今年で19年目を迎えるスズキ製ミドルVツインシリーズは、僕にとっては昔から大のお気に入りである。では新作のSV650Xはどうかと言うと・・・。基本設計はSTDのSVと同じだから、ハズすわけがない。もっとも、ライポジが適度にスパルタンになったXには、STDとは一線を画する魅力が備わっているのだ。
その魅力の前に、まずは僕のSVシリーズに対する見解を説明しておきたい。現代のミドルの主力である並列2気筒車と比較すると、90度VツインのSVは、車体の動きが軽快で、コーナー進入時の舵角の付き方がわかりやすいのである。乗り手の入力に対して、並列2気筒車がワンテンポ遅れてフロントまわりが切れてくるのに対して、SVの舵角はシャープで自然。
そしてXは、この点に磨きをかけていたのだ。セパハンの採用で前輪荷重が増えたおかげで、舵角がさらに明確になっているし、その挙動を上手く活かせば、コーナーではクルリンと言いたくなるほどよく曲がる。また、これもSTDに通じる話だが、SVの90度Vツインは、爆発間隔で言うなら270度クランクの並列2気筒と同じだ。でも久しぶりのSVとしてXに乗った僕は、爆発間隔が同じでも、トラクションは90度Vツインのほうが濃厚では?・・・と感じたのである。
いずれにしても、SVが他のミドルでは味わえない、唯一無二の資質を備えているのは事実で、カフェレーサースタイルのXは、この機種ならではの魅力を広めるのに貢献するはず、と僕は思っているのだ。
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