ゆったりとしたライディングフォームで走れることが魅力のクルーザー。
ハーレー・ダビッドソンに代表されるアメリカンタイプのバイクは、今も昔もストリートで大人気なのだ。
Text/Ryo TSUCHIYAMA Photo/Takao Isobe
クルーザーと聞くと何を思い浮かべるだろう?一般的に考えると、多くの人が大海原を優雅に走る小型から中型の高級船舶をイメージするだろう。しかし、バイク好きの中にもクルーザーという言葉は徐々に浸透してきている。
バイク用語でのクルーザーというと、多くのライダーがハーレー・ダビッドソンのようなゆとりの大排気量を生かしてドコドコと走れる車両をイメージするはずだ。
もちろん日本でもアメリカナイズされた『アメリカン』と呼ばれる国産バイクが数多くラインナップされ、ここ20年近くの間はストリートを中心に大きな人気を博している。本場さながらのVツインエンジンや、ノーマル状態で既にドレスアップが施されたモデルなど、市場での人気を受けて、国産アメリカンの市場はスタイルも排気量も違う、個性豊かなモデルで溢れているのだ。
最近でこそ、そういったVツインエンジンの車両がアメリカンモデルの中心だが、かつては並列2気筒エンジンや並列4気筒、さらにはV4やシングルエンジンまで様々なエンジンを持つアメリカンスタイルの車両がラインアップされていた。
それらのモデルに共通するのは、ライダーに疲労を与えない楽チンなライディングポジション、そしてローアンドロングな車体。特に、長距離での移動に適したスタイルは、街中や旅先でゆったりと流す『クルージング』にピッタリの車両なのである。現在は、国産や海外メーカーからも様々なスタイルの車両が販売されているが、そんな中でも日本で特に人気の高いアメリカンタイプを中心にオススメ車両をご紹介していこう。
今でこそクルーザーカテゴリーではVツインエンジンの搭載が一般的だが、それはここ20年ほどの流れだ。70年代後半から80年代にかけての国産クルーザーは、既存モデルに大アップハンドルや厚めのシートを取り付けるなど、主に外装パーツだけで変身させるものも多く、XS650スペシャルやZ650LTDの初期型はまさにそういったスタイルだった。
しかし欧米市場も睨んでいた国産メーカーは、次第にその車体作りを本格化させる。リア下がりの姿勢を生み出すための16インチのリアホイール、ゆったりとしたライディングフォームを狙ったプルバックハンドルや段付きシートなどを採用し始め、最終的にはフレームも専用設計とし、本気度を高めていったのだ。
このようなモデルにはメーカーごとに固有名称があり、ホンダではカスタム、ヤマハではスペシャル、スズキではL、カワサキではリミテッド(LTD)という単語を車名の最後に付けるのが特徴だ。
また、多くのモデルがスポーツバイクからエンジンや足周りを転用していたため、カワサキZ系やスズキGSX系ではいざ走らせると速いという一面もあり、一部では人気を博していたのだ。
しかし、80年代後半にホンダが本格スタイルのスティードを登場させると、様相は一変。若者の間で爆発的なアメリカンブームが到来し、それを受けて各社は本場に習ったVツインエンジンを搭載した車両の開発に、力を入れるようになったのである。
今のブームはココから!
STEED600/400
スティード600/400
ブロスのエンジンをリファインし本格的なロー&ロングの車体に積み込んだスティード。今でもタマ数は非常に豊富だ。
平均相場28.4万円
XS650 Special
XS650スペシャル
その美しいエンジンで、国産チョッパーのカスタムベースとして人気のXS。近頃はノーマル車の数が極端に少なくなっている。
平均相場62.3万円
VF750 MAGNA
VF750 マグナ
現代にも続くホンダV4の系譜を遡ると実はこんな車両もある。もちろん走りの性能は相当に高いはずだが市場でのタマ数は極少だ。
平均相場25.9万円
Z1000LTD
Z900/1000系にもLTDがあり、アメリカ市場では大人気だった。以前は安く買える空冷Zの代名詞だったが、最近は相場が上昇中だ。
平均相場76万円
Z650LTD
初期型のLTDではリアホイールは18インチで、後のSRからは16インチとなる。国産アメリカン創生期の車両だがカッコイイ!
平均相場70万円
※価格は全てGoo Bike調べ。