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エリア情報 首都圏エリア 長野県・軽井沢
週末はツーリング
秋だからバイクに乗ろう
秋だから軽井沢に行こう
 半月前とは言わないが、一ヶ月も前であれば、まだ「暑いっ!」って感じる日も多かった気がする。気温が30度を越える日も、それほど珍しくなかったし、今年はいつまで暑いんだろう? なんて思ったり。
 べったりというわけではないけれど、そこらへんに夏がシブとく残っていた。でも、さすがにもうすっかり秋だ。半袖のTシャツ1枚で出歩くのはいい加減キツいし、飲みに行ってもビールは最初だけで、鍋をつついてポン酒飲んでみたり、ハナからオデン屋行ってみたり。
 つまりは結構肌寒い。日によっては、もうすぐ冬が来るんだなと感じさせるほど冷え込むし。
 思うに、季節の変わり目ってものは突然に訪れる。なんとなく、四季は1年を4分割してるように思っていやしないだろうか?  けど、実際のところそんなことはない。
 夏の終わりのころ、ジリジリと気温は下がっていくけど、やっぱり暑い。で、ある日を境に急に涼しい日々がやってくる。そして今度は、すぐに寒くなる。ソロソロと忍び寄り、折り返し地点で素早く方向転換。
 こりゃあ、スローイン・ファーストアウトだ。バイクのコーナリングといっしょだね。そのせいかは知らないが、この季節の変わり目というヤツはバイクと相性がいい。
 暑すぎず寒すぎず、本当にストレスなくバイクで走れる日なんて、1年のうちホンの数日しかない。そのわずかな本当に貴重な日は、暑さ寒さの変わり目に訪れる。そして、そのタイミングは秋がいい。
 春は冬眠から覚める時期。寝ていたマシンと、縮こまっていたカラダを再起動させるのは、やっぱり時間がかかる。その点、秋は手間がない。
 暑さにやっつけられたカラダも回復してきたところだし、マシンだってしまい込んでいたばかりじゃないだろう。気候はベストで、ココロとカラダそしてバイクがいつでも走り出せる状態、それが秋だ。
 だからこの時期、バイク乗りなら走らなければならない。いや、別に走りたくないのなら、ムリに走ることはないけどね。ボクは走りたいから、出かけさせてもらうよ。
 秋のツーリングは気合いを入れすぎない方がいい。
 冬のツーリングはストイック。バイクに乗るだけでツラい季節だもの。装備にしても宇宙服みたいに着込まないと走ってられないし。
 春のツーリングはアッパーすぎる。冬眠から目覚めた熊ではないけれど、寒かった分走りまくってやるっていうハングリーさが気恥ずかしい。 夏はねえ……夏だぜってハシャグのもいまさらちょっと……。なんか「青春」ってカンジで、アレだよね。だから、秋。秋に走りたい。気負わず、気軽に、気持ち良く走ろう。そんな時には軽井沢がいいよ。
 上信越道の開通で、軽井沢は本当に近くなった。東京から100キロ少々。トバせば1時間、ノンビリいっても1時間半もあれば十分だ。
 どっちかと言えば、ゆっくり行くのを薦めるよね。シャカリキになって走るのは秋のツーリングにはそぐわないだろう?
ほら、もう碓氷軽井沢インターに着いた。焦ることはない、朝飯を食わずに出てきたから、峠の釜飯でも食って腹を落ち着けようよ。その後は旧軽井沢でも冷やかせばいい。なんだかんだ言って、雰囲気のいい喫茶店も多いところだから。
ときにはミーハーもいい
でも、それだけじゃない
「軽井沢なんていまさら……」と思うかもしれない。「オレは硬派なライダーだから、そんなミーハーなところに行けるか!」とかね。でも、それはもったいないなあ。
 軽井沢の起源を知ってるかい? 明治時代に日本にやってきた宣教師が「故郷のスコットランドに似てる」って別荘を作ったのが、別荘地としてのはじまりと言われてるよね。
 考えてみよう、故郷に似ているからって、キッタない場所にわざわざ別荘作ろうとは思わないでしょ。しかも、当時のここらへんなんか、どう考えてもナンにもないぜ。つまりは、それだけ自然が美しい場所だってことさ。
 そりゃ、今は大観光地だから、ウザッタイ観光施設もあるさ。でも、なかには一度は見ておきたいようなところもあるよ。玉石混淆なのは事実だけど、そのなかからイカしたスポットを見つけるのも楽しいよ。
 それにね、ボクは気付いていたんだよ。さっき旧軽でクレープ屋の前で物欲しそうな顔してたじゃない?イヤイヤ、誤摩化さなくたって結構。キミが本来そんな人間でないことは、ボクはよく知っているよ。でもさ、タマにはミーハーに染まってもいいじゃないか。
 バイクの持つハードな世界感を大事にしたい気持ちは分かる。でも、今日はクレープを食べたっていい。ここは軽井沢なのだからして。安心していい、ボクもいっしょに食べようじゃないか。しかしキミが、イチゴとクリームたっぷりのクレープを選ぶとは思わなかったよ。もう少し選択肢があったんじゃないか?
