シルバーウイング<400>は、600の弟分として01年11月にデビューした、FI燃料供給の水冷並列2気筒エンジンをフレームマウントしたAT。点火時期と燃料噴射量を変更することで、低中回転域のトルクを増大させる、Tモードの採用などを特徴としていた。
今年3月、そのシルバーウイング<400>が、大幅刷新により“GT”へと進化。エンジンや車体の基本設計は先代モデルを踏襲しつつ各部を熟成。スタイリングも一新され、高級感がアップした。
エンジンは、先代より高速域での性能を重視し、カムプロフィールなどが変更されている。ライダーがあまり上体を伏せなくても、最高速は150km/hほどをマークし、法定速度内での巡航には、かなりの余裕が感じられる。
一方、高速域での気持ちいい加速感に対し、最新の環境規制に適合化された影響もあってか、低中速域ではマイルドな印象。ただし、先代から受け継いでいるTモードをONにすれば、ちょっぴりの不満はすぐに解消される。
車体は、ハンドルまわりなどを中心に、剛性バランスを見直し。外装パーツの一新による空力特性の改善もあって、高速走行時のハンドリングは、先代よりもしっかりとした印象だ。
最高速に近い状態では、ロングスクリーンの宿命で、巻き込んだ風が背中を押す感覚があるものの、そのぶん降雨時に濡れにくいなどのメリットも得られるので、大目に見てあげたい。
低中速でのコーナリングは、このクラスのスクーターとしてはかなり軽快。寝かし込み時に、時たまクイックすぎる印象を受けることもあるが、ワインディングをそれなりのペースで走らせるのも、意外と楽しい。
「長距離を高速移動する大旅行(=GT)を、より快適に楽しめる性能の追求が、刷新のテーマ」とのことだが、軽快で、足着き性やタンデムシートの居住性も高いから、下道のショートツーリングや街の移動などで使っても、十分に楽しめる。
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