バイク試乗レポート：GSX-R1000

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試乗レポート　スズキ　GSX-R1000

スズキ　GSX-R1000

2年のインターバルを開けて、ついに05年モデルが出た！
最高出力178馬力、ラム圧加給で186馬力という
その圧倒的なスペックには怖さすら感じる
果たしてこのバイクは、扱いきれるシロモノなのだろうか？

写真・文＝和歌山利宏

恐れることは何もなかった

　シドニー郊外にあるイースタンクリーク・レーストラックは、10年程前まで世界GPも開催されていたが、決して今の超高速マシンに適したサーキットであるとは思えない。
　300km／h近いスピードから退避路に導かれるように220km／hで通過する1コーナー、またブレーキングポイントで急に下り始めてリヤが浮き上がったり、加速しながら視界が途切れ、いきなり旋回しなければならないところなど、難所も多いところなのだ。
　すでに私は昨年、このサーキットをGSXーR1000のライバルとなる他社のリッタースポーツで走り、高性能ぶりを実感している。ところが、このニューR1000はそれらを軽く上まわる178馬力を発揮する。さらに、ラム圧が効いた状態では186馬力という凄さである。それだけに一体どうなるのか、正直言って、恐れをなしていたものである。
　ところが、どうだろう。3周も完熟走行すれば、こいつを使いこなせることを確信できて、4周目からはスロットルをワイドオープンにしていたのである。
　何しろ、これだけ高性能化されながら低中速トルクも増強され、それでいて、スロットルワークにあくまでも忠実に反応する。だから、開ければ軽やかにダッシュしていくものの、太いトルクがヴウヮーッと沸いてきて身体が置いていかれるなんてこともない。
　178馬力を発揮してのフル加速で2速でフロントが浮いてきても挙動は穏やかで、3速なら辛うじてフロントを接地させたまま開けきることができるし、フロントが暴れるなんてこともない。あくまでも安定したまま、車速がギューンと一直線に上昇していく。
　この速さは、間違いなく現時点では市販車ナンバーワンだ。だけど、使いやすさもライバルを凌いでいる。凄いマシンが出現したものだ。

速いだけじゃない　楽しめるのだ

　お断りしておきたいのは、ニューR1000が、スーパーバイクレースでのポテンシャルを追求しただけのマシンではないことだ。
　まずスタイリングが、いかにもレーサー然としていたものから、ストリートファイター系のパッションを感じさせるものへと変わった。好き嫌いはあるようだが、私は気に入っている。
　そして、ライポジがコンパクトになったのは、積極的なコントロール性を高めているだけでなく、姿勢に無理がなく快適になっているし、何といっても、低くなったシート高が嬉しいではないか。シートが低くてもハンドリングとのマッチングはしっかり保たれているのである。
　サスは小気味良く姿勢変化し、とくに低中速でシャキシャキと向きを変えてくれる。これならワインディングでも楽しめるはずだ。
　コーナリングでは、操っている実感が高く、マシンの旋回性に振り回されるなんてこともない。ニュートラルでストレスなく旋回していく素直さもこれまで以上だ。
　このサーキット最速マシンには、一般公道でも乗りやすく楽しめそうな予感があるのだ。

ライポジは、シートとハンドルの間隔が40mmも短縮され、随分コンパクトになった。足着き性も良好だ。シートと共にステップ位置も低くなったので、下半身に窮屈さはない

従来型同様、キャリパーはトキコのラジアルマウント式だが、マスターシリンダがラジアルポンプ式に、ディスク径も10mm大きいφ310mmとなり、コントロール性が高まった

スイングアームもトラス形状であることは同じだが、製法も含めて新設計されている。捻り剛性を高めているが、ピボットシャフト径を細くして、横剛性を最適化させている

フレームのメインスパーは、目の字断面から日の字断面となり、車体ディメンジョンもコンパクト化された。フロントブレーキのマスターシリンダーは、ラジアルポンプ式

全長×全幅×全高	2030×710×1130（mm）
シート高	810mm
ホイールベース	1405mm
乾燥重量	166kg
エンジン	水冷4サイクルDOHC直列4気筒
ボア×ストローク	73.4×59.0（mm）
総排気量／圧縮比	999cc／12.5
最高出力	178ps／1万1000rpm
最大トルク	12.0kgm／9000rpm
燃料タンク容量	18L
燃料供給	電子制御フューエルインジェクション
タイヤサイズF	120／70ZR-17
タイヤサイズR	190／50ZR-17
ボディカラー	ホワイト／ブルー、イエロー、シルバー、ブラック
メーカー希望小売価格	輸出モデル

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