が窮屈に感じることのないライディングポジション設定。
エンジンにはしっかり低中速が与えられており、発進もイージーで回転をあげなくても余裕の走りが味わえる。やはり250ccとは違うと感じさせるその走りは、BMWらしいジェントルさも感じさせるもので、回せ、回せと急かされるような類のものではない。
しかし、その気になって回し続けるとどうだ。先ほどまでのジェントルさが一変。高回転まで一気に回りきる痛快さ。硬質な振動。その気にさせる吸気音の高まりと相まって、スポーツマインドをしっかり感じさせるというキャラクターはこのマシンにも健在であった。
ハードに攻め立てても破綻しない剛性の高い車体まわりが、高い走行性能と安心感をライダーに与えてくれる。あらゆるシチュエーションでバランスの高い走りを提供してくれるだけでなく、走る喜び、スリリングな楽しさも感じさせてくれる欲張りなキャラクターだ。想像をはるかに超えるマシンに仕上がっている。
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