 さて、食べてばかりいるのもどうかと思うし、そろそろ走ろうか。旧軽井沢を北に上がって、白糸ハイランドウェイを流してみよう。
 木立のなかを抜けて続くこの道は、低中速コーナーとアップダウンが続く、好ワインディングコース。それもそのはず、かつては四輪の全日本ラリー選手権のステージにも使われた道だからね。当時は未舗装路だったそうだけど。もちろん現在は全面舗装されているから、安心してロードバイクで走れるよ。
 そうそう途中で白糸の滝に寄るのも忘れちゃいけない。ところで、日本に「白糸の滝」って名前の滝がいくつあるか知ってる? ボクがザッと調べただけでも50くらいあるんだぜ。ありふれた名前だよねえ。でも、ここ軽井沢の白糸の滝は、なかでもトビキリの好物件なんだ。いや、ほかを全部見に行ったってワケじゃないんだけど。とにかくキレイだよ。
 白糸ハイランドウェイを走り切ったら、国道146号線を北上する。目指すは浅間牧場、そこで絞り立ての牛乳でもいただこうじゃないか。
 軽井沢という土地のイメージとは異なり、ここは観光牧場じゃあない。牛を育てるのが目的の県営の牧場だ。だけれども、この牧場から見渡す浅間山は絶景の一言。遊歩道が解放されているから、たまには歩いてみよう。
 全行程を歩けば2時間やそこらはかかるだろう。でも、そこまでしなくても5分も歩けば十分。そこには、東京から1、2時間で来られる場所とは思えない、雄大な景色が広がっている。まるで北海道みたいだ。
 本来なら仕事の邪魔になるから、ボクらみたいな観光客は入れないのだろう。群馬県もイキな計らいをしてくれるもんだね。じゃあ、次は鬼押出しに向かおうか。
 浅間山の噴火によって形作られた奇岩の並ぶここは、圧倒される岩の海。一度目にしておいて損はない。そして、ここまで来たら絶対に走りたい道、鬼押ハイウェイがある。
 ここまでまっすぐで、ここまで広がり感のある道は、関東いや本州を見まわしてもそうはない。コーナーを攻めなくても、最高速に挑戦しなくてもカタルシスを味わえる道。流すだけで脳内麻薬物質が出まくりだ。
思わぬ場所で出会った
日本の情緒に触れてみる
 そろそろキミの知らない軽井沢を見せようか。さっき軽井沢の起源について話したよね。でも、あれは西洋風別荘地としての話なんだ。軽井沢という土地自体は、もっと昔から人々が訪れる場所だったんだ。江戸時代の主要道路、五街道のひとつである中山道が通っていた。そのころ難所である碓氷峠の西側の宿場町として栄えていたのが浅間三宿。三宿とは、現在の旧軽井沢である軽井沢宿、沓掛宿と呼ばれていた中軽井沢。そして追分宿の三つの宿場町。
 すっかり西洋化された旧軽や、開発の進んだ中軽に当時の面影はないけれど、古い街並の残る追分宿は江戸時代の宿場町の風情を色濃く残している。
 現在の追分宿は幹線道路である国道18号線の脇道になっている。国道からわずかにそれただけなのに、絶え間なく走るクルマの騒音も、ここまでは届かないようだ。意外でしょ? あのハイカラな軽井沢のすぐ隣りに、こんな日本的情緒あふれる街があるなんて。
 いまでこそ高速道路を使えば一瞬で通り過ぎてしまう碓氷峠だけれど、碓氷バイパスが開通したのさえ30年ほど前。それ以前の険しさを想像するのは容易い。鉄道だって、あまりの急勾配のため、車輪だけでは登れずギヤを駆動に使用するアプト式を採用していたほどだ。まして、よくて馬、普通は自分の脚で一歩一歩登っていくしかなかった時代の苦労はいかほどのものか? 峠越えで疲れた身体に、この追分宿の静けさが染みたろうな……などと、信州名物の蕎麦をすすりつつ、江戸の昔に思いをはせたりもするのだ。
 ボクらは幸せだ、旅するのに自分の脚で歩く必要なんてない。飛行機でも新幹線でも使えばいい。でも、それじゃ物足りない。旅の道具は少々不便なくらいが丁度いい。だから旅はバイクがいい。
 今日のツーリングなんか、べつに大層なものじゃない。フラっと出かけてきただけだ。それでも、クルマや鉄道では感じられない何かを味わえる。やっぱりこの季節、バイクで走らずにはいられない。
